2026年6月7日日曜日

「浮遊感」 鈴木春信とフラゴナール

Floating feeling Harunobu & Fragonard

前回、浮世絵師  鈴木春信の絵暦について書いたが、これも春信の絵暦。「清水の舞台より飛ぶ美人」という題で、恋の成就を祈って清水の舞台から飛び降りる少女を描いている。

着物の柄が「大、二、三、五、六、八、十」という文字になっていて、「大」の月( 30日の月)が、2、3、5、6、8、10、の各月であることを示していて、暦の役割を果たしている。

傘のパラシュートで、宙に浮いた少女がゆっくりと降下している。振袖は羽のように羽ばたいていて、浮遊感と飛翔感を表している。春信は、このような非現実的な無重力の世界を好んで描いた。


この絵を見ていて、ロココ時代の画家フラゴナールの「ぶらんこ」を思い出した。貴族の家らしい木の生い茂った庭園で少女がブランコに乗っている。左下には恋人らしき男が少女を眺めている。

これは春信の絵との共通点が多い。どちらも少女が主人公で、傘のパラシュートとブランコの違いがあるが、無重力状態で宙に浮かぶ浮遊感がテーマになっている。そして華やかな衣装がはためいているのも同じ。

この二つの年代を調べてみたら、春信の絵は1765年で、フラゴナールの絵は1797年で、ほぼ同じ時代に描かれている。浮世絵とは浮世(現世)を楽しく生きようという江戸の文化がもとにある。ロココ美術も、個人の享楽を尊ぶ軽妙・自由な精神の時代だった。両者の共通性が「浮遊感」を表現することに現れているようだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿