2026年7月31日金曜日

文章の書き方

 

昨日書いたが、全国学力テストの「中3」の「国語」の問題で、与えられた課題に対して、自分の考えを300字以内で書く長文記述問題が出た。この設問で、文章を書く条件が以下のように示されている。これは、自分の考えを文章にまとめるためのヒントになっている。

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 次の条件1〜3をすべて満たして、あなたの提案を240字以上300字以内で書きなさい。
  • 条件1: 二段落構成とする。
  • 条件2: 第一段落では、中学生と高齢者の「共通の話題(活動)」として何を提案するか、その内容と【地域の課題】をどう解決するかを関連付けて書くこと。
  • 条件3: 第二段落では、その提案がなぜ【中学生の緊張】と【高齢者の不安】を同時に解消できるのか、理由を説明すること。
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つまり、自分の感想など資料にないことを書くと大幅減点になる。一方で、資料にあることをそのまま書いても大幅減点になる。だから「資料の〜からすると、〜のように考えられる」のように客観的事実をベースに自分なりの考えを組み立てて文章化しないといい点が取れない。これは中学生だけでなく、大人が文章を書くときにも参考になる。

2026年7月30日木曜日

学力テストの長文記述問題

 

小中学校の学力テストで、「思考力」を試す問題の成績が悪かった。思考力の問題は、長文記述式の形式で出る。例えば「中3」の「国語」の問題を調べてみたら次のようなものだった。出題のポイントは、知識の暗記だけでなく、知識を活用して自分なりに物事を考え、それを文章で表現することを重視している。スマホとSNSから入ってくる細切れの情報だけで分かった気になっている子供たちはこういう問題に苦戦する。

なお先日(7 / 26)に、本を読まないことが子供の思考力低下につながっていることを書いたので参考まで→ https://saitotomonaga.blogspot.com/2026/07/sns.html

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【問題】異なる立場をふまえ、課題解決策を提案する
【状況設定】
ある中学校の生徒会で、「地域の高齢者と中学生の交流イベント」を企画しています。しかし、事前のアンケートや話し合いで、以下のような異なる意見や課題(資料)が出てきました。
【中学生側の意見】
「高齢者の方と何を話せばいいか分からない。緊張してしまうし、共通の話題がなさそう。」
【高齢者側の意見】
「若い人と話すのは元気がもらえて嬉しい。でも、スマートフォンの使い方など、最近の難しい話にはついていけない。」
【地域の課題(資料)】
地域の伝統的な「七夕祭り」が、担い手不足により今年から規模を縮小、または中止の危機に追い込まれている。
【設問】
あなたは生徒会長として、これらの意見や課題をすべて一挙に解決する「交流イベントの具体案」を提案することになりました。次の条件1〜3をすべて満たして、あなたの提案を240字以上300字以内で書きなさい。
  • 条件1: 二段落構成とする。
  • 条件2: 第一段落では、中学生と高齢者の「共通の話題(活動)」として何を提案するか、その内容と【地域の課題】をどう解決するかを関連付けて書くこと。
  • 条件3: 第二段落では、その提案がなぜ【中学生の緊張】と【高齢者の不安】を同時に解消できるのか、理由を説明すること。
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2026年7月29日水曜日

横浜の散歩道(3)

 

馬車道近くにある歴史的建造物の「横浜開港資料館」。


「横浜開港資料館」3号 水彩

2026年7月28日火曜日

横浜の散歩道(2)

 

大岡川の桜木町に近いあたりの船泊り。みなとみらいのビルが見える。

「大岡川の船泊り」3号 水彩

2026年7月27日月曜日

横浜の散歩道

 

よく歩いた散歩道。山手から元町へ下る階段。

「山手から元町へ下る道」3号 水彩


2026年7月26日日曜日

SNS

SNS Addiction 

先日、小中学生の全国学力テストの結果が発表された。それによると、「思考力」を試す問題で成績が悪い子供が多いという実態を示していた。そしてスマホや SNS の利用時間が長い子供ほど「思考力」の成績が低いというデータも示されていた。

SNS から流れてくる手軽な情報を見て分かったつもりになってしまい、それ以上に「なぜ?」とか「どうして?」とか能動的にものを考えなくなってしまう。昔の子供は本を読むのが大好きで、それが「思考力」を養っていたが、現在はスマホや SNS が子供から本を読む習慣を奪い「考える力」を低下させる原因になっている。

最近、子供の SNS の使用を制限する法律を制定する国が増えているのも。子供が SNS 依存のままで大人になってしまうことへの危機感がある。

歴史上「なぜ?」とか「どうして?」などと国民が思わないように、本を読むことを禁止して国家権力を維持していた時代がたくさんあった。その代表がヨーロッパの中世で、王権専制政治の権力を守るために、庶民がいろいろな考え方に触れて目覚めることのないように、本を読むことを禁じていた。だから中世は「暗黒時代」と呼ばれる。この時代を描いた「神々のたそがれ」という映画がある。本を隠し持っている人間は役人に見つかり、処刑される。


この映画は、ロシアがまだソ連時代に反体制的な映画を作っては何度も上映禁止処分を受けていた名監督アレクセイ・ゲルマンによるもの。映画の舞台を中世に置き換えて、思想・言論の自由を制限しているソ連の専制政治への批判をしている。

今 SNS のおかげで、本を禁止する中世のようことをしなくても、国民を操るのが簡単な時代になっているようだ。 


2026年7月25日土曜日

映画「1941」

 「1941」

NETFLIXで「1941」という映画を見たが意外と面白かった。これはスピルバーグ監督の映画で、こんな映画がスピルバーグにあったとは知らなかった。太平洋戦争中に日本の潜水艦がカリフォルニアに現れて、ロサンジェルスを攻撃して、人々がパニックになるというドタバタ喜劇だ。

調べてみたら、1941年に、日本の潜水艦がアメリカ本土を攻撃したのは実際にあった史実だった。カリフォルニア州の製油所を潜水艦から艦砲射撃して破壊した。すると日本の爆撃機がロサンジェルスに襲来するというデマが飛び交い人々はパニックになる。するとデマに慌てた米軍は飛んでもいない敵機に向かって対空砲火をメチャクチャに乱射する。これも映画通りに実際にあった事件だという。

映画はこの時のアメリカ人と米軍のおバカぶりを笑いものにしている。なおこれは1979 年の古い映画で、潜水艦艦長役で三船敏郎が出演している。こちらはかっこいい軍人として描かれている。


2026年7月24日金曜日

「シリベツ川の朝日」

Morning River

倉庫にしまいっきりだっただいぶ昔の絵。北海道のシリベツ川の上流の風景。夏の早朝、森に朝日が登ってきたた。このあたりはニセコのスキー場があり、冬には賑わうが、夏は誰もいず、シンと静まりかえっている。

「シリベツ川の朝日」12号 パステル


2026年7月23日木曜日

映画「ザ・クリエーター / 創造主」

 「The Creator」

3年前に見た映画「ザ・クリエーター / 創造主」を NETFLIX でやっていたのでもう一度見た。この SF 映画は、AI ロボットが登場するが、AI が人間を超えた能力を持ち脅威になるのではないかという人々の恐れを背景に作られている。

ロサンジェルスが核攻撃を受けて、アメリカは報復の攻撃をして全面戦争になる。その結果、人間どうしの殺し合いと、文明の破壊のし合いで、人類の文明は滅びてしまう・・・

ラストで、可愛い少女の姿をしたAI ロボットが、戦争で生き残った純朴な人々に歓呼の声で迎えられる。彼女は人間以上に人間性を持った AI だ。彼女が、邪悪な人間たちに変わって新しい文明世界を創り上げる「神」になることを示唆して映画は終わる。

日本語では、「クリエーター」はアーチストなどのもの創りの人を指すが、英語の「The Creator」は、「人間と天地万物を創造した全能の神」を意味する。この映画は AI を新しい神「The Creator」として描いている。

2026年7月22日水曜日

ドキュメンタリー「縦の支配 中国ショートドラマの光と影」

Short Drama for Smart-Phone in China 

昨日NHK BS で、「縦の支配 中国ショートドラマの光と影」という面白いドキュメンタリー番組をやっていた。。

今中国で盛んに作られているスマホ向け専用のショートドラマの制作現場の実態を暴いている。普通の映画と違って、スマホで手軽に見れるように縦長の画面で作られる。スマホばかり見ているスマホ依存症の人たちがこれにハマってしまう。このようなショートドラマ専門の配信会社が、中国にたくさんあって稼いでいる。彼らはAI を使って、どんな番組がウケるかを研究していて、それにもとづいて監督に指示を出す。もっとケンカを派手にやれとか、女の服の露出度をあげろなど、刺激の強い画面を続けさせて、視聴者に考える暇を与えない。だから題名の「縦」(スマホの縦長画面)による人々の「支配」というわけだ。

このビジネスが今中国ですごい勢いで伸びているという。もともと人に考えることをさせないスマホというメディアならではのビジネスだが、日本でも同じことがジワジワ広がりつつあるという。

2026年7月21日火曜日

国旗をモチーフにしたアート作品

Flag Desecration Law 

「国旗損壊罪」が国会で成立したが、アートにおける表現の自由との関係がよく問題になる。

アメリカの例で有名なのは、ジャスパー・ジョーンズの「星条旗」で、汚れたアメリカ国旗が画面いっぱいに描かれている。!950 年頃の作品で、当時全盛のポップアート作品だと本人は言っているが、政治的メッセージが込められていると解釈されることが多い。その時代はマッカーシズムが吹き荒れて、アメリカの民主主義が危機的な状況だったからだ。


日本ではこんな作品がある。国旗の布を糸にほぐしていて、国旗を「損壊」しているといえばしているが、これは「損壊罪」にあたるのかどうか?



なおアメリカで「国旗損壊罪」ができるきっかけになったアート作品がある。(以下は今年2/ 21 投稿の再掲)

「文化戦争  - やわらかいプロパガンダがあなたを支配する」(N. Tompson)という本は、芸術などの文化が、社会や政治に与える影響について書いているが、そこにアメリカで起きた、星条旗をモチーフにしたアート作品が物議をもたらした事件について触れている。

ドレッド・スコット・タイラーというアーティストが、1989 年にシカゴ美術館の展覧会に出品した「星条旗の適切な掲げ方は?」というインスタレーション作品が猛烈な批判を浴びた。

壁に、人種差別に抗議するデモで星条旗が燃やされている報道写真が貼られていて、その下に作品への感想を書くノートが置いてある。その手前の床には本物の星条旗が置かれている。ノートに書き込むためには国旗を踏みつけなくてはならない仕組みになっている。自身がマイノリティであるアーティストの、アメリカの人種差別に対する抗議が込められている。

多くの国民が星条旗への冒涜だとして激怒し、ブッシュ大統領も「けしからん」と非難し、議会は「国旗損壊罪」の法律を成立させたという。本の著者が指摘しているのは、芸術という「文化」が、政治権力者の武器として使われることと、一方でアーティストが自分を売り出すための道具として「文化」が使われるという「文化戦争」の実態だ。


2026年7月20日月曜日

「イタリアの静物」

 Italian Still Life

静物を大サイズで初めて描いた。

「イタリアの静物」50号 アクリル

2026年7月19日日曜日

映画「ラ・レボリューション」

 La Revolution

昨日「廃墟の画家」ユベール・ロベールが描いたパリの街の「破壊と再生」の絵について書いたが、ちょうど昨日タイミングよくNETFLIXでやっていた「ラ・レボリューション」(「革命」)という映画を見て、ユベール・ロベールがそのような絵を描いた時代背景をリアルに知ることができた。

フランス革命は 1789年に起きたが、昔中学生の頃「火縄くすぶるフランス革命」などと語呂合わせで遊んでいたが、もちろんフランスではそれどころでない圧政に苦しむ庶民が王政を倒した重要な歴史だ。この映画は民衆が武装蜂起してフランス革命に至るまでをドラマ化している。

この時代のパリは人口過密状態で、都市環境が劣悪で、狭い路地に家が密集していて衛生状態が悪く、伝染病の蔓延で腐った死体がゴロゴロしている。そして市民は困窮と飢えに苦しんでいるが、政府の役人は不満分子を情け容赦なく捕まえて牢獄に入れる。過酷な王政政治に対してついに民衆は立ち上がる・・・

映画でパリの街のシーンが繰り返し出てくる。丘の上には立派な王宮がそびえているが、庶民の家々は密集している。現在のパリの街の姿とは程遠い。ゴミゴミした狭い路地裏で人々は貧しい生活をしいられている。



ユベール・ロベールも革命派の一人だったというが、彼がパリの古い建物を破壊する光景を絵に描いたのは、フランス革命後に、こういう古い街並みを壊して、新しいパリを作ろうとするフランス社会のエネルギーを描いたのだった。そしてパリが現在のような整然とした姿に生まれ変わったのもフランス革命のおかげだったことがこの映画からよくわかる。

2026年7月18日土曜日

ユベール・ロベールのパリの解体

 Hubert  Robert

『Futures & Ruin  Eighteenth-Century Paris and the Art of Hubert  Robert』は、訳せば『未来と破壊  18世紀のパリとユベール・ロベールの芸術』で、パリの街の「破壊と再生」という観点からユベール・ロベールの絵画を解説した面白い本だ。

18 世紀のパリは人口の急増と、劣悪な都市環境と、広がる貧富の差に市民の不満が高まり、フランス革命につながるのだが、革命後にナポレオン3世の命令で、古い建物を壊し、新しい都市に再生する都市計画が行われ、それが現在のパリの姿になった。

ユベール・ロベールは、廃墟になった古代ローマの遺跡を描いて「廃墟の画家」といわれたが、そればかりではなく、上記のような、パリの古い建物が壊されて新しい街へ再生していく絵をたくさん描いた。いわば現在進行形で廃墟ができていく絵だ。前回の「バスチーユの解体」もその一つだった。同書からそういう作品を紹介する。

オペラ座の解体

教会の解体

セーヌ川のほとりの火事。市民が勝手に建てた木造の家がよく火事を起こした。

2026年7月17日金曜日

ユベール・ロベールの「バスチーユの解体」

 Hubert Robert

上野の国立西洋美術館の常設展示で、ユベール・ロベールの作品が3点展示されていて、同館の目玉作品になっている。その3作もそうだが、ユベール・ロベールは、廃墟になった古代ローマの架空の建物を描いて「廃墟のロベール」として有名だが、彼には「バスチーユの解体が始まる日」(The Bastille in the Fiest Days of Its Demolition)という作品がある。

 1789年のフランス革命の発端になったのは、民衆によるバスチーユ牢獄の襲撃だったが、その事件をユベール・ロベールはリアルタイムで目撃していた。そしてすぐに牢獄を解体する作業が始まったが、この絵はその情景を描いている。巨大な牢獄の手前で、作業員たちが働いている。建物のてっぺんはレンガが投げ落とされてすでにギザギザになっている。王政フランスのシンボルが目の前で廃墟になりつつある現実を描いていて、フランス革命のドキュメント絵画になっている。


なおフランス革命後に、ユベール・ロベールは、ルーブル宮殿を現在のようなルーブル美術館へ改造する計画に携わり、完成とともに初代館長になった。ユベール・ロベール自身も何かとフランス革命に関わった人だった。


2026年7月16日木曜日

廃墟の工場

Ruined Factory

 15年くらい前、工場の絵を描いていた頃の一枚。きっかけは福島の原発事故で、連日のようにTVで壊滅状態の原発の映像が映されていた。近代産業の「終わり」を思わせるようだった。これは、地元にある実際の工場をモチーフにして、津波で流されて何もなくなった中に一つだけ残った廃墟の工場のイメージを描いた。

「取り残されて」12号  パステル

同じ頃、やはり廃墟の工場を公募展用に50号で描いた。モチーフは地元にある火力発電所だが、最先端のピカピカの工場を申し訳ないが廃墟に変えてしまった。

「崩れゆく神殿」50号 パステル


2026年7月15日水曜日

絵画で読む『失われた時を求めて』

 In Search of Lost Time


プルーストの大長編小説「失われた時を求めて」は、ご多分にもれず自分も途中で挫折したが、その魅力をわかりやすく解説するいい本が出た。この小説には、たくさんの絵画が登場するが、それらの絵画を、小説がどう書いているかを解説している。

小説はプルースト自身の若い頃の経験を記した ”精神の放浪記” とでもいえる内容だが、そのおおりおりの感情を絵画に託して語っている。例えば小説にこんなくだりがある。主人公の画家ベルゴットがフェルメールの「デルフトの眺望」をながめながら息を引き取るシーンで、次のように書いている。

「・・・フェルメールの「デルフトの眺望」を見るために展覧会に出かけた。初めてベルゴットは青い服を着た小さな人物が何人かいること、浜辺がバラ色であること、最後に小さな黄色い壁面の貴重なマチエールに気がついた。目まいはひどくなってきたが、ベルゴットは子供が捕まえようとする黄色いチョウをじっと見るように、その貴重な小さな壁面をじっと見つめた。・・・」

このように小説は、主人公がこの絵を詳細に見つめている様子を書いているが、もちろんこれはプルースト自身の経験である。この本は小説に登場する絵画を手がかりにして「失われた時を求めて」を理解しようとしている。


2026年7月14日火曜日

「寒風」

 Cold Wind

20年くらい前、稚内あたりのオホーツク海の海岸を車で走っていた時、この風景を見かけた。冬は休漁中の漁船は陸に上がったままだ。車から出ると強風で猛烈に寒い。絵にしたが、寂寥感のようなその場の「ムード」が出せていない。どうかしたいと考えている。

「寒風」8号 パステル


2026年7月13日月曜日

「湖の秋」

 Autumn Lake

これも倉庫から出てきた絵。やはり20 年くらい前だが、描き終わって即ボツにしたので、一度も日の目を見ていない。かわいそう(?)なので、大幅に手を加えてみた。北海道の大沼公園の湖。

「湖の秋」 8号 パステル

2026年7月12日日曜日

ドキュメンタリー「 FIFA を暴く」

 FIFA Uncoverd

ワールドカップでレッドカードをもらったアメリカ選手を、トランプ大統領が取り消すようにFIFA 会長に圧力をかけたらあっさり認められたというニュースには驚いた。トランプ大統領はいつものことだから驚かないが、平然とトランプの言うなりになったFIFA 会長の方に驚いた。

ちょうど今 NETFLIX で「FIFA を暴く」というドキュメンタリーをやっているのを見たがもっと驚きだった。大会開催国決定をめぐる汚職、スポンサー企業からの賄賂、会長選挙をめぐる買収、会長が私腹を肥やす汚職、などが渦巻くFIFA 腐敗の歴史を暴いている。具体的に以下のような出来事が取り上げられている。


① 2015年に FIFA幹部14名が汚職容疑でFBIに逮捕された。

②プラッターが会長選挙で、2010年の開催国を南アフリカにするという密約をして、アフリカ諸国の票を集めて当選した。

⓷2018年ロシア大会の開催国決定に際し、プーチン大統領との裏取引があった。


2026年7月11日土曜日

「森のボート」

 A boat in the wood

倉庫を整理しているが、古い絵がたくさん出てくる。これは北海道の大沼公園で、紅葉の森の中に取り残された魚釣りのボートが印象的だった。メモを見たら2005年だったので、今からほぼ20年前になる。

「森のボート」12号 パステル

2026年7月10日金曜日

トーマス・コールの絵画「帝国の推移」

The Course of Empire 

19 世紀にアメリカの西部開拓を賛美する絵画として、前々回は「アメリカの進歩」、前回は「西へ、帝国は進む」をあげたが、それと同じ頃、トーマス・コールが西部開拓を批判する「帝国の推移」という絵を描いた。

この絵が描かれたのは19 世紀の第7代大統領ジャクソンの時代で、強引な西部開拓や、先住民の強制移住や、むやみな領土拡大や、目先の利益だけを求める経済政策、などまるで王のような独裁政治を行なっていた。・・・今のトランプ大統領とそっくりだ。

それに対して知識層は、その政治はアメリカを破滅に導くと危機感を募らせていた。トーマス・コールも、自然を破壊し、領土を拡大し、急速に開発を進める政治を「帝国主義」だと批判し、帝国はやがて滅びると予言するために「帝国の推移」を描いた。5連作の絵で、「未開」「牧歌」「帝国」「衰退」「荒廃」の 5段階で文明の発展から衰退までを描いた。


「未開」まだ手付かずの大自然があり文明はまだない。先住民が狩りをしている。

「牧歌」白人が入ってきたが、羊を飼ったり、釣りをしているのどかな風景。

「帝国」帝国が繁栄する。ローマ帝国のような壮麗な建築がたち並んでいる。

「衰退」戦争が起こり、殺し合いになる。建物は破壊され帝国は衰退していく。

「荒廃」廃墟になった建物だけがわずかに残り、人は誰もいない。

2026年7月9日木曜日

西へ進むアメリカ帝国

 Westward the Course of Empire Takes its Way

前回、アメリカの西部開拓を描いた絵画「アメリカの進歩」について書いたが、その続きとして、もうひとつの絵画「西へ、帝国は進む」について。これはエマニュエル・ロイツェという画家が1861年に描いた。


19 世紀アメリカは西へ西へと西部開拓をして、アメリカ全土を領土にする、そして太平洋岸へ到達する。この絵は、その瞬間のアメリカ人の歓喜を描いている。人々が眺めているのは太平洋のかなたで、そこは黄金色に光輝いている。

アメリカ大陸の次はさらにその先のアジアを目指そうというアメリカの野望を描いている。実際にハワイを併合したり、スペインと戦ってフィリピンを領有したりしている。日本にペリー提督の黒船が来航して開国を迫ったのもその一環だった。

ペリーは手記の中でこう書いていたそうだ。『アメリカという優れた文明国が、門戸を閉ざす未開の国日本を啓蒙し、世界貿易の輪に引き入れるのは神の意思である』これは「アメリカの進歩」の絵で、女神が暗闇に光をもたらしているのと同じ思想だ。

この絵は現在、アメリカ連邦議会の議事堂に飾られているそうだ。つまりこの絵は西部開拓時代以来の帝国主義的なアメリカの野望を示している。トランプ大統領がグリーンランドをアメリカが領有すると一方的に宣言したりするのも、この文脈からすると理解できる。

2026年7月8日水曜日

「アメリカの進歩」という夢

Columbia leading western expansion

先日 BS で「建国 250 周年の米国  トランプ大統領がもたらした功と罪」という番組をやっていた。連日報道されるトランプ大統領の言動を見るにつけ、自由と民主主義の国アメリカがこれからどうなってしまうのかというテーマを深掘りしていた。

そのときコメンテーターの一人がこの絵を紹介していた。西部開拓時代の1872年にジョン・ガストという画家が描いた絵で、「アメリカの進歩」という題名だそうだ。


西へ向かって女神のような女性が空を飛んでいる。それに導かれて、地上では開拓者の馬車が西へ進んでいる。この絵はおおきく明るい右半分と暗い左半分に分かれている。明るい右半分ではすでに人が定住して畑を耕している。遠くには線路が見え列車が走っている。その手前では電信線の建設が進んでいる。左の暗い部分には先住民のアメリカン・インディアンが土地を奪われ逃げている。

面白いのは、女神のような女性が、右手に教科書を持っていて、左手には建設中の電信線の先端を持っていること。文明を象徴する教科書と電信によって、野蛮人が住む未開の地に文明を広げることが、「アメリカの進歩」だとアメリカ人は考えていた。

だから現在ではこの絵は、先住民族や黒人の差別を賛美しているとして、否定的に捉えられるようになっている。ところがトランプ政権になると、この絵が政府の公式 HP に掲載されるようになったそうだ。外国移民の排除を強力に進めるトランプ大統領の政策を正当化するためだという。しかもそれを多くのアメリカ人が支持しているそうだ。絵に描かれた光と闇の分断が、今また再現されつつあることを同番組は指摘していた。


2026年7月7日火曜日

国会議事堂の建築デザイン

 The architecture of National Parliament Building

江戸東京博物館で開催中の、特別展「洋館  明治の夢と挑戦」が面白そうだ。江戸から明治に転換して、東京の中心地に、近代国家としての威信を懸けた建築が建てられていった。国会議事堂、裁判所、国立銀行、駅舎などの建造物が次々に建てられていく。それらはヨーロッパの伝統的建築様式のスタイルを模していた。


これは同展に展示されている国会議事堂の建築パースで、ドイツの建築家 エンデ & ベックマン の設計だという。壮麗なドイツ・バロック様式の建築だ。当時の外務大臣の井上馨が進めていた、東京をパリ並みの近代都市にしようとする都市計画「官庁集中計画」の一環としてデザインされた。しかし井上馨が辞任してしまって、実現せずに終わった。



それでは、現在の国会議事堂は、どういう経緯で誰がデザインしたのか、調べてみた。1918年(大正 7年)に設計コンペが行われ、下図のデザインが 1等に選ばれた。渡辺福三という国の技官だった人の案だったという。これはてっぺんがドーム型で、上図と共通する伝統様式の影響を受けたデザインだ。


しかしこの案はそのままでは作られず、他の政府技官が修正を加えて、現在の最終形になったそうだ。ドーム型でなく、階段状のピラミッド型に変わっている。ファサードの列柱も少なくなり、原案とは違うほとんど別案になっている。この時代はアール・デコ全盛の時代だから、その影響を強く受けて、上図よりも近代的なデザインになっている。


2026年7月6日月曜日

大阪万博の EV バス墓場

OSAKA  EXPO

大阪万博の EV バスのトラブルの件で、いまだにゴタゴタが続いているようだ。

日本のベンチャー企業が設計して中国メーカーに生産委託したバスだが、ブレーキの不具合など重大なトラブルが多発して使えなくなり、190台がいまだに EVバス墓場に野ざらしのまま放置されているという。

閉幕後は一般路線バスに転用する予定だったがそんな危険なバスを引き取る会社はない。バスを発注した大阪メトロは損害賠償を請求し、国も助成金の返還を求めている。バスを作った企業は経営破綻した。今どき EVバスは日本中で普通に走っていて、特別な技術ではないのに、なぜか大阪万博は失敗した。


思い出してみると、大阪万博では他にもたくさんの問題が起きた。

・外国パビリオンの建設遅れが問題になったが、その工事費の未払い問題でいまだにもめている。だが大阪府市は知らん顔のようだ。
・主催者は「並ばない万博」と息まいていたが、入場券ネット予約システムの設計に失敗した。大阪市長もデジタルの知識が不足していたことを認めて謝罪した。
・大阪万博が最大の目玉にしていたドローンタクシーの開発に失敗して、ただの無人飛行のデモに終わった。
・大屋根リングの再利用の問題は当初から危惧されていたが、結局解体されることになった。350億円の税金の無駄使いに終わり、大阪府市の無計画ぶりの責任が問われている。
・交通インフラの脆弱性が当初から懸念されていたが、大阪メトロの故障による帰宅難民が大量発生して、それが現実に起きてしまった。


未来の技術や社会の姿を先取りして見せるのが万博の役目だが。「未来」どころか「現在」にも追いついていない万博だった。


2026年7月5日日曜日

画家の映画監督

 Painter and Film Director

映画は絵画と同じ視覚芸術だから、テーマや表現手法などで共通点が多く、そしてお互いに影響しあう。だから多くの名監督は、もともと画家だったり、美術大学で絵学んだ経験があったり、美術史の深い知識を持っていたりするケースが多い。彼らは、セリフやナレーションなどの言語に頼らずに、ビジュアル(視覚)の力でストーリーを語る。


黒澤明 絵コンテを自分で描いていた。若い頃画家を目指して、公募展にも入選したくらい本格的だ。絵コンテの個展をパリでやったりした。これは「影武者」の絵コンテで、セット、衣装、カメラの構図などを決めている。


ピーター・グリーナウェー ロンドンの美術大学で学んだ後、映画を始めた後も絵画の個展をやっていた。絵画や建築をテーマにした映画が多いが、「英国式庭園殺人事件」はズバリ主人公が画家で、絵の制作過程が出てくる。三脚に乗せた絵のフレーム決めの道具を使っているのが面白い。



アルフレッド・ヒッチコック ロンドンの美術大学で学んだ後、広告会社でデザイナーとして働いていた。絵画が小道具として使われる作品が多い。これは「見知らぬ乗客」で、主人公が描いた絵として出てくる油絵だが、ルオーのような表現主義的な絵画だ。


ミケランジェロ・アントニオーニ すべての作品で、計算しつくされた絵画的な画面構成(構図)がされている。これは「情事」の有名なラストシーン。壁と空で画面を垂直線で真っ二つに区切って、それを水平線の手すりが横切っている。モンドリアン的な厳密に計算された構図だ。人物はロングショットでヒロインがそっと男の頭を撫でている。二人の人間の絶望的な孤独を表している。


その他にもいるが、名前だけ挙げると
ジャン=リュック・ゴダール 
デヴィッド・リンチ 
ティム・バートン
ヴィム・ベンダース
宮崎駿
など 

2026年7月4日土曜日

映画「山本五十六」

「Isoroku Yamamoto」

NETFLIX で、映画「山本五十六」を配信している。戦記映画ではなく、山本五十六を違った視点から描いている。太平洋戦争が始まる前、対米戦争について国論が二分されていた。その中で戦争反対の急先鋒だったのが山本五十六だった。

当時の朝日新聞(映画では『東京日報」に変えてある)が、過激な主戦論で国民世論を煽って、開戦に導いた事実は、今ではよく知られているが、映画は同新聞の内幕を描いている。

開戦反対論の山本五十六はだんだん少数派になっていくが、その時のシーンで、朝日新聞の記者が取材に来る。すると記者は威丈高に「あなたは弱腰だ」と言って山本に迫る。それに対して山本は、戦争がいかに無意味かを冷静に説明する。そして客観的事実に目を背け、威勢のいいことばかりを言う記者に、「眼で見ろ。耳で聴け。心で想え。」と報道機関の責務を諭す。

やがて戦争が始まると山本は、不本意ながら太平洋艦隊司令長官として真珠湾攻撃の指揮をとるが、やがてミッドウェー海戦で大敗北をする。しかし朝日新聞はその事実を隠して大戦果を挙げたかのように報道して、国民の戦意高揚を煽る。朝日新聞の編集室のシーンがたびたび出てくるが、編集長が記者たちにもっと過激な記事を書けと檄を飛ばしている。

そして終戦となる。すると次の日の編集室にはもう新しい編集方針の張り紙が貼ってある。「軍備より平和を!」「アメリカの民主主義から学べ!」 これが有名な朝日新聞の「手のひら返し」だ。ラストシーンで記者が、焼け野原になった東京を眺めながら、山本五十六の言った言葉『眼で見ろ。耳で聴け。心で想え。』をかみしめている。


2026年7月3日金曜日

映画「ハリーの災難」

 「The Trouble with Harry」

昨日たまたま TV をつけたら BS で、ヒッチコック監督の古い映画「ハリーの災難」をやっていた。コメディタッチの映画だが、ヒッチコックらしい洒落っ気がある。若い頃ロンドンの美術大学で絵画を学んだヒッチコックは、どの映画にも必ず絵画が登場し、大事な役割りをする。この映画も抽象画を描く売れない画家の主人公が登場する。彼は村にある小さな雑貨店の店先で、絵を売っているが、まったく売れない。

この映画は1955年の制作だが、登場する画家の抽象画は、ジョン・フェレンという画家が描いている。当時アメリカで流行していたポロックなどと同じ抽象表現主義の画家だった。(右はジョン・フェレンの作品)

雑貨店の女主人が絵を褒めると、主人公が「それは上下逆だよ」という抽象画でお馴染みのギャグが入ったりする。

画家が林の中で風景をスケッチしていると、草むらの中に死体が転がっているのを見つけて、サスペンス映画の展開になる・・・

すると画家は風景を描くのをやめて、死人の顔をスケッチする。その絵は被害者にそっくりだったので、警官は画家が殺人犯ではないかと疑う。

すると画家は、「その絵は意識下に眠る忘れかけた記憶にもとに描いたもので、モデルがいるわけでない」と得意の芸術論を言って警官を煙に巻く。そしてその場でスケッチに手を加えて、閉じた目を、両目が開いた表情へと書き替えて見せる。つまり死者を正者へ生き返らせてしまったのだ・・・


2026年7月2日木曜日

風景画の中の静物 ワイエス

Wyeth    Still-Life in Landscape

ワイエスのこの絵「Spring Fed」は、牛舎の中の牛用の水飲み場を描いている。水槽があり、窓の外には牛が見える。そして壁にかけられたバケツが目をひく。このバケツは斜めに置かれているが、遠近法的に極めて正確で、金属の質感表現もすごい。バケツの存在感が際立っている。このバケツだけで静物画として成り立つほどだ。ワイエス自身も、この絵を描こうとひらめいたのは壁にへばりついたこのバケツのためだったと語っている。

ワイエスは、なんでもない日常的な物に目を向けて観察し、それを描写することが多い。それは風景画の中の点景として軽く扱われるのではなく、絵の中の主役のようになっている。だから風景画と静物画が融合したような絵になる。

 

この絵の制作過程で、たくさんの習作スケッチが行われているが、バケツを中心にして、どう画面全体を構成するかに注力している。以下の一連のスケッチを見るとそれがよくわかる。

最初は主役のバケツを細密描写することから始めている。







背景の検討をしている。後ろに仕事をしている奥さんをクイックスケッチで描く。しかし現場に奥さんがいたわけではない。他の時に描いたデッサンをはめ込んでいる。





奥さんを消して窓を描いている。牛舎の雰囲気を出そうとしているが、主役はあくまでバケツだ。






窓の外に牛を描く。画面の全体構成が固まってきた。







バケツと水槽を改めて細く描写する。水槽の水なども書き込んでいる。







着色をしてほぼファイナルに近づく。


ワイエスは写実的なために見た通りに忠実に描いていると思われがちだが、実際は色々な要素を組み合わせながら自分の描きたいイメージを表現できるように絵を組み立てていることが、この制作過程から読み取れる。