2026年10月18日日曜日

映画「ウォーリー」

 Wallie

前回のゴミ問題をテーマにした絵画の続きで、同じテーマの映画を。「ウォーリー」は、ゴミをテーマにしたディズニーアニメの傑作だ。


近未来、人間はゴミに覆われて生物がいなくなった地球に住めなくなり、巨大宇宙船に移住している。一人残されたロボットのウォーリーは、与えられた任務のゴミ処理の仕事をしている。しかしウォーリーはロボットだが、人間の感情を持っている。そしてゴミの山の中で奇跡的に生きていた一本の苗木を見つけ、大切に育てている。


やがて宇宙船が派遣した生物絶滅ロボットがやってきて、わずかに生き残った昆虫や草を焼き尽くしていく。ウォーリーは宇宙船に乗り込んでいき、生物絶滅ロボットを大量生産している工場を止めようとする。しかしそのハイテク工場は AI が支配していて、人間は AI にコントロールされている異様な世界だった。そして AI 対ウォーリーの戦いが始まる・・・

最後にウォーリーが勝って、人々を AI の支配から解放して、地球へ帰還させる。ウォーリーが大事に守ってきた一本の苗木を廃墟の地球に植えると、やがて草木が育ち始める。そしてディストピアだった地球が、人間が住むことができる希望の地に蘇り始める・・・


この映画について聖書学者のアデル・ラインハルツは、「ハリウッド映画と聖書」の中でこう解説している。「ウォーリーの物語は、滅びた生命を救い出し、命あるものが栄える世界へ帰還する、という聖書のビジョンと完全に重なっている。創世記の中にある『見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる』という言葉をこの映画はモチーフにしている」

2026年10月17日土曜日

ゴミ問題をテーマにしたアート

 Garbage Problem in art

ゴミ問題は深刻で、プラスチックごみの海洋汚染や、ゴミ焼却場の排ガスによるオゾン層の破壊や、東京の夢の島や四国の豊島などのゴミ捨て場の容量不足など、が問題になってきた。現代社会が生み出すおびただしい廃棄物に対する危機感をテーマにして作品化がされている。いずれもゴミによって破壊されたディストピア的世界を表現している。


アイスランドの画家グドゥムンドル・エロの「カースケープ」(1954年)という作品は、廃車置き場に捨てられた自動車を描いている。地球を覆い隠すかのようにびっしりと隙間なく集積された車には、現代の大量消費社会への批判が込められている。



イブ・タンギーの「狐の増殖」(1954 年)は、プラスチックごみのような奇妙な形の物体がびっしりと捨てられている。人間の痕跡がない風景は、題名通り増殖したゴミが人間の住む場所を奪っているディストピア的世界だ。



ゾルタン・ケメニーの「郊外の景色」(1961 年)は、輪切りにした金属のチューブを溶接してびっしりと敷き詰めたレリーフ作品で、題名どおり郊外のゴミ捨て場に捨てられたゴミをイメージしている。金属素材を使うことで。機械文明への批判を込めている。



2026年10月16日金曜日

ディストピア・シティ

 Dystopia City

SF 映画などによく出てくる未来のディストピア都市の風景をネットから集めてみた。人口の過密状態、環境破壊による汚染、非人間的な住環境、などの 文明の発達が行き着いた末の絶望的で終末的な都市の姿を描いている。







2026年10月15日木曜日

ドキュメンタリー「彼女の権利、彼らの決断」

 Reversing Roe

「彼女の権利、彼らの決断」(NETFLIX)というドキュメンタリーは、「妊娠中絶は合法」という最高裁の判決を、トランプ大統領が覆して、中絶を非合法化しようとしていることに対する反対運動を描いている。

2017 年、トランプが大統領になると、選挙で支持を受けたキリスト教保守派の意向を受けて、妊娠中絶禁止法案を成立させようとする。禁止賛成派はキリスト教の教えである「受精した卵はその瞬間に人格を持つ」という考えをもとに、中絶は殺人であると主張する。

さまざまな理由から、中絶を望む女性が多い。しかし禁止法案は、女性自身が産む産まないを選択する権利を奪うものだとして猛反対が起こる。

アメリカだけでなく、女性は子供を産む道具だという考え方から、出産に関わる問題に国が介入して、女性の決定権や人権が奪われている国は多い。まるでマーガレット・アトウッドの小説「侍女の物語」のような世界だが、日本でも「子供を産まない女性は非生産的だ」と公言した国会議員がいた。


2026年10月14日水曜日

透過光を描く

 Transmmited Light

光が物に当たったとき、反射、吸収、透過の3つの性質がある。静物画ではそういう光を描くのが面白い。中でも透過光は複雑で面白い。


ガラス製品は光を強く反射するが、同時に透過もする。反射光と透過光がからみあって複雑な光になる。ウィスキーの入ったグラス、ビー玉のいずれも透明なので、光が入った側の反対側が透過した光でボーッと明るくなる。


果物にも透明なものがある。ブドウの果肉は透明なので、光が果肉を透過して、暗い部分がかすかに明るくなる。ビー玉と似ている。


オレンジやミカンも果肉が透明なので、透過光が見える。果肉の薄い部分は厚い部分よりよく透過するので明るくなる。



2026年10月13日火曜日

マーチン・ジョンソン・ヒード の 植物画

 Martin Johnson Heade

ボタニカル・アートは、カルチャーセンターなどでお手軽な趣味として流行しているが、写真の通り描くだけの絵で、草花の活き活き感がない。植物図鑑の挿絵のような死んだような絵だ。

対照的なのがマーチン・ジョンソン・ヒードで、もともとは風景画家だが、風景の中の草花をクローズアップで描くようになった、ボタニカル・アートと違って、植物が生きている野生の環境も含めて活き活きと描いた。熱帯で取材をして描いた食虫植物の絵では、生々しくて不気味な感じさえする。(画像:「Matin Johnson Hede」より)




2026年10月12日月曜日

映画「ハンドメイズ・テイル」(侍女の物語)

 Handmaid's Tale

カナダの女性作家 マーガレット・アトウッドは、ノーベル文学賞の有力候補だったが、今年は受賞しなかった。しかし代表作「侍女の物語」の、世界中に与えたインパクトの大きさから、いずれ受賞するに違いない。

「侍女の物語」は、宗教原理主義者が政権を奪取して、独裁政治をしている国の物語だ。出生率の低下を食い止めるために、すべての女性から仕事と財産を没収し、妊娠可能な女性たちを「侍女」として、強制的にエリート層の男の邸宅に送り込む。「侍女」たちはあくまで出産の道具だ。

「侍女の物語」は、このような近未来社会を描いたディストピア小説だが、今から 40 年くらい前の1985 年に書かれた当時は、 SF ファンタジー小説としか思われていなかった。しかし近年になって、この小説が書いているディストピア社会が現実のものになってきて、この小説が現代への警告だと受け止められるようになった。

特にそれがはっきりしたのは、トランプが大統領になって、支持基盤のキリスト教原理主義団体の主張をもとに、妊娠中絶禁止の法律を作り、女性の産まない権利を奪おうとしていることだ。これに対して、人権侵害だとして猛烈な反対運動が起きている。

小説は「ハンドメイズ・テイル」という題名で映画化されたが、小説どおり侍女は、白いフードと赤いガウンを着ている(上図)。反対運動の女性たちは抗議デモで、これと同じ服装を着て抗議している。左図のプラカードの「これはフィクションではない」の「フィクション」は「侍女の物語」を指している。右図のように全員が「侍女」の服装を着ている。「侍女の物語」は、女性人権運動のシンボルになっていて、この小説の影響力の強さを物語っている。

(写真はロイター/アフロより)