2026年6月30日火曜日

TV CM 「アメリカの朝」

Reagan 「Morning in America」

選挙戦といえば最近は、SNS が使われているが、中には目にあまるような偽画像も多い。しかしまだ SNS のない時代に、選挙圧勝に導いた有名な TV CM がある。、

1984 年の大統領選挙で、ロナルド・レーガンが圧勝したとき、強力な宣伝が繰り広げられた。アメリカの大手広告会社のハル・ライニーという広告マンが制作した「アメリカの朝」という TV CM は政治広告の最高傑作として今でも有名だ。

人々が働きだす朝を静かに映し出す映像から始まる。明け方に海へ出ていく漁船、タクシーを降りるビジネスマン、畑で作業する農夫、新聞を配達する少年、結婚式をあげる二人、幸せそうなお年寄り・・・などを映し出す。そして静かな声でナレーションが重なる。「再びアメリカに朝がやってきた。・・・彼らは明るい未来を信じることができる。・・・我が国は、より誇り高く、より強く、より良い国になった。・・・」


レーガン大統領は「Make America Great Again」を掲げて(今トランプ大統領がそれを真似している)アメリカ経済を立て直した立役者だが、この CM では政策や経済問題などは一切語らないで、古きよきアメリカという情緒に訴えて、愛国心と安心感を刺激する。国民の共感を得るには「物語」が必要だといわれるが、この CM はそのはしりだった。

2026年6月29日月曜日

ドキュメンタリー「アメリカン・エクスペリメント」

 American Experiment

今年はアメリカ建国 250 年だが、トランプ大統領が巨額の税金を使って派手な記念イベントをやったことに対して国民の猛反発を受けている。そこへタイミングよく、NETFLIXで「アメリカン・エクスペリメント」というドキュメンタリーの配信が始まった。

アメリカがイギリスから独立し、13の州が合体しで合衆国が成立して、憲法を作って議会が始まり、ワシントンが初代大統領になる・・・といったアメリカ建国の歴史をたどっている。それは世界で初めて「民主主義」という概念を基本にして作った国家であり、それは壮大な「実験」だった。だからタイトルは「アメリカン・エクスペリメント」=「アメリカの実験」になっている。

その実験は危うく、いつも崩壊の危険性をはらんできた。そしてこれからもアメリカ建国の理想が崩れる危険性があると警告している。番組は歴史ドキュメンタリーの形をとりながら、明らかにトランプ大統領の暴政への批判をしている。

例えば、第5話の「ワシントンの警告」では。初代大統領のジョージ・ワシントンが就任した頃、政権内の激しい路線対立があったことから、ワシントンは退任後、国家を破滅に導かないためには「過度な党派心に陥るな」と強い警告を発した。番組ではそれを踏まえて、 2021 年の トランプの MAGA 派による議会襲撃事件が、ワシントンが警告したような、党派心による分断と独裁が民主主義の危機をもたらしていることを突きつけている。

番組の最後で、トランプ大統領への大規模な抗議デモが全米で起きていることを紹介している。巨大な横断幕に「We the People 」(われら人民)と書かれている。これは合衆国憲法の序文にある言葉で、国家の主権は政府や大統領にあるのではなく一般市民にあることを宣言する言葉だ。



2026年6月28日日曜日

ワイエスの「風」の絵

 Wveth ”Wind”

ワイエスには「風」をテーマにした絵がある。

「海からの風」
室内は古く汚れていて、ブラインドは半分降りている。人の気配を感じない静寂の部屋だ。屋外は曇っていて、原っぱだけの寂しい風景が見える。遠くに海が少しだけ見えていて、そこから吹いてくる風がレースのカーテンを揺らしている。風のおかげでどこか哀愁を感じさせる。


「洗濯物」
干してある洗濯物が風になびいている。下には洗濯カゴがあり、そばには犬がいる。家の中の何でもない片隅の風景をワイエスをよく描いた。人間は描かれていないが、人間の存在とその生活感が伝わってくる。


「ペンテコスト」
魚網が干してあり、風にたなびいている。遠くに海が見えている。画面全体がほぼ網だけで構成された造形が面白い。


「クリスチーナ・オルソン」
体の不自由で外へ出られないクリスチーナが戸口に座って外を眺めている。髪の毛が風になびいている。風を感じながら、外の世界へ想いをはせている。



2026年6月27日土曜日

映画を早送りで観る人たち

 Streaming Movie

最近、映画を見るのが、NETFLIX 中心になってしまった。NETFLIX オリジナル作品がすごい量で配信されているが、それらは映画としてのレベルは必ずしも高くない。アカデミー賞などの賞をもらったという話は聞かない。そしてシリーズドラマが多いのも特徴だが、長すぎて間延びした内容が多く、2時間に凝縮されている映画のような密度感がない。だからつまらない部分はどんどん早送りで飛ばしながら見る。

NETFLIX が盛んになり始めた3年ほど前に出た「映画を早送りで観る人たち」(稲田豊史)という本は、 NETFLIX で映画を観る若者たちの実態を調べている。

 「”コスパ” のために、2時間の映画を1時間で観たい」
 「つまらないと感じたら、あとはずっ 1.5 倍速」
 「会話のないシーンは即飛ばす」
 「観る前にネタバレサイトをチェック」
 「最初と最後が分かればいい」
 「セリフで全部説明してくれない映画は”つまらない”」
 「友達との会話に入っていけないから、話題の映画は見ておく」

などを指摘している。要するに映画は「鑑賞」するものではなく、ファストフードのように ”ファスト映画” として「消費」するものになってしまった。見る側のこういう視聴スタイルの変化が作る側の作品作りにも影響して、レベルの低い映画が蔓延することになる。

2026年6月26日金曜日

映画界のビッグ3

 Theater to Streaming

ネット配信の普及で、映画界の勢力図がすっかり変わってしまった。そもそもこうなるまでの映画会社の歴史とはどういうものだったかについて「ハリウッド100 年史講義」(北野圭介)に詳しく解説されている。そのおおまかな歴史は・・・

1920 年頃から映画は、それまでの職人的監督による見せ物的な映画から脱却して「映画産業」として成長していく。映画制作は、計画的・効率的に行われるようになる。「シナリオ」が導入され、「プロデューサー」のもとで、システマティックに映画作りがされるようになる。

そして1930 年頃に生まれた「トーキー革命」により、映画産業は「黄金期」をむかえる。観客を集めるための劇場確保に多大な設備投資が行われた。そして映画会社の競争が激化した時、大恐慌が起こる。その結果、映画会社の淘汰と再編が起こり、「ビッグ5」と「リトル3」が生き残る。

「ビッグ5」とは、パラマウント、MGM、20世紀フォックス、ワーナー・ブラザース、RKO、の5社。「リトル3」とは、ユニバーサル、コロンビア、ユナイテッド・アーチスト、の3社。


戦後になると、この8社すべてに「独占禁止法」の適用がなされることになる。制作、配給、上映まで垂直統合されていた各映画会社は、劇場チェーンの切り離しを余儀なくされる。また制作を誰でも行えるようになり、独立系映画会社がたくさんできる。やがてほとんどの作品が独立系の会社が作り、ビッグ5は、ただ配給をするだけになってしまう。映画会社の収益は悪くなり、他種の業界の巨大企業に吸収合併されるようになる。これらにともなって映画自体の質も大きく変化してきた・・・


・・・という歴史の流れの中で、現代はネット配信が主流の時代になった。NETFLIXはオリジナル作品を次々に制作している。また従来の映画会社から作品のライセンスを買い取り、ネット配信をしている。ということで、現代のハリウッドの新たな勢力圏は「ビッグ3」と呼ばれている。それが

 1位:ネットフリックス
 2位:アマゾン・プライムビデオ
 3位:デイズニー+



2026年6月25日木曜日

沖縄慰霊の日

 Okinawa Memorial Day

おととい 6 / 23 は「沖縄慰霊の日」だった。81年前に沖縄戦で敗北し、日本の敗戦が決定的になった日だった。

米軍が上陸し、日本軍が壊滅し、20 万人が死んで、悲惨な状態にあった当時、メディアは沖縄戦をどう報じていたか。「朝日新聞『戦時社説』を読む」(室谷克実)という本は、開戦から終戦までの朝日新聞の社説すべてを調べているが、それによると、昭和 20 年5月 27 日の朝日新聞の社説は以下のように書いている。

  「沖縄に敵が上陸してから、まさに2ヶ月。我が必殺必沈の連続猛攻は大いなる戦果を
  上げつつあったが、24 日夜半よりさらに特別総攻撃の火蓋が切られ、義烈空挺隊は
  敵が先に奪取せる2飛行場にに突入、強行着陸して、敵を大混乱に陥らしめ、特別攻撃
  飛行隊もまたこれに策応して沖縄本島周辺に敵戦艦を猛攻。・・・敵の野望を挫折せしめ
  るためには、わが1億同胞はいかなる困苦にも耐えることを誓って、つづく大戦果を祈念
  するのである。・・・忠勇武烈の皇軍はいま、沖縄死守の大決戦を戦いつつある。これに
  呼応する国民の決意と情熱は天をつくばかりである。」

すでに沖縄が壊滅しているにもかかわらず、その事実を隠蔽し、なおも国民の戦意高揚を叫び、戦争を煽っている。

それから 81年後の今年。「沖縄慰霊の日」の6/ 23 の朝日新聞の社説はこう書いている。

  「・・・沖縄では在日米軍基地の集中に伴う過重な負荷が今も続く一方で、今の政府に
  沖縄の苦難の歴史を顧みる姿勢は見られない。・・・沖縄の悲惨な歴史を風化させるこ
  となく、語り継がなければならない。・・・」


2026年6月24日水曜日

ドキュメンタリー「ホロコーストの記憶と揺れる世界」

The Holocaust

先日(6 / 22)のNHKの「映像の世紀」で、「ホロコーストの記憶と揺れる世界」があった。ホロコーストが、現代の世界に及ぼしている影響を検証していた。ドイツは加害者の罪を背負い、アメリカは救えなかった自責の念を負っている。この二つの国が現在もイスラエルを支援しているが、そのことが今の揺れる世界の原因になってきたことを検証している。


番組でホロコーストについてどう思うか、というイスラエルでの世論調査について触れていたが、下記のような結果だったそうだ。

  「このようなことが、二度と起こってはならない」    →少数派
  「このようなことが、二度と我々に起こってはならない」 →多数派

日本人が二度と日本に原爆を落とすな、と言っているようなものだが、今イスラエルがやっていることの理由がわかる。