2026年8月22日土曜日

「戦争の文化」

 Culture of War

戦争が終わらない今の世界情勢から、「戦争の文化」を再読した。6年前の本なので、ウクライナやイランへの言及はないが、そんな現在進行形の戦争について考えるのにも、この本は参考になる。

「真珠湾攻撃」「広島の原爆投下」「9.11テロ」「イラク戦争」の4つを事例にして、戦争がなぜ起こるかの論考をしている。自らに都合の良い思考、異論や批判の排除、過度のナショナリズム、文化的・人種的偏見、などいずれの戦争にも共通する「戦争の文化」を検証している。

例えばアメリカがイラクを先制攻撃した戦争について、このように言っている。

2003 年にアメリカがイラク戦争を始めた時の理由づけは、1942 年に太平洋戦争に突入した時の理由づけとまったくよく似ている。共通するのは「屈辱」で、必ず報復しなければならないという感情だ。アメリカ人は真珠湾の奇襲攻撃の日を「屈辱の日」と呼び、それが現在でもアメリカ人の心の中に定着している。「屈辱」を決して忘れてはならないという意味だ。

2001 年にニューヨークでイスラム教徒による同時多発テロが起きた時、アメリカ国民のほとんどが反射的に思い出したのが「真珠湾」だった。不意打ちをくらって、たくさんの犠牲者を出した「屈辱」だ。テロリストの飛行機が高層ビルに突入する衝撃的な映像は、カミカゼ特攻機がアメリカ空母に突入する映像を思い出させた。ブッシュ大統領は「今日、21世紀の真珠湾が起きた」と言って「報復」すべしという国民感情に訴えた。そしてイラクに対する先制攻撃を開始した。

しかしイラク戦争は、むき出しの軍事力さえあれば敵を打ち破れると信じてしまった結果、完全な失敗に終わった。いままたアメリカはイランに先制攻撃を仕掛けているが、今回も同じ過ちを繰り返すに違いないということがこの本から読み取れる。


2026年8月21日金曜日

シーバス・リーガルのある静物

 Chivas Regal

ガラス製品だけをモチーフにして、シーバス・リーガル(パステル)





2026年8月19日水曜日

ドキュメンタリー「100 まで生きる」

Live to 100   Secrets of the "Blue Zones" 

NETFLIXのドキュメンタリー「「100 まで生きる  ブルーゾーンと健康長寿の秘訣」が興味ぶかい。平均寿命が 100 歳くらいの世界の4つの地域について現地調査をして、長生きの秘訣を探っている。それは、日本の沖縄、ギリシャのイカリア島、イタリアのサルディーニア島、などの離島で、古くからの独自の食文化が守られている地域だ。

沖縄編で取り上げているのは「大宣味村」(おおぎみそん)という沖縄本島の北端にある高齢者が多い村で、そこでは昔ながらの食習慣が守られている。主食は沖縄特産の「紅芋」で、タンパク質や糖質などが多い栄養豊富な食品だ。他にも豆類やゴーヤーなどの野菜がメインで、肉や魚はあまり食べない。

和食は、味噌汁、漬物、魚の干物など塩分がいっぱいの食べ物ばかりで、脳梗塞などになりやすい。しかしここの人たちは味噌汁、漬物、干物などはほとんど食べない。調味料も塩を使わず、油で炒めるだけ。高血圧などの高齢者の病気を防ぐ合理的な食事になっている。映画のなかで、調理の様子を解説付きで紹介しているので参考まで。→

https://www.youtube.com/watch?v=YxASpKajEGo&t=1s


酒のラベル

 Liquor Label

酒のラベルのデザインをモチーフに。

チンザノ(アクリル)

キャンパリ (コラージュ:ラベルの実物を絵に貼り付けた)

ハイネケン(パステル)

2026年8月18日火曜日

映画のパイオニア アリス・ギイ

 Alice Guy「Be Natural」 

19 世紀末に、世界で初めて映画を撮影したルミエール兄弟は「映画の父」として有名だ。しかし同じ頃に画期的な映画を作っていたアリス・ギイという女性映画監督についてはほとんど知られていない。

ルミエール兄弟が作ったのは有名な「工場の出口」のように ”記録映画” だった。それに対してアリスは、世界初の”劇映画” を作った。それが「キャベツ畑の妖精たち」という1分の映画で、若い女性が畑でキャベツを収穫すると、中から赤ん坊が出てくるという今でいえば ”ファンタジー映画” のようなものだが、当時は大人気だったという。

その後アメリカに渡って撮影スタジオを作り、1 0 0 0 本もの作品を次々に作り、大成功を収める。アクション映画、コメディ映画、歴史映画、戦争映画、ミュージカル映画、などの今では普通になっている映画ジャンルのほとんどを生み出していく。技術的にも、クローズアップ撮影、特殊効果、カラー化、映像と音のシンクロ、などの”世界初” をやっていく。

アリス・ギイの最大の功績は、俳優の演技に自然さを求めたことだった。生まれたばかりの当時の映画は舞台演劇を引きずっていた。大袈裟な演技をする舞台と違って、映画ではそんな必要がない。顔の微妙な表情も映すことができる。それで彼女が求めたのは不自然でない演技だった。スタジオに「Be Natural」(自然に振る舞え)という看板を掲げていたという。映画の本質をついたこの考え方によって映画は自立した芸術ジャンルになった。

これだけの功績をあげたにもかかわらず、アリスの名前は映画の歴史から消えていたのは、当時がまだ男社会だったからだという。5年ほど前の「映画はアリスから始まった」というドキュメンタリー映画でアリスの生涯と功績をたどっていた。


2026年8月17日月曜日

アルツハイマーと認知症

Alzheimer's And Dementia 

ある脳科学者によれば、アルツハイマー病になっても、認知症にならない人がけっこう多いという。そもそもアルツハイマー病とは、脳の中に有害な物質(アミロイド β)が溜まって脳の機能が低下する病気だが、脳には「認知予備能」という機能があり、ダメになった部分をその予備で補うという。

「認知予備能」は脳の認知機能の ”貯金” のようなもので、若い頃から脳を使う知的活動を続けてきた人は、脳にたくさんの ”貯金” ができている。そういう人はアルツハイマーになっても  "貯金" がカバーしてくれるから認知症にならないというのだ。そんな人はアルツハイマー病患者全体のうちの 20~30% くらいいるそうだ。


2026年8月16日日曜日

SNS の 良いニュースと悪いニュース

Confirmation Bias 

「知性はバイアスでできている」という本は、人間の「賢さ」と「愚かさ」について論じている実に面白い本で、その中から昨日に続いてもうひとつ紹介する。


SNS はバイアスまみれの情報を日々拡散している。それに対して、多くの人は自分の考えに合致する情報ばかりに注目して、さらにそれと同様の情報を集めたがる。しかし自分の考えとは違う情報は無視する。それによって自分の信念がますます強化され、自分を客観的に見直すことはしない。このバイアスは「確証バイアス」と呼ばれる。

例えば、自分は優秀だと自負している学生が、テストの点数が悪かった場合、問題が難しすぎたせいだと思い、自分の実力について見直すことはしないのと同じだ。

ところがテスト結果が悪かった学生が「テストなんか無意味だから止めてしまえ」とテストそのものを否定してしまう場合もある。そうすれば自分の能力についてあれこれ考える必要がなくなるからだ。

その最大の例がトランプ大統領で、さまざまなことで批判されると、個々の事案について具体的な反論をせずに、「メデイアはフェイクニュースばかり流している。」と言ったり、気候変動問題には、「気候変動は学者のでっち上げで、そんなものは存在しない。」と言ったり、国連でアメリカが非難されると「国連などいらないから脱退する。」と言ったりする。このように、メディアや、学者や、国際機関など、批判する相手そのものを全否定してしまえば、個々の論点についていちいち反論しなくても済んでしまう。これは誰にも論破されない最強の論法だ。