2026年7月16日木曜日

廃墟の工場

Ruined Factory

 15年くらい前、工場の絵を描いていた頃の一枚。きっかけは福島の原発事故で、連日のようにTVで壊滅状態の原発の映像が映されていた。近代産業の「終わり」を思わせるようだった。これは、地元にある実際の工場をモチーフにして、津波で流されて何もなくなった中に一つだけ残った廃墟の工場のイメージを描いた。

「取り残されて」12号  パステル

同じ頃、やはり廃墟の工場を公募展用に50号で描いた。モチーフは地元にある火力発電所だが、最先端のピカピカの工場を申し訳ないが廃墟に変えてしまった。

「崩れゆく神殿」50号 パステル


2026年7月15日水曜日

絵画で読む『失われた時を求めて』

 In Search of Lost Time


プルーストの大長編小説「失われた時を求めて」は、ご多分にもれず自分も途中で挫折したが、その魅力をわかりやすく解説するいい本が出た。この小説には、たくさんの絵画が登場するが、それらの絵画を、小説がどう書いているかを解説している。

小説はプルースト自身の若い頃の経験を記した ”精神の放浪記” とでもいえる内容だが、そのおおりおりの感情を絵画に託して語っている。例えば小説にこんなくだりがある。主人公の画家ベルゴットがフェルメールの「デルフトの眺望」をながめながら息を引き取るシーンで、次のように書いている。

「・・・フェルメールの「デルフトの眺望」を見るために展覧会に出かけた。初めてベルゴットは青い服を着た小さな人物が何人かいること、浜辺がバラ色であること、最後に小さな黄色い壁面の貴重なマチエールに気がついた。目まいはひどくなってきたが、ベルゴットは子供が捕まえようとする黄色いチョウをじっと見るように、その貴重な小さな壁面をじっと見つめた。・・・」

このように小説は、主人公がこの絵を詳細に見つめている様子を書いているが、もちろんこれはプルースト自身の経験である。この本は小説に登場する絵画を手がかりにして「失われた時を求めて」を理解しようとしている。


2026年7月14日火曜日

「寒風」

 Cold Wind

20年くらい前、稚内あたりのオホーツク海の海岸を車で走っていた時、この風景を見かけた。冬は休漁中の漁船は陸に上がったままだ。車から出ると強風で猛烈に寒い。絵にしたが、寂寥感のようなその場の「ムード」が出せていない。どうかしたいと考えている。

「寒風」8号 パステル


2026年7月13日月曜日

「湖の秋」

 Autumn Lake

これも倉庫から出てきた絵。やはり20 年くらい前だが、描き終わって即ボツにしたので、一度も日の目を見ていない。かわいそう(?)なので、大幅に手を加えてみた。北海道の大沼公園の湖。

「湖の秋」 8号 パステル

2026年7月12日日曜日

ドキュメンタリー「 FIFA を暴く」

 FIFA Uncoverd

ワールドカップでレッドカードをもらったアメリカ選手を、トランプ大統領が取り消すようにFIFA 会長に圧力をかけたらあっさり認められたというニュースには驚いた。トランプ大統領はいつものことだから驚かないが、平然とトランプの言うなりになったFIFA 会長の方に驚いた。

ちょうど今 NETFLIX で「FIFA を暴く」というドキュメンタリーをやっているのを見たがもっと驚きだった。大会開催国決定をめぐる汚職、スポンサー企業からの賄賂、会長選挙をめぐる買収、会長が私腹を肥やす汚職、などが渦巻くFIFA 腐敗の歴史を暴いている。具体的に以下のような出来事が取り上げられている。


① 2015年に FIFA幹部14名が汚職容疑でFBIに逮捕された。

②プラッターが会長選挙で、2010年の開催国を南アフリカにするという密約をして、アフリカ諸国の票を集めて当選した。

⓷2018年ロシア大会の開催国決定に際し、プーチン大統領との裏取引があった。


2026年7月11日土曜日

「森のボート」

 A boat in the wood

倉庫を整理しているが、古い絵がたくさん出てくる。これは北海道の大沼公園で、紅葉の森の中に取り残された魚釣りのボートが印象的だった。メモを見たら2005年だったので、今からほぼ20年前になる。

「森のボート」12号 パステル

2026年7月10日金曜日

トーマス・コールの絵画「帝国の推移」

The Course of Empire 

19 世紀にアメリカの西部開拓を賛美する絵画として、前々回は「アメリカの進歩」、前回は「西へ、帝国は進む」をあげたが、それと同じ頃、トーマス・コールが西部開拓を批判する「帝国の推移」という絵を描いた。

この絵が描かれたのは19 世紀の第7代大統領ジャクソンの時代で、強引な西部開拓や、先住民の強制移住や、むやみな領土拡大や、目先の利益だけを求める経済政策、などまるで王のような独裁政治を行なっていた。・・・今のトランプ大統領とそっくりだ。

それに対して知識層は、その政治はアメリカを破滅に導くと危機感を募らせていた。トーマス・コールも、自然を破壊し、領土を拡大し、急速に開発を進める政治を「帝国主義」だと批判し、帝国はやがて滅びると予言するために「帝国の推移」を描いた。5連作の絵で、「未開」「牧歌」「帝国」「衰退」「荒廃」の 5段階で文明の発展から衰退までを描いた。


「未開」まだ手付かずの大自然があり文明はまだない。先住民が狩りをしている。

「牧歌」白人が入ってきたが、羊を飼ったり、釣りをしているのどかな風景。

「帝国」帝国が繁栄する。ローマ帝国のような壮麗な建築がたち並んでいる。

「衰退」戦争が起こり、殺し合いになる。建物は破壊され帝国は衰退していく。

「荒廃」廃墟になった建物だけがわずかに残り、人は誰もいない。