Handmaid's Tale
カナダの女性作家 マーガレット・アトウッドは、ノーベル文学賞の有力候補だったが、今年は受賞しなかった。しかし代表作「侍女の物語」の、世界中に与えたインパクトの大きさから、いずれ受賞するに違いない。「侍女の物語」は、宗教原理主義者が政権を奪取して、独裁政治をしている国の物語だ。出生率の低下を食い止めるために、すべての女性から仕事と財産を没収し、妊娠可能な女性たちを「侍女」として、強制的にエリート層の男の邸宅に送り込む。「侍女」たちはあくまで出産の道具だ。
「侍女の物語」は、このような近未来社会を描いたディストピア小説だが、今から 40 年くらい前の1985 年に書かれた当時は、 SF ファンタジー小説としか思われていなかった。しかし近年になって、この小説が書いているディストピア社会が現実のものになってきて、この小説が現代への警告だと受け止められるようになった。
特にそれがはっきりしたのは、トランプが大統領になって、支持基盤のキリスト教原理主義団体の主張をもとに、妊娠中絶禁止の法律を作り、女性の産まない権利を奪おうとしていることだ。これに対して、人権侵害だとして猛烈な反対運動が起きている。
小説は「ハンドメイズ・テイル」という題名で映画化されたが、小説どおり侍女は、白いフードと赤いガウンを着ている(上図)。反対運動の女性たちは抗議デモで、これと同じ服装を着て抗議している。左図のプラカードの「これはフィクションではない」の「フィクション」は「侍女の物語」を指している。右図のように全員が「侍女」の服装を着ている。「侍女の物語」は、女性人権運動のシンボルになっていて、この小説の影響力の強さを物語っている。










