2026年3月25日水曜日

「家族」がテーマの映画

 Family

「家族」が主題の映画で、とくに家族の「崩壊と再生」のテーマに秀作が多い。思い出すままにあげると。

・バラバラだった親子が、協力して家を建てることで絆を取り戻す「海辺の家」
・離婚した夫婦が、一人息子の親権をめぐって裁判で争う「クレイマー・クレイマー」
・暴力的な長男、軟弱な次男、毅然とした三男、の3兄弟が争う「ゴッドファーザー」


そのなかで、「海辺の家族たち」も、家族の崩壊と再生がテーマの映画で、印象に深く残っている。

老いた父親が病で倒れたことから、兄妹3人が久々にマルセーユ近郊の父の家に集まり、今後のことを話しあう。上の兄は地元で父の小さなレストランを継いでいる。妹はパリで人気女優になっている。下の兄は最近リストラされて婚約者にも捨てられそうになっている。

3人が話しあう中で、それぞれが胸に秘めた過去があらわになっていく。そしてこれからの自分たちの人生を見つめ直していく・・・

後半は、ある事件が起きて、それをきっかけに家族の絆を取り戻していく・・・

2026年3月24日火曜日

モホリ=ナジの「フォトグラム」

 Photogramme

モホリ=ナジは、造形芸術のさまざまな分野で、革新的な活動を行ったが、そのひとつが「写真」だった。写真による画期的な造形技法の「フォトグラム」を始めた。引き伸ばし機の上の印画紙にいろいろな物を置いて直接露光する。影の部分は白くなり、光が当たったところは黒くなる。さらに画像を描いたセロハンシートを挟んだりすると、ハーフトーンが生まれたりして、より複雑な画像が作れる。

右は 1922 年の「フォトグラム」の作品で、モホリ=ナジがいかに先駆的な活動をしていたかがわかる。

写真に凝っていた若い頃、自分でも「フォトグラム」をやってみた。上の2枚は単純に物を置いただけのプリミティブな作品だが、モホリ=ナジの説明のなかに、液体を使うこともできる、とあったので、やってみたのが下の1枚。



2026年3月23日月曜日

モホリ=ナジ の「ビジョン・イン・モーション」

 「Vision in Motion」

何十年ぶりかで、モホリ=ナジの「Vision in Motion」(日本語訳版)を読み返している。

題名のとうり、「動きの視覚」が、ホリ=ナジの追求したテーマだった。2次元の絵画、3次元の彫刻、を超えて時間により変化する4次元芸術によって視覚芸術の世界を大きく広げた。そして今では「メディア・アートの先駆者」と呼ばれている。当時(「Vision in Motion」の執筆は1943 年)はメディア・アートという言葉はなかったが、IT 時代の今、センサーなどのデジタル技術を使ってインタラクティブなメディア・アートに発展している。

例えば、メディア・アーティストの三上晴子の「視線のモルフォロジー」という作品で、視線入力装置(障がい者が手を使わず視線で PC 操作ができる装置)を使って、見る人の視線を検出して、3次元の仮想空間の中に視線の軌跡を描く。人間を入力装置に使って映像を変化させるインタラクティブ・アート。


2026年3月22日日曜日

モホリー=ナジ式の造形教育

 Moholy=Nagy  

前回書いたモホリー=ナジはバウハウスで教鞭を取っていたが、その眼目は「光」「空間」「動き」による造形だった。日本でもその造形教育をそのまま取り入れていた。当時の課題作品の写真が少しだけ残っていた。

木材を加工して作った、たくさんの L字形のユニットを組み合わせた構成。クレーのようなソリッドな造形ではなく、空間の造形がテーマの課題。

金属板を加工して立体造形を作る。薄い素材を使うことで出来る空間の構成が題目。

2026年3月21日土曜日

モホリ=ナジ と メデイア・アート

Moholy=Nagy  

日経新聞の連載記事「メデイアアート的視点」は、現在のメディアアートの起源になった古典的な作品を紹介している。そのなかで、モホリ=ナジの「光・空間・調節器」が取り上げられていた。

光を反射する金属やアクリル板を組み合わせた立体造形で、モーターによって回転する。そこに光を当てて、反射光や透過光を壁面に投影する。空間の状態を動的に変化させる「光による造形」を目指していた。

モホリ=ナジがバウハウスの教授だった1930 年の作品で、現在のメデイアアートにつなる先駆的な作品だった。




文化庁主催の「メディアアート芸術祭」に、光や映像による造形作品が毎年出品される。プロジェクションマッピングを使って空間全体への没入体験をさせたり、観客の能動的な参加により映像を変化させるインタラクティブアートや、作品を室内空間や建築空間へ拡張する環境芸術や、環境を光と影で変化させるオーギュメンテッドアートなど。最新の技術を利用したテクノロジーアートに発展させている。




2026年3月20日金曜日

ダイアモンド富士

 Diamond Fuji

冬の晴れた日の夕方にはダイアモンド富士が見える。(135 mm 望遠レンズで撮影)



2026年3月19日木曜日

子供用椅子の著作権訴訟

copyright suit

ノルウェーメーカーの幼児用椅子のデザインを模倣した日本メーカーが著作権侵害で訴えられた裁判で、二審の高裁が著作権侵害に当たらないという判決を下した。現在、最高裁で引き続き争われている。(下は日経新聞 3 / 16 の記事)


二つは下のようなデザインで、左が原告側のノルウェーの椅子で、右が被告側の日本メーカーの椅子。高裁判決では、二つのデザインは類似していないから、著作権侵害に当たらないとした。


オリジナルのデザインは、乳児から幼児、子供、大人まで一生使い続けられる椅子というコンセプトから生まれた。今から50 年も前から、今でいうSDGs の発想があったのが素晴らしい。それを実現するためには、成長に合わせて座面の高さを変化できる必要がある。そのために独創的な斜めの構造が生まれた。それは普通の4本脚の椅子では不可能だ。だからこの形は、見た目の美しさを狙ったものではない。


そのような、この椅子の独創性が、高裁では理解されなかったようだ。そして「家具は実用品であるので、創作性を備えた美術作品と違って、著作権の範囲は限定的である。」と言っている。つまり実用品のデザインには、美術品のような独創性は認めないと言うのだ。家具に限らず、日用品でも家電製品でも、美術鑑賞のためにデザインされる製品などない。だからこのおかしな判決が確定してしまうと、デザインはすべて「パクリ」自由になってしまう。最高裁で判決が覆ることを願いたい。