2026年11月7日土曜日

サイバー攻撃と「影響力工作」

 Influence Operation

現在、IT 企業などが受けているサイバー攻撃は、システムの脆弱性を突いて得た個人情報を人質にして身代金を奪おうとしている。このような金銭が目的のサイバー攻撃以外にも、SNS を悪用して社会の分断や混乱を引き起こそうとするサイバー攻撃がある。

・能登地震の時、不安を煽る偽情報を拡散させ、社会を混乱させようとしたサイバー攻撃は、外国勢力が関与したことが専門家の分析で判明している。

・コロナ禍の時に一部の政治勢力が、ワクチン接種は危険だと言うデマ情報をネットで拡散させたが、政府や公的機関への不信感を煽り、社会の分断を引き起こすことが目的だった。

・日本のある新党(S党)の設立時に、XとYouTube を活用して、自党を称賛する投稿を大量に拡散させた。それは人間ではなく、「ボット」と呼ばれる投稿を自動的に拡散するプログラムによって行われた。たくさんのボットが協調や連携をして行動することで SNS のアルゴリズムが反応し、それまで興味がなかった人にも情報が届くようになった。その結果、出来たばかりの政党が選挙で 14 議席を獲得した。

このように世論を分断するようなサイバー攻撃は「影響力工作」と呼ばれている。SNS にはAI を利用して、同じ傾向の意見を検索して集めるアルゴリズムがある。だから SNS ユーザーは自分と異なる意見が見えなくなってしまい、意見がどんどん過激な方向へ行ってしまう。「影響力工作」はそのことを利用している。

以上のようなサイバー攻撃については「認知戦」という本が参考になる。著者はイタイ・ヨナトという人で、イスラエルの諜報機関でサイバー攻撃の防御に携わっていた経歴があり、たくさんの具体的な事例を解説している。


2026年11月6日金曜日

トランプの TV 番組「お前はクビだ!」

 「The Apprentice」Donald Trump

政治の素人のトランプが大統領になったきっかけは、「The Apprentice」というTV 番組の司会を務めていたことだった。その番組は、ビジネスの世界で成功を夢見る素人の志願者が出演して、トランプが与えるビジネス課題に挑戦するというもの。負けた出演者は最後にトランプから「お前はクビだ!」(You're Fired !)と言い渡される。この決めゼリフでトランプは大人気になった。

その人気がもとで、大統領に登り詰めるのだが、大統領になってもその政策は、内政でも外交でも「お前はクビだ!」の精神でやっている。そして今度の中間選挙で、トランプ自身が国民から「お前はクビだ!」と言い渡された。

番組のYouTube映像→ https://www.youtube.com/watch?v=ZZzwPBlPweo&t=6s


2026年11月5日木曜日

映画「チョイス!」

Swing Vote

アメリカの中間選挙の昨日、一日じゅう TV で開票速報を見ていたが、早くも昼頃に大勢が決まってしまったのには驚いた。 アメリカの選挙はいつも「スイング・ステート」(接戦州)で競り合って、なかなか決まらないのが普通だ。

「チョイス!」という映画は、そういうアメリカの選挙をネタにしたコメディで、とても面白い。映画の原題は、「Swing Vote」で「浮動票」の意味だ。スイング・ステートで毎回選挙の結果が左右に揺れ動くのは、固定した支持政党のない人の浮動票が多いからだが、映画の主人公は、普段から政治にあまり関心がない浮動票の一人だ。その彼が選挙の騒動に巻き込まれ、という話だ。

大接戦の大統領選で、各州の開票が進むが、民主党と共和党の選挙人獲得数が全く同数になってしまう。それで残りひとつの接戦州の結果で勝敗が決まることになるのだが、その州の得票数もまったく同数になってしまう。ところがある一人の男の票が集計ミスで無効票になっていたことがわかり、彼に再投票が認められる。

つまり、その男の一票でその州の決着がつき、その結果でアメリカ大統領が決まることになる。その一票を得ようとして、両党が猛アピールをしてくる。政治に無知な男はどうするか決められないでいるが、小学生の娘が賢くて、誰に投票するべきかあれこれとアドバイスして・・・


2026年11月4日水曜日

ドキュメンタリー「姿なきビートルズ」

 Beatles   Yellow Submarine 

一昨日(11 / 2)のNHKの「映像の世紀」で、ドキュメンタリー「姿なきビートルズ  遠き世界を動かす」をやっていた。解散から半世紀がたった今もなお、メンバーが不在(姿なき)でありながら、世界中に影響を与え続けてきたビートルズの影響力を描いている。

世界中で熱狂的な人気を得たビートルズだが、冷戦時代に、旧ソ連やキューバや北朝鮮などの独裁政権の国で、ビートルズは禁止されていた。それでもなおビートルズが国境や冷戦の壁を超えて、人々の心を動かしてきた歴史を映像でたどっている。
例えば旧ソ連時代に、密かに外国から手を入れたレコードでビートルズを聴いていた熱烈なファンがいて、彼がソ連の政治体制に批判的な若者グーループを作っていたエピソードが紹介されていた。またソ連の潜水艦(サブマリン)乗組員がビートルズの「イエロー・サブマリン」の替え歌を歌っていたという。
このように、ビートルズの中でも「イエロー・サブマリン」は、反体制のシンボルとして受け入れられ、利用されたという。「青い空、緑の海、僕らはみんな黄色い潜水艦に住んでいる」という牧歌的な歌詞が、体制の締め付けに抵抗するシンボルと捉えられた。アメリカでもベトナム戦争反対デモでこの歌が「平和への願い」という意味に捉えられ、歌われたそうだ。

2026年11月3日火曜日

山本理顕の建築

 Architect Riken Yamamoto

山本理顕氏は日本のトップクラスの建築家で、自分もよく行く横須賀美術館も山本氏の作品で、海が見える立地を活かした素晴らしい建築だ。

しかしその山本氏が今度の横浜市長選挙に立候補して、ダントツの最下位で落選した。

山本氏の落選は「たかが建築、されど建築」という言葉を思い出させる。建築は建物を建てるだけの仕事だが、同時に建築を通して社会を改革する大きな力も持ちうる。という意味だ。山本氏もその意欲で立候補した。しかしその政策は「空き家を再生して新しい住宅を供給する」とか「地域コミュニティのための交流サロンを作る」などの今更ながらの政策で、実際に各地で取り組みが始まっているものばかりだった。

要するに即効的な「たかが建築」的な政策ばかりで、都市問題を変革するような「されど建築の」ビジョンは示せなかった。

横須賀美術館





2026年11月2日月曜日

杉本博司の写真

Hiroshi Sugimoto

杉本博司が、ワシントンの「スミソニアン博物館」の庭園をデザインし、そこがオープンしたというニュースが昨日あった。杉本博司は建築や演劇の演出などで活躍し、世界的に評価されているアーチストだが、出発点は「写真」だった。

10 年ほど前に「杉本博司 ロストヒューマン展」という写真展が東京都写真美術館であった。すべて白黒写真だが、その中でとくに「劇場」シリーズが印象的だった。使われなくなり、廃墟になった映画館で、真っ暗なままスクリーンに2時間くらいの映画を投影し続ける。その間シャッターを開放したままで長時間露光する。するとスクリーンは真っ白になり、その光の反射でボロボロに崩れた劇場がうっすらと照らし出される。

アメリカに実際にある廃墟の映画館を使って撮影した。どうせ画面は真っ白になるのに、投影する映画作品にこだわり、廃墟にふさわしい終末論的な映画を選んだという。例えばこの作品では、核戦争で人類が絶滅するという有名な映画「渚にて」だそうだ。杉本博司が一貫して追求するテーマは「時間」や「歴史」であり、展覧会のテーマ「文明の終わり」のメッセージが強く伝わってくる。


2026年11月1日日曜日

映画「シカゴ7」

 The Trial of the Chicago 7

映画「シカゴ7」(NETFLIX)は1968 年にアメリカで実際にあった事件をもとにしたドキュメンタリータッチのドラマだ。ベトナム戦争反対を訴える若者たちのデモ隊と警官隊が衝突して数百名の負傷者がでた。検察は暴動を扇動したとしてデモのリーダーの若者7人を起訴する。

そしてニクソン大統領の意を受けた裁判官が、中立性を欠き、偏見に満ちた理不尽な裁判をする。警察側がデモ隊に暴力を振るったことが事件の発端だったことが発覚しても7人に有罪判決を下す。

ラストシーンで被告の1人が立ち上がって、ベトナム戦争で戦死した兵士 5000 人の名前を一人一人読み上げる。すると検察側も弁護側も傍聴者も全員が起立して拍手を送る・・・

今から50 年以上前の事件だが、アメリカって自由と民主主義の国じゃなかったっけ?と思い、かつ最近のトランプ政権のことを思ってしまう・・・