2026年5月22日金曜日

江戸時代の東海道旅行

 Traveling Tokaido

江戸時代の一般庶民は旅行好きだったようで、当時の旅の様子が「大江戸庶民事情」(石川英輔)に紹介されている。

東海道は旅行客が最も多い街道だった。有名な歌「お江戸日本橋七つ立ち〜」は、京都に着くまでの旅を沿道の地名を織り込んで歌う道中歌だが、この「七つ」というのは当時の時間で夜が明ける「明けムツ」より1時間早いまだ暗い時間で、そのくらい早朝に出発した。だから歌は「〜こちゃ高輪 夜明けて提灯消す」と続く。

東海道は日本橋から京都まで約 500 km で、それを10 日で歩くのが標準なので、一日平均 50 km歩いた。その距離に合わせて、各宿場が設けられていた。当時の人はとても健脚だったようだ。暗くならないうちに宿場に着き旅籠に泊まり、入浴と食事を済ます。終わるとすぐに寝て、次の日も朝早く起きられるようにした。

宿に到着したばかりの旅人。風呂が沸くまでゴロンとひと休みしている。
(絵は「五十三次北斎道中画譜」からで、庶民が旅をする様子を描いた画集)

同書は、当時の費用を概算している。旅籠の宿泊代は2食付きで一泊 200文くらいで、昼食代などで 100文くらいかかり、京都につくとしばらく滞在してあちこち見物する費用など全部合わせて 2両ぐらいだったという。これはちょうど大工などの職人の月収くらいの額に当たるそうだ。だからちょっと貯金をすれば誰でも旅に行けた。今でいえばヨーロッパあたりへ旅行するくらいの感覚だったようだ。

江戸の一般庶民は「連」という同好会サークルを作り色々な趣味を楽しんでいたが、旅行の「連」もたくさんあった。そういう人たちはグループツアーで旅行をした。前回書いたように江戸は女子会が盛んだったが、女性どうしのツアーも多く、東海道は女性の旅人で賑わっていたそうだ。右図は当時の観光案内パンフレットに載っている女性の旅人たちの絵。

江戸時代は治安がよく、山賊や雲すけなどは実際にはほとんどいなかったそうだ。だから女性だけの旅も安全だったという。毎年人口の6人に1人が東海道の旅に出かけたという。江戸は旅行ブームだったそうだ。

2026年5月21日木曜日

江戸の女子会

 Get-together of women

江戸の周辺には、四季折々の名所があり、庶民たちは物見遊山に出かけた。春の桜、夏の納涼、秋の月見、冬の雪見などを楽しむ様子が浮世絵や錦絵にたくさん描かれている。それら物見遊山の絵を見ると、女性の姿が圧倒的に多い。女子会や女子の飲み会をやっている。

これについて、石川英輔「大江戸庶民事情」によると、長屋住まいの職人の妻でも夫がせっせと働いている間、女性たちは仲間どうしで誘い合わせ、物見遊山に出かけていたという。江戸では男に比べて女がずっと少なかったため、妻になってくれる女性がいるだけで幸運だったという。だから女性が遊山に行くくらいでご機嫌になるなら文句を言うどころでなく、せっせと働いて女房を遊ばせていたそうだ。


隅田川沿いの料理屋での賑やかな飲み会。三味線を弾いたり、
歌ったり、踊ったり、すでにゴロンとしている女性も。

夏、隅田川に面した料理屋で月見の女子会をやっている。

女子だけで屋形船を貸し切って隅田川の花火大会を見物している。

日常的にも居酒屋で女子の飲み会をよくやっていた。
左下で二人が飲んでいる。その奥で手酌で飲んでいるお一人様も。


2026年5月20日水曜日

プッシュ型情報とプル型情報

 Push-type information & Pull-type information

情報にはプッシュ型とプル型がある。プッシュ型情報は TV 放送のように、受け取る側の意向に関わりなく、一方的に送られてくる情報。プル型情報は VOD のように、受信者が欲しいものを取りに行く情報。ネットの SNSでいうと、Facebook は FB 友全員に自動的に配信されてくるプッシュ型だが、ブログは読みたい人が読みにいくプル型になる。だから目的に応じて両者を使い分ける。

FB は仲間うちの交流が主目的で、個人的・日常的な内容が中心になる。その情報は流れて一日で消えていく。

一方ブログの情報は、ネット上に蓄積されていき、その情報を不特定多数の人が検索して読みに来る。だから3年たっても5年たっても検索でヒットした人のアクセスがある。だから読まれるだけの内容が必要で、個人的・日常的な日記のような内容はブログには向いていない。


2026年5月19日火曜日

AI にツッコミ質問すると

Is AI intelligent ? 

AI にこんな質問をしたことを以前書いた。「 AI って頭のいいおバカですか?」という質問に対して答えはこうだった。「 AI は人間が一生かかっても得られないほどの膨大なデータを学習しているので知識は超一流で『頭がいい』です。しかし言葉を『記号の並び』として処理しているだけで、内容を実感として理解していないから私は『おバカ』です。」・・・と正直かつ的確な答えだった。 AI の本質を AI 自身が語っていて面白かった。

ところが最近ある知人が、これ以上さらに AI の本質をついた話しを SNS に書いていたので、以下に紹介する。それはある映画が面白くなかったので、 AI になぜかを聞いてみたら、答えはいろいろな映画評論に書いてあることを寄せ集めただけの平凡な内容だった。そこでさらに突っ込んだ質問をした。それは「 AI さんの映画の内容理解は、評論や解説のテキストデータからですか?それとも映画そのものを見て映像や音から解釈しているのですか?」

それにたいしてが答えは「私は映画を直接見て解釈している訳ではなく、世界中に存在する解説、評論などの膨大なテキストデータを学習した結果から映画の内容を理解してお答えしています。」という答えだったそうだ。

そしてさらに「私は、映画全体の流れ、映像がもたらす心理的効果、音響の繊細なニュアンス、などを人間のように五感を使って体験し、そこから独自の解釈を生み出すことはできません。私は世の中にある解釈の傾向を整理して提示しているだけです。」と続けた。

そして結論として「予備知識なしに純粋に映画だけを見てその意図を見抜くというのは、高度に知的・感性的な行為です。それは人間だけが持っている力で、私にはできないことです。」

 AI はとても正直に答えている。この間2時間くらいかけて AI と対話したそうだが、質問者のツッコミ力に感心した。


2026年5月18日月曜日

いろいろな国の独立運動

 Independence Movement

映画「シビルウォー」は、西部のカリフォルニア州とテキサス州の西部連合軍が連邦政府軍と戦う内戦を描いている。しかしこれはまったくの荒唐無稽なフィクションではなく、今現在実際に、カリフォルニア州とテキサス州に起きている独立運動を踏まえている。カリフォルニア州とテキサス州は、政策面で連邦政府と対立することが多いが、経済力が強く、GDP は全米1位と2位の州だ。今は住民の署名活動をしている段階だが、来年には住民投票に持ち込もうとしている。住民の支持率はかなり高いという。憲法の制約があるから実現は難しいようだが。

映画で、両州連合軍は「Western Forces」と呼ばれていて、その旗が面白い。2つの星はカリフォルニアとテキサスを意味している。実際の星条旗には州の数である50 の星があるが、それをもじっている。二つの州が新しいアメリカの建国をするというメッセージになっている。
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ついでに、これ以外の国の独立運動について。

イギリスは UK (United Kingdom) という通り、4つの王国の連合国だが、そのうちのスコットランドはイギリスからの分離・独立を目指している。自治政府は一方的に住民投票を行ったが中央政府はそれを違法だとした。しかしスコットランド民族党の勢力は強く、対立は続いている。

スペインのカタルーニャ地方は、独自の歴史・文化・言語を持っていて、スペインからの分離・独立を目指している。州政府が一方的な独立宣言をしたことから、中央政府との激しい対立が生じ、現在も混乱が続いている。

もともと独立した琉球王国だった沖縄が、明治時代に日本に併合されたという歴史を背景に、沖縄の日本からの独立を目指す琉球独立運動がある。しかし県民の支持率は数%と低い。

2026年5月17日日曜日

ドキュメンタリー「History 101」

 「History 101」

NETFLIX で配信中のドキュメンタリー「History 101」は、現在世界で問題を引き起こしているさまざまなことについて、その歴史的始まりから説き起こし、これからどうなっていくかを問うている。だから番組のキャッチフレーズは「この地球で、我々は何を得て、ここからどこへ向かおうとしているのか?」となっている。

取り上げるテーマは多岐にわたる。
科学技術の問題(原子力、宇宙、ロボット、プラスチックなど)
政治経済の問題(中東の石油、社会格差、中国の台頭など)
人間生活の問題(ファストフード、女性運動、人工授精など)


例えば現在ホットな事案である「中東の石油」については、その歴史的背景をわかりやすくたどっている。20 世紀の初めにイギリスが中東の石油を初めて発見すると、中東を支配下に置いて、石油利権を独占する。戦後になると中東各国は独立し、イギリスを追い出す。それらは独裁国家であり、石油の利益を国民のために使わず、独裁者が独り占めする。産油国どうしが連携する OPEC で生産調整をして、石油の価格を維持する。アメリカが石油利権を確保するために、産油国を攻撃して、中東紛争が何度も繰り返されてきた。・・・などが記録映像とインフォグラフィックでわかりやすく解説する。

2026年5月16日土曜日

映画「シビルウォー アメリカ最後の日」

 「Civil War」 

2年前に見た映画だが、NETFLIX でやっていたので、もう一度見た。

西部のカリフォルニア州とテキサス州が連合して、アメリカ合衆国から独立しようとして戦争を起こす。激しい内戦になるが、西部軍が東部へ向かって侵攻し、ついにワシントンに到着する。政府軍と西部軍が激突して激しい市街戦になるが、最後に西部軍はホワイトハウスに突入する・・・


こう書くと荒唐無稽なフィクションのようだがそうでもない。日本ではあまり報じられないが、カリフォルニア州ではトランプ大統領の強権的な政治に反発して、「カリフォルニア独立運動」が現実に起きている。署名活動をしていて、来年には住民投票に持ち込もうとしている。もし実現すれば GDP 世界第4位の国になるという。

外国移民に対して寛容なカリフォルニア州は、トランプ大統領の極端な移民排斥政策に反対している。去年、政府が容赦ない移民拘束をロサンジェルスで行ったとき、住民の大規模な抗議デモが起きた。それに対してトランプ大統領は州兵を派遣して鎮圧しようとして大規模な衝突が起きた。映画は、こういう「分断国家」アメリカの現実を踏まえている。

映画にそれを象徴するようなシーンがある。道路封鎖している政府軍の兵士が通りがかりの一般市民を拘束する。銃を突きつけながら一人ずつ「お前はどの種類のアメリカ人だ?」と出身地を聞いていく。「コロラド」「フロリダ」「ミズーリ」などに続いて「香港」と答えた人間を即射殺する。

ラストで、ホワイトハウスに突入した西部軍は隠れている大統領を探す。するとTV ニュースでお馴染みのプレス発表室に女性報道官が手を挙げて出てくる。「大統領は停戦交渉を求めています」と言うが即射殺されてしまう・・・