2026年8月5日水曜日

横浜の産業遺産

 Old Machine

山下公園に係留保存されている「氷川丸」は、戦前に建造されて現存している唯一の大型豪華客船で、重要文化財に指定されている。この機関室は大迫力で、船底の3階だての建物くらいの大空間に巨大なディーゼルエンジンが並んでいる。このエンジンは、デンマークの B &W社で、当時の最新鋭だった。そのなかの機械の操作部分が人間の内臓のように複雑で、いかにも古い機械という感じでなかなか魅力的だった。

「錆びた機械」30号 アクリル

現在のみなとみらいあたりはかつて造船所だった。帆船「日本丸」が係留されている場所も造船ドックだった。日本丸の近くの公園で、かつての造船所のなごりを見ることができる。造船所の機械を圧縮空気で動かしていたが、そのエアコンプレッサーが保存展示されている。巨大な大砲のような円筒形が組み合わさって大迫力だ。アメリカの「シカゴ・マシナリー」というメーカー名と「1918」という製造年が書かれている。

「古い機械」30号 パステル

2026年8月4日火曜日

「黄金期のアメリカン・イラストレーター」

 J. C. Leyendecker  

「黄金期のアメリカン・イラストレーター」という本は、アメリカのイラストレーションの黄金期だった20世紀初めに活躍したイラストレーター 11人を取り上げて解説している。著者の津神久三は、自身もアメリカで画家兼イラストレーターとして活躍した人で、後に千葉大学教授になっている。

ここで紹介されている11人には、アンドリュー・ワイエスの父親の N. C. ワイエスも含まれているが、昨日書いた J. C. ライエンデッカーも取り上げらている。この本の表紙になっている絵は、ライエンデッカーの作品だ。

昨日書いたように、ライエンデッカーは週刊誌「サタデー・イブニング・ポスト」の表紙絵で大人気を博したが、それ以上に名声を高めたのは、「アロウ・カラー」というワイシャツのカラーのメーカーの広告を手掛けたことだった。

そのイラストは「若い男性」を描いていて、とびきりのハンサムで、その雰囲気は優雅、裕福、知性のすべてを備えた魅力たっぷりの男を描いた。それはセックスシンボルとしての男を描いた史上初のイラストといわれる。それまでの男の広告は、いわゆる「男らしい」男を描いていたのと対照的だった。


彼の描く理想的な若い男性のイメージは1920年代のファッションに大きな影響を及ぼした。そのイメージは小説や映画に取り入れられた。その有名な例がフィッツジェラルドの小説「華麗なるギャッツビー」であり、その映画化「華麗なるギャッツビー」だった。ロバート・レッドフォード演じるギャッツビーは、ライエンデッカーのイラストレーションから抜け出したようだった。特にワイシャツのカラーの先が丸いのは「アロウ・カラー」そのままだ。

ライエンデッカーは若い頃、パリへ留学して本格的に絵画の勉強をした。描写力の凄さはその経験からきている。津神久三によると、ほとんどのアメリカのイラストレーターは、画家としての高い画力を持っていて、社会的な地位も高く、収入もものすごい額を稼ぐという。ライエンデッカーもその一人で、大豪邸に住んで優雅な生活をしていたそうだ。


2026年8月3日月曜日

ライエンデッカーのイラストレーション

 J. C. Leyendecker

史上最強のイラストレーターといわれる R.C.ライエンデッカー は雑誌や広告で活躍した。とくに有名なのが「サタデー・イブニング・ポスト」紙の表紙絵で、1943 年までの 44 年間に300点以上書き続けた。この新聞はニューススタンドで販売されたから、表紙絵が読者を惹きつけるために重要で、ライエンデッカーは大人気のイラストレーターだった。

デッサン力のすごさが驚異的だ。描かれた時代が第一次、第二次大戦期だったので、その時代の時事を反映したモチーフが多い。また年末年始にはサンタクロースや赤ちゃんをモチーフにするのが恒例だった。

これは原画だが、背景に2本線が必ず入っている。これは新聞の印刷時に発行年月日を入れるスーペースになっている。(下図)




なお昨日、映画「スティグ」に使われたイラストレーションを紹介したが、その中に2本線が入っていて、ライエンデッカーのスタイルを模している。映画自体は1973年だが、舞台の1930年代のレトロな雰囲気を出すためにライエンデッカーを利用している。



2026年8月2日日曜日

映画「スティング」のイラストレーション

 「The Sting」

NETFLIXで何とも懐かしい映画「スティング」を見た。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの二人の詐欺師がニセ賭博をやって大儲けするという痛快な物語。

この映画の公開は1973年で、同年のアカデミー賞を受賞した。この時代は雑誌や広告のデザインが、今のような写真や CGの時代と違って、絵画的なイラストレーションが主流だった。この映画のポスターもこのようなイラストを使って、舞台の1930年代のシカゴのレトロな雰囲気を醸し出している。

映画は6つの章に分かれていて、章ごとの始まりで、同じ調子のイラストが挿入される。


2026年8月1日土曜日

「参考文献」

 

いい本ほど巻末の「参考文献」の欄が充実している。これはある本の例だが、12ページにわたってこのような感じでびっしりと参考文献をあげている。読者にとっては、これをたどって新たな本にたどりつくことができて便利だ。


”いい本” とは、世にすでに知られているような常識とは違う、独自性のある考えを展開している本だが、そういう本ほど「参考文献」が充実している。

「独自性のある考え」とは、個人の独断や勝手な思い込みのことではない。すでに知られている客観的な事実を踏まえたうえで、自分なりの新しい考えを主張する。「参考文献」の充実は、客観的な資料を幅広く研究したことの証明になっている。

2026年7月31日金曜日

文章の書き方

 

昨日書いたが、全国学力テストの「中3」の「国語」の問題で、与えられた課題に対して、自分の考えを300字以内で書く長文記述問題が出た。この設問で、文章を書く条件が以下のように示されている。これは、自分の考えを文章にまとめるためのヒントになっている。

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 次の条件1〜3をすべて満たして、あなたの提案を240字以上300字以内で書きなさい。
  • 条件1: 二段落構成とする。
  • 条件2: 第一段落では、中学生と高齢者の「共通の話題(活動)」として何を提案するか、その内容と【地域の課題】をどう解決するかを関連付けて書くこと。
  • 条件3: 第二段落では、その提案がなぜ【中学生の緊張】と【高齢者の不安】を同時に解消できるのか、理由を説明すること。
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つまり、自分の感想など資料にないことを書くと大幅減点になる。一方で、資料にあることをそのまま書いても大幅減点になる。だから「資料の〜からすると、〜のように考えられる」のように客観的事実をベースに自分なりの考えを組み立てて文章化しないといい点が取れない。これは中学生だけでなく、大人が文章を書くときにも参考になる。

2026年7月30日木曜日

学力テストの長文記述問題

 

小中学校の学力テストで、「思考力」を試す問題の成績が悪かった。思考力の問題は、長文記述式の形式で出る。例えば「中3」の「国語」の問題を調べてみたら次のようなものだった。出題のポイントは、知識の暗記だけでなく、知識を活用して自分なりに物事を考え、それを文章で表現することを重視している。スマホとSNSから入ってくる細切れの情報だけで分かった気になっている子供たちはこういう問題に苦戦する。

なお先日(7 / 26)に、本を読まないことが子供の思考力低下につながっていることを書いたので参考まで→ https://saitotomonaga.blogspot.com/2026/07/sns.html

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【問題】異なる立場をふまえ、課題解決策を提案する
【状況設定】
ある中学校の生徒会で、「地域の高齢者と中学生の交流イベント」を企画しています。しかし、事前のアンケートや話し合いで、以下のような異なる意見や課題(資料)が出てきました。
【中学生側の意見】
「高齢者の方と何を話せばいいか分からない。緊張してしまうし、共通の話題がなさそう。」
【高齢者側の意見】
「若い人と話すのは元気がもらえて嬉しい。でも、スマートフォンの使い方など、最近の難しい話にはついていけない。」
【地域の課題(資料)】
地域の伝統的な「七夕祭り」が、担い手不足により今年から規模を縮小、または中止の危機に追い込まれている。
【設問】
あなたは生徒会長として、これらの意見や課題をすべて一挙に解決する「交流イベントの具体案」を提案することになりました。次の条件1〜3をすべて満たして、あなたの提案を240字以上300字以内で書きなさい。
  • 条件1: 二段落構成とする。
  • 条件2: 第一段落では、中学生と高齢者の「共通の話題(活動)」として何を提案するか、その内容と【地域の課題】をどう解決するかを関連付けて書くこと。
  • 条件3: 第二段落では、その提案がなぜ【中学生の緊張】と【高齢者の不安】を同時に解消できるのか、理由を説明すること。
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