2026年9月22日火曜日

認知症映画 10選

 Dementia Movie

昨日 9 / 21 は敬老の日だったが、「認知症の日」でもあるとは知らなかった。自分も ”認知症適齢期” だから認知症には関心があって、認知症がテーマの映画をよく見てきた。そんな映画について今までも書いたが、改めてまとめて紹介してみる。すでに認知症の人や、身近に認知症の人がいる人、あるいは認知症が心配な人に多少の参考になるかもしれない。


     ・・・認知症になっても生きがいを失わない前向きな映画・・・

▪️「やさしい嘘と贈り物」
認知症になって、自分の家族もわからなくたお年寄りが、偶然出会ったおばあちゃんが好きになってしまい、デートをしたりして生きがいを取り戻す。ところがそのおばあちゃんとは自分の妻なのだ。おばあちゃんは恋人のふりをして夫を幸せにしてあげる。

▪️「ロング・ロング・バケーション」
認知症の夫と末期ガンの妻の老夫婦がキャンピングカーでマイアミへ向かって長距離ドライブに出かける。人生最後の旅を満喫するなかで、お互いへの愛や、隠された過去などを温かく切なく描く。認知症になっても前向きに生きる明るい映画。


・・・認知症になって、自分の過去を忘れてしまった切ない映画・・・

▪️「きみに読む物語」
介護施設に入っている認知症の妻を夫が毎日見舞いに来る。そのたびに物語を読んで聞かせる。妻はそれを毎日楽しみにしているが、その物語とは、若い頃二人が交わしたラブレターなのだ。甘く美しい話が、自分のことだとは気づいていない妻が切ない。

▪️「アイリス」
言葉を失って書けなくなった小説家の妻を夫は懸命に支え続けている。自由奔放で、才能にあふれていた若い日の妻の姿を挿入しながら、40年間にわたる愛の軌跡を回想形式で描いている。




          ・・・認知症で崩れていく家族の絆・・・

▪️「アゥエー・フロム・ハー」
長年連れ添った妻が認知症になって、今まで積み重ねてきた共通の記憶が薄れて、夫婦の絆があやふやになっていく。やがて介護施設に入った妻を久しぶりに見舞いに行くと、男の入居者と語り合う生き生きとした妻の姿を見る。彼女は遠くへ行ってしまったのだ。

▪️「ディア・ファミリー」
母親の認知症がひどくなり、久々に父親と息子と娘が集まって、介護施設に入れるべきかどうか話し合う。しかし意見が合わない。その話し合いを通して、それぞれが自分の人生を見つめ直していく。

        
        
        ・・・認知症になって自分が壊れていくことの苦しみ・・・

▪️「アリスのままで」
女性の大学教授のアリスが若年性認知症を発症する。だんだんと言葉を失っていき、講義もままならなくなる。壊れていく自分を自覚しつつも、アリスは「アリスのままで」いたいと願う。



▪️「愛、アムール」
音楽家の夫婦が幸せに暮らしていたが、妻が認知症になり、悪化していく。夫は懸命に介護するが、いちばん苦しんでいるのは、どんどん壊れていくのを自覚している妻自身だ。その苦しみから解放してあげるために、夫はある決断をする。それは究極の愛の形だった。

▪️「ファーザー」
一人暮らしの父親は、訪ねてくる娘と会話をするが、自分のいる場所や時間がわからなくなっている。目に浮かんでいる光景は現実と妄想が入り混じっている。現在と過去の出来事が同時に見えていたりする。

         

          ・・・認知症の老人が現実の世界へ戻っていく・・・

▪️「雨上がりの駅で」
19歳の少女が、ある認知症の老人の見守りをするアルバイトを引き受ける。老人は元教授だが、目的もなくあちこちを列車で旅している。少女は孤独で生きがいもなく、自暴自棄な生活をしている。少女は老人の旅に付き添って行くうちに、少しづつ心の交流がが始まる。やがて少女は「生きること」への実感を取り戻していく。老人も空想の旅をやめて現実の世界へ戻ることを決める。

2026年9月21日月曜日

大分の石橋

Stone Arch Bridge 

大分へ石橋を見に行ったことがある。宇佐市の院内という地区には、100 近くの石橋が集中している。すべてがアーチ型の石橋で美しい。渓谷が多い地形で、川が急流のため、頑丈な石橋が作られたという。江戸時代から明治大正にかけて作られものだが、現在も現役で使われている。関東にはアーチ型の石橋は滅多にないが、大分へ行ったらおすすめのスポットだ。



鳥居橋:5連アーチの美しい橋。

両相川橋:棚田の間の農道にかかる長さ10 mくらいの小さい橋。

荒瀬橋:橋脚が18mの高い橋。

水雲橋:深い渓谷の山中にひっそりとたたずむ橋。

2026年9月20日日曜日

「なぜ日本が世界に必要なのか」

Emmanuel Todd 

今月出たばかりのエマニュエル・トッドの「なぜ日本が世界に必要なのか」をさっそく読んだ。前著の「西洋の敗北と日本の選択」に続いて、これからの日本が進むべき道を提言している。

著者の一貫した主張である「西洋の敗北」とは、これまで世界を支配していた「自由主義的西洋」が崩壊しつつあるという意味だ。そのことが現在のアメリカに顕著に現れている。産業やモノづくりをおろそかにした結果、経済力と国力が衰えたアメリカはウクライナ戦争やイラン戦争など戦争で覇権を維持しようとしている。しかもその戦争に敗北しつつある。

著者は、すでに第3次世界大戦は始まっているとしている。そして敗北しつつあるアメリカが日本を助けてくれることは絶対にない。だから日本は自力で国を守るために、アメリカ依存をやめて自立し、「核武装」すべきだというのが著者の一貫した主張だ。そのことが日本のためだけでなく、「世界の平和」に貢献することになるとしている。

「核武装」論については議論のあるところだが、歴史家として日本の歴史と文化を深く研究している著者の言葉は示唆に富んでいる。そして最後でこう言っている。「私はこの本で、日本を愛しているフランス人として、日本人が密かに思っていても口に出せないことを代弁する役割を果たしたつもりだ。」


2026年9月19日土曜日

もう一度「AI はバカだ」論

AI

AI について今まで何度か書いてきたが、それらをまとめてみた。


▪️AI に「月曜日とは何ですか?」と聞くと「日曜日と火曜日の間の日です」と答える。それで「そんな当たり前のことを言って、AI さん、あなたバカじゃないの?」というとAI は「 申し訳けありません。人間の常識の範囲がどういうものかわからずに、単に言葉の上の定義だけで答えてしまいました。」と謝まった。

▪️AI 囲碁ソフトはプロのトップ棋士も負かすくらい強くなっている。しかし自分がパソコンでAIと対局すると100%勝てる。わざとメチャクチャな手を打つと、AI は混乱してしてしまって初心者以下の手を打ってくる。AI は人間の打った棋譜をすべて記憶していて、それをもとに勝つ確率の高い手を打つ。しかし囲碁というゲームの本質を理解しているわけではないので、セオリーに反する手を打たれると、対応がわからず頭が狂ってしまう。

▪️ある映画についてどう思うかをAI に聞いてみたら、世の中に出回っている映画評論をまとめただけで、独自性が全くない。それで「AI さんの言うことはちっとも面白くないですが、自分で映画を見て、その映像やストーリーから感じたことを言っているんですか?」と聞く。すると「申し訳けありません。私は映画を実際に見ているわけではなく、たくさんの論評を字で読んで、それをまとめているだけです。自分の感性で感じたり、考えたりするのは人間だけができることで、私にはその能力はありません。」とこれまた正直な答えが返ってきた。

▪️「美味しそうな料理が並んでいる楽しい食卓の画像を作ってください。」というと、ネットから拾ってきたような写真を出してきた。それで「こんなありきたりの画像でなく、もっと絵画的な感情のこもった画像を作ってください。」というと「すいません、絵画的なというと例えばどんな絵ですか?ゴッホのようなとか、モネのようなとか例をあげてくれると助かります。」と言うので「ピエール・ボナールのような絵を。」と言った、すると「ああピエール・ボナールですね。ボナールは光や色彩の美しさで食卓の楽しさを描きましたね」と分かったようなことを言ったが、結局出してきた画像は最初の画像をちょっと加工しただけだった。AI は最初の写真から離れて、オリジナルの画像を作ることはできなかった。


今、絵画でも、小説でも、映画でも、音楽でもAI が人間の上をいくのでは、というAI 脅威論が盛んだが、AI は創造力などまったくない。むしろ、AI の言うことを何でもありがたがって、自分で感じたり考えたりしない人間が増えて、人類が AI 化してしまうことのほうが怖い。

改めてピエール・ボナールの絵を見ると、人間の創造力の素晴らしさを実感する。

2026年9月18日金曜日

霧の風景

 

夏の日の早朝に、高原などの標高の高いところへ行くと霧に出会える。伊豆高原の別荘地の霧の朝を描いた。(遠くに見えるのは自分の車)


北海道のニセコへ行ったとき、霧を見ようと思い、早朝に起きて散歩に出かけた。登り始めた太陽が霧で霞んでいる。それが水面に反射して、目玉焼きのように見える。



2026年9月17日木曜日

北極の地図

 Arctic Map

トランプ大統領が「グリーンランドをアメリカの領土にする」と言って世界中からひんしゅくを買っている。アメリカとロシアが向かい合っている北極海にあるグリーンランドはアメリカ本土防衛の最前線になっている。特に近年は地球温暖化で、北極海が航行可能になり、アメリカ本土がロシアの軍艦からのミサイル攻撃の射程内に入るようになった。トランプのような考えは、北極を中心とする地図があって初めて気づくことで、通常の世界地図からは気付かない。

昨日書いた「世界をまどわせた地図」は、現実とは違うウソの地図を収録している面白い本だが、その中に17世紀の北極圏の地図が紹介されている。

1606年に描かれた北極点を中心にした地図。円の周辺右側がユーラシア大陸で、左側がアメリカ大陸だが、中央に大きな島(黄色部分)が描かれている。

この島はもちろん実在しないが、島の真ん中に丸い内海がある。その内海の中央に山が描かれている。これは「黒い岩」と名付けられている。

当時は、北極には磁石でできた巨大な山があると考えられていた。方位磁石が北を指すのは、その山の磁力によるといわれていた。その山がこの「黒い岩」だ。

岩のふもとの内海には巨大な渦が巻いていて、そこで海が割れて大洋の海水が吸い込まれる。その海水は、地球を通り抜けて、南極から噴き出すと考えられていた。


2026年9月16日水曜日

「世界をまどわせた地図」

The Phantom Atlas

「世界をまどわせた地図」という本が面白い。古い時代の、現実とはかけ離れたとんでもない地図を収録している。

伝説に伝えられている島を探そうと航海に出かけた冒険者たちが、そんなものは見つからなかったにもかかわらず、それを発見したと言って、その詳細な地図を作った。ペテン師たちの、功名心や金儲けのための嘘の地図だった。

しかし世界に関する正しい情報が少ない時代に、それらの地図は何世紀にもわたって受け継がれて、そこに描かれた世界が真実だと信じられ続けてきた。


日本の地図も出てくる。ヨーロッパで初めて出版された日本の地図で、オルテリウスという人の「世界の舞台」(1595年)に収録されたもの。日本の地理のイメージを作るのに貢献した地図だった。日本と交易をしていたポルトガル人が日本人から正確な情報を得ていたので、比較的正しく日本が描かれている。

それに対して朝鮮半島はニンジンのような形の島になっている。島の南端は「泥棒たちの岬」と表記されている。この海域には海賊が暗躍しているという当時の噂を反映していた。


上の地図からしばらく後の、ヨハネス・ヤンソンという人の「日本最新精密地図」(1658年)の日本地図。上の地図では無かった北海道が描かれていて「蝦夷島」と表記されている。しかしその形は千島列島と一緒になったような奇妙な形だ。

面白いのはその「蝦夷島」の右に巨大な島が描かれている。(左半分だけが見える)その島は「カンパニーズ島」と名付けられている。ある貿易船の船長が、日本の北で島を目撃したという証言したのがそのまま地図に載ってしまった。

その島には、金と銀が豊富にあるという噂が生まれ、日本の東のどこかにあるという幻の島を見つけようとする冒険家がたくさん現れた。しかしそんな島は見つからず、それが嘘だと証明されたのはなんと18世紀になってからだったという。100年以上も「世界をまどわせた地図」だった。