2026年9月5日土曜日

トワイライトの名画

Twilight Landscape 

きのうはアマチュア向け教科書に載っているトワイライトの描き方の見本のような絵を紹介したが、今回はトワイライトをさまざまに描いた歴史上の名画を集めてみる。


「ローマの日没」 シモン・ドニ
19世紀初めの新古典主義のドニは北欧の人だが、イタリアの風景を
たくさん描いた。日没の空を画面いっぱいにドラマチックに描いている。


「トワイライト  ヴェネチア」 モネ
モネのヴェネチアのトワイライトの風景。強い光が水面にも反射して、教会が
シルエットで浮かび上がっている、画面いっぱいに光が満ちていて印象派らしい。


「トワイライトの二人の男」 ジャスパー・デヴィッド・フリードリヒ
表現主義のフリードリッヒは、風景に託して自身の内面を表現したが、日没の海を
見て瞑想している二人の男は、フリードリヒ自身の宗教的感情を表している。


「晩鐘」 ミレー
19世紀のバルビゾン派のミレーは、日没直後のまだ明るい光が残るトワイライト
の空を美しく描いている。ロマン主義的な感傷を誘う名作絵画。


2026年9月4日金曜日

日没の光を描く

Twilight Landscape

きのう残照の光を描く難しさと面白さについて書いたが、そういう絵の見本をアマチュア向けの絵の教科書から紹介する。 「残照」や「たそがれ」や「トワイライト」など呼び方はいろいろだが、いずれも昼から夜へ切り替わる瞬間の微妙な光の魅力を描いている。
画像引用:「Pure Color  The best of Pastel」「Landscape Meditation」「Color and Light」


「トワイライト・リフレクション」
太陽が地平線に沈む直前のトワイライトの光が上空の雲に反射している。


「一日の終わり」
日没直前の光が「トワイライト」で、空がもっともドラマチックになる瞬間。黄色、オレンジ、紫色などが微妙に入り混じった色が美しい。


「荒野のたそがれ」
山岳地帯のたそがれの幻想的な風景。モヤがかかって暖色系の光が山全体を覆っている。


「木と月」
日没直後の数分間は、空の光が一日のうちでもっとも美しい時間帯で「ゴールデン・アワー」と呼ばれ、メランコリーな気分を誘う。この絵では月が出ている。


2026年9月3日木曜日

「残照・函館本線」

Afterglow

函館本線は、小樽の近くで日本海沿いを通るが。車で通りかかった時、線路と踏切が見えた。すでに日が落ちて暗くなり始めていて、残照だけが明るい風景が印象的だった。 しかしこの昼でもない夜でもない時間の光を絵に表現するのが難しい。

「残照・函館本線」12号 アクリル

この時間、すでに太陽は水平線の下に沈んでいて、雲が下から照らされている。白い雪はその弱い光を反射してかすかに明るい。雲は暗く見えるが光を透過しているのでかすかに明るい。その光は微妙で、雪は「暗い明るさ」を、雲は「明るい暗さ」を描かなければならない。

これは、錯視の話しでよく出てくる『チェッカー・シャドー」の問題だ、白黒の市松模様で、光が当たっている黒の Aと、影の中にある白の Bは、写真では同じ明るさに写るが、人間の眼には、黒は黒に、白は白に見える。これは「明るさの恒常性」で、光の強さが変わっても、物体の本来の明るさとして人間は知覚する。

2026年9月2日水曜日

「記憶汚染展」

 Memory Bias

見にいってはいないが面白そうな展覧会だ。「記憶」が無意識のうちに「汚染」」されたり、人の「記憶」を意図的に「汚染」させることが日常的に起こる。「記憶」にまつわる「認知バイアス」の危険性を認識させようという意図の展覧会のようだ。

「記憶」に関する認知バイアスの代表は「虚偽記憶」で、過去に実際に起こらなかったことを本当に起きたと思い込むバイアスだ。

だから「思い出」も後から作られることがよくある。それは「事後情報効果」と呼ばれる。「バイアスの心理学」という本に、ある実験が紹介されている。ひき逃げ事件の映像を見せて、一週間後に事故の内容を思い出してもらう実験をした。「逃げた車は赤色でしたか?」と質問されると、被験者の頭の中に赤い車が浮かび、それが「記憶」になってしまう。それで「赤い車だった」と答える。人間の記憶がいかにあいまいで、後からの情報に影響されやすいかを示している。

もうひとつ「確証バイアス」というバイアスがある。自分の考えと一致する情報ばかりを集め、それ以外の情報を無視することをいう。例えば「A型の人は几帳面だ」と信じている人はA型の人に接すると、その人の几帳面な部分にだけ注目して、大雑把な部分は無視する。そうして「やっぱりA型の人は几帳面だ」ということが「確証」になっていく。SNS の偽情報で、繰り返して同じ情報に接すると、だんだん本当のように思えてくるのも同じだ。


2026年9月1日火曜日

印旛沼の風景

 Imba Lake

千葉の印旛沼へよく行っていたころ、沈んだ舟を見かけた。それが好きで、夕日の風景と、冷たい雨の日の風景を描いた。



2026年8月31日月曜日

エットーレ・ソットサス展

 Ettore Sottsass

アーティゾン美術館で「エットーレ・ソットサス展」が開かれている。しかしあまり見に行く気にならない。

ソットサスは 1960 ~ 1970 年代にかけて、オリベッティの製品のデザインを手がけていた。機能主義のデザインだが、ドイツの機能主義と違ってイタリアらしい温かみのあるデザインだった。その頃のソットサスの製品デザインはデザインの教科書のような憧れの存在だった。

例えばこの「テクネ3」(1964年)というタイプライターは、端正な造形が美しい機能主義デザインの見本だった。


上はプロ用だが、こちらは一般コンシューマー向けのタイプライターで有名な「ヴァレンタイン」(1969年)。すこしポップなデザインだが、キャリングケース(愛称がバケツだった)にすっぽり入れて持ち運べる便利なデザインだった。パソコンがない時代で、自分でも買って使っていた。


大型コンピュータの「エレア9003」(1959年)は大型コンピュータだが、ディスプレーのように見えるのは操作パネルで、ボタンをグラフィカルに配置している。今の時代に普通になるGUI の考え方を先取りしていた。


「シンテシス45」(1970年)はオフィス用家具で、モジュールによるシステム家具のはしりだった。


1980 年代になると、世界的な「ポスト・モダン」の時流に乗って、「メンフィス」というグループを結成して一世を風靡する。それまでの機能主義を捨て、鑑賞用オブジェのようなデザインへ行ってしまった。


2026年8月30日日曜日

映画「マグニフィセント・セブン」

The Magnificent Seven 

「マグニフィセント・セブン」(2016年)は 10年ほど前の映画だが、 NETFLIX で配信が始まったのでさっそく見た。黒澤明監督の名作「七人の侍」を西部劇に変えたリメイク映画だが、なかなかよくできている。「七人の侍」は、七人の野武士が、野盗の軍団の襲撃から村を救うという物語だが、こちらでは悪徳鉱山会社の大軍団が住民の土地を奪おうと攻めてくるのを7人のガンマンが救うというふうに変えている。


「七人の侍」のリメイクといえば何といっても大ヒットした名作「荒野の七人」(1960年)が有名だが、これも原題は「The Magnificent Seven」だから、今回の「マグニフィセント・セブン」はリメイクのリメイクといえるかもしれない。


こういう歴史を見ると、改めて黒澤明監督と「七人の侍」(1954年)が、いかに世界からリスペクトされきたかがわかる。