2026年10月22日木曜日

幻想のパリ

Erick Desmazieres 

20 世紀のフランスの画家エリック・デマジエールは、パリの街を幻想的かつ魅力的に描いた。


「パサージュ」は、パリにあるガラス屋根付きの道で、日本の商店街と同じく、道の両側に小さい店が並んでいる。その道をを何十倍にもスケールアップして途方もない大きさに描いている。魚眼レンズで撮ったかのように柱が曲がっていて、大きさが強調されている。


パサージュをさらに抽象っぽくして、トンネルのような巨大空間が無限に続いているような幻想的な風景。不気味な魔窟のようだ。


広場の中心で真上の空を見上げている。魚眼レンズで撮ったように、周囲の建物が全部見えている。


骨だけになった建物が並ぶ廃墟になった街。3点透視のパースが、スケール感を出している。


廃墟になった建物の内部。デマジエールは図書館の絵をたくさん描いたが、これはそのひとつで、上部に丸い天窓があり、本が詰まった壁はぐにゃぐにゃに崩れている。



2026年10月21日水曜日

大都市の幻想 ヒュー・フェリス

Hugh Ferriss 

ニューヨークの摩天楼のビルが建築ラッシュになった1920 年代に、ヒュー・フェリスは、建築レンダラーとして活躍した。レンダラーだから自分で建築の設計はしない。だがレンダリングとしての絵だけでなく、架空の建築のイメージを絵画として描いた。それは、巨大なコンクリートの塊が人間を圧迫するような不気味で幻想的なイメージだった。 ”夢の近代都市” ではなく、逆にディストピア的イメージだ。(画像は「The Metropolis of Tommorow」より)





ヒュー・フェリスのこのような、高層ビルが立ち並ぶ都市の光と闇が交錯する暗いイメージは、映画にもさかんに引用された。そのひとつ映画「バットマン」に登場する「ゴッサム・シティ」は有名だ。悪のはびこる犯罪都市を、ヒュー・フェリスのイメージで描いている。


2026年10月20日火曜日

ギーガーの「呪い」

H.R.Giger

ギーガーは、無機的な都市に人間が取り込まれて、人間が機械の一部になってしまっている現代社会を描いた。この「呪い」という絵は、細いパイプが縦横に張り巡らされた都市空間の中に、人間がその一部になっている悪夢のような光景だ。ギーガーはこのような機械と一体となって、生きながら死んでいる人間を「バイオメカニカル」と呼んでいた。


これは1974 年の作品だが、このパイプが張り巡らされた都市空間は、今でいえばインターネット空間だろう。「Web」 とは「蜘蛛の巣」という意味だが、Webという蜘蛛の巣に人間が捕えられているディストピア的光景だ。

ギーガーの絵は CG に見えるが、実際はエアブラシを使って手描きで描いている。数年前に日本で「ギーガー展」があったが、原画を見ることができた。なおギーガーは映画「エイリアン」の、あの不気味な地球外生物のデザインをしたことでも有名だ。


2026年10月19日月曜日

AI を悪用する偽サイト

 Generative Engine Optimization

最近の詐欺メールは、一目で見分けがつかないくらい巧妙になっているようだ。それは生成 AI を悪用する手口だ。生成 AI 検索エンジンは、ネット上にある情報をコピペして答えをまとめているだけだから、偽サイト側が、 信頼性のある情報のように見せかけると、AI は騙されて、それを引用したり「おすすめサイト」としてリンク付けしてしまう。すると普段からAI をありがたがるユーザーは、偽サイトにアクセスしてしまう。

もともとこれは、企業などが自分のサイトへのアクセス数を増やすために、AI に引用されやすくしたり、リンク付けされやすいように情報の作り方を工夫する。例えば客観的な数値データを示したり、専門家の意見をのせて権威づけたりする。このように、情報コンテンツを生成AI 向けに最適化するのを GEO (Generative Engine Optimization) というそうだ。これについて最近、日経新聞に下記のような記事があった。



2026年10月18日日曜日

映画「ウォーリー」

 Wallie

前回のゴミ問題をテーマにした絵画の続きで、同じテーマの映画を。「ウォーリー」は、ゴミをテーマにしたディズニーアニメの傑作だ。


近未来、人間はゴミに覆われて生物がいなくなった地球に住めなくなり、巨大宇宙船に移住している。一人残されたロボットのウォーリーは、与えられた任務のゴミ処理の仕事をしている。しかしウォーリーはロボットだが、人間の感情を持っている。そしてゴミの山の中で奇跡的に生きていた一本の苗木を見つけ、大切に育てている。


やがて宇宙船が派遣した生物絶滅ロボットがやってきて、わずかに生き残った昆虫や草を焼き尽くしていく。ウォーリーは宇宙船に乗り込んでいき、生物絶滅ロボットを大量生産している工場を止めようとする。しかしそのハイテク工場は AI が支配していて、人間は AI にコントロールされている異様な世界だった。そして AI 対ウォーリーの戦いが始まる・・・

最後にウォーリーが勝って、人々を AI の支配から解放して、地球へ帰還させる。ウォーリーが大事に守ってきた一本の苗木を廃墟の地球に植えると、やがて草木が育ち始める。そしてディストピアだった地球が、人間が住むことができる希望の地に蘇り始める・・・


この映画について聖書学者のアデル・ラインハルツは、「ハリウッド映画と聖書」の中でこう解説している。「ウォーリーの物語は、滅びた生命を救い出し、命あるものが栄える世界へ帰還する、という聖書のビジョンと完全に重なっている。創世記の中にある『見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる』という言葉をこの映画はモチーフにしている」

2026年10月17日土曜日

ゴミ問題をテーマにしたアート

 Garbage Problem in art

ゴミ問題は深刻で、プラスチックごみの海洋汚染や、ゴミ焼却場の排ガスによるオゾン層の破壊や、東京の夢の島や四国の豊島などのゴミ捨て場の容量不足など、が問題になってきた。現代社会が生み出すおびただしい廃棄物に対する危機感をテーマにして作品化がされている。いずれもゴミによって破壊されたディストピア的世界を表現している。


アイスランドの画家グドゥムンドル・エロの「カースケープ」(1954年)という作品は、廃車置き場に捨てられた自動車を描いている。地球を覆い隠すかのようにびっしりと隙間なく集積された車には、現代の大量消費社会への批判が込められている。



イブ・タンギーの「狐の増殖」(1954 年)は、プラスチックごみのような奇妙な形の物体がびっしりと捨てられている。人間の痕跡がない風景は、題名通り増殖したゴミが人間の住む場所を奪っているディストピア的世界だ。



ゾルタン・ケメニーの「郊外の景色」(1961 年)は、輪切りにした金属のチューブを溶接してびっしりと敷き詰めたレリーフ作品で、題名どおり郊外のゴミ捨て場に捨てられたゴミをイメージしている。金属素材を使うことで。機械文明への批判を込めている。



2026年10月16日金曜日

ディストピア・シティ

 Dystopia City

SF 映画などによく出てくる未来のディストピア都市の風景をネットから集めてみた。人口の過密状態、環境破壊による汚染、非人間的な住環境、などの 文明の発達が行き着いた末の絶望的で終末的な都市の姿を描いている。