2026年9月9日水曜日

映画「アイアン・ホース」

The Iron Horse

「大統領とハリウッド」(村田晃嗣)という本は、大統領を中心に、アメリカ政治と映画の相互作用の歴史をたどった本だが、その中で面白いことを言っている。ハリウッドは各時代の大統領を題材にした映画を作ってきたが、トランプ大統領を描いた映画だけは登場していない。その理由は、トランプ自身の言うことが、奇抜で面白いエンターテインメントになっているから、あえて映画を作る気にならないからだという。

確かにこの本がいうとおり、トランプの言動はどんなコメディ映画よりも面白い。例えばトランプが最近発表した歴代大統領のランキングがある。トランプ自身が最高ランクの「The Greatest」になっていて、その次にリンカーンやワシントンの「Great」が続き、オバマやバイデンは最下位の「Failuer」になっている。これをジョークでなく、本気でやっているのだから、面白すぎて、ハリウッドの人たちもトランプの映画を作る気にならないのはわかる。

同書によれば、歴代大統領の中で最も多く映画が作られた大統領は、リンカーンだという。もちろん黒人奴隷制を廃止して南北アメリカを統一した偉大な大統領だからだが、そのなかで、「アイアン・ホース」はリンカーが登場する名作のひとつだ。この映画は、1924年の白黒サイレント映画だが、後に西武劇の巨匠になるジョン・フォード監督の傑作として有名だ。 

映画の冒頭で、「アメリカは南北戦争で南北に分断されていたが、ミシシッピ川やロッキー山脈で東西にも分断されていた」と字幕が出る。そしてリンカーン大統領がアメリカ大陸横断鉄道建設の命令をする大統領令に署名するシーンから始まる。黒人奴隷制度を廃止して南北アメリカを統一したリンカーンが、鉄道建設によってアメリカの東西も統一した偉業を讃える映画だ。

この映画の全編を YOUTUBE 動画で見ることができる→
https://www.youtube.com/watch?v=TV2YM7VHFKA


マーチン・ジョンソン・ヒーデ の絵画

Martin Johnson Heade

 マーチン・ジョンソン・ヒーデ は、19 世紀アメリカの画家だが、日本ではあまり知られていない。身近な田園の風景を、季節や天候や時間帯によって変わる「光」を描いた。その空気感の表現が見事で、ノスタルジックな郷愁の気分を誘う。


川で魚をとっているのか、男が小さなボートに乗っている。まわりの畑には積みわらが並んでいる。太陽はモヤで霞んでいて、光は柔らかい。


日没直後のマジックアワーの田園を描いている。空は微妙な色で輝いている。その色が水面に美しく反映している。手前で男が釣りをしている。夕暮れの懐かしい雰囲気を誘う。



日没直前の残照。あたりは暗いが、空はまだほの明るい。



夏の晴れた日の午後の風景。入道雲がくっきりと現れた。。



空が曇っていたが、突然雨が降り出した。遠くの方はまだ雲の切れ目があり、そこだけはまだ晴れている。


2026年9月8日火曜日

「SEGA」 と「MAGA」


このニュースにはビックリした、というより笑ってしまった。トランプ大統領陣営が、 「SEGA」ならぬ「MAGA」の ”新作ゲーム” を発表した。 SEGA風のゲームだが、ロゴもそっくりで、たぶん AI に作らせたのだろう。なお SEGA は著作権侵害で訴えることなどしないようだ。報復が怖いのだろうか。


2026年9月7日月曜日

「マジック・アワー」の絵画

 Magic Hour

「トワイライト」の光は日が落ちる直前の時間だが、「マジック・アワー」では、すでに太陽が沈んでいるが、まだ柔らかい光が空を染めている。この時間は一日のうちで最も空が美しいが、20 分くらいしか続かない。

「マジックアワー」の美しさを最大限生かした映画が名作「天国の日」だった。平原の農村を舞台にした物語だが、ほとんどすべてのシーンが「マジックアワー」で撮影されている。


遠くの地平線まで平原が広がっている中に、ポツンと一軒の豪邸が建っている。建物にただ一人で住んでいるのは、農場の所有者の金持ちの若い男だが、病気で余命いくばくもない・・・ という物語だが、マジックアワーの雲がピンクがかった柔らかい色に染まっている。「マジック・アワー」の優しい光は「ノスタルジック」や「郷愁」の気分を誘う。


絵画では、マーチン・ジョンソン・ヘイデという19 世紀のアメリカの画家が、「マジック・アワー」の風景をたくさん描いた。いずれも空の微妙な色の美しさを描いている。それが郷愁を誘う。






2026年9月6日日曜日

MLB 選手の人種構成

MLB 

MLB の試合を見ていると、大谷選手など日本人選手が3人いるチームはロサンジェルス・ドジャースだけで他にはないようだ。またドジャースはヒスパニック系の選手が多い。

そこで、MLBチーム全体の選手の人種構成を調べてみたら、以下のようだった。

  白人       60%
  ヒスパニック系  30%
  黒人         7%
  アジア系       3%

さらにチーム別を調べると、ドミニカやヴェネズエラなどが出身のヒスパニック系が多いのは次の3チームだった。
  アトランタ・ブレーブス (ジョージア州)
  サンディゴ・パドレス (カリフォルニア州)
  ヒューストン・アストロズ (テキサス州)
これらは南部の「サンベルト」と呼ばれる地域だ。メキシコ国境と接していて、カリブ海にも面しているから、ヒスパニック系が多いのはわかる。そしてこれらのチームは、リーグの順位で上位にいる強いチームだ。この地域はシリコンバレーの IT 産業やヒューストンの宇宙産業などハイテク産業で発展している豊かな州だから、金の力でいい選手を集めているのかもしれない。

一方で、黒人が多いのは、次の2チームだ。
  ミネソタ・ツインズ (ミネソタ州)
  シンシナティ・レッズ (オハイオ州)
これらの州は、北部の五大湖周辺の「ラスト・ベルト」(錆びた地域)と呼ばれる地域だ。かつては自動車や鉄鋼などの製造業で栄えたが、今では衰退している。ここの工場労働者は黒人が多いから、それが野球の選手にも反映しているのだろう。リーグの順位は下の方にいる。


このような MLB 選手の人種構成はアメリカの政治を反映しているように思える。「ラストベルト」は労働組合が強く、民主党の牙城だったが、「製造業の復活」を掲げたトランプが労働者の支持を集め、共和党が強くなり、多くの州が選挙の接戦州になっている。

「サンベルト」はもともと共和党の保守的な岩盤支持地域だったが、近年はハイテク産業の発展によるリベラル層の増加と、ヒスパニック系などの多様な人種構成に変化して、民主党が躍進し始めて、ここも接戦州になっている。トランプ大統領は白人労働者の雇用を守るという名目でヒスパニック系移民の排除を掲げ、取り締まりを強化している。

カリフォルニア州は移民に寛容で、それがドジャースやパドレスの選手構成に反映しているようだ。トランプの過激な移民取り締まりに反対する市民の大規模デモがロサンジェルスで起こり、警察と衝突する事件も起きた。

2026年9月5日土曜日

トワイライトの名画

Twilight Landscape 

きのうはアマチュア向け教科書に載っているトワイライトの描き方の見本のような絵を紹介したが、今回はトワイライトをさまざまに描いた歴史上の名画を集めてみる。


「ローマの日没」 シモン・ドニ
19世紀初めの新古典主義のドニは北欧の人だが、イタリアの風景を
たくさん描いた。日没の空を画面いっぱいにドラマチックに描いている。


「トワイライト  ヴェネチア」 モネ
モネのヴェネチアのトワイライトの風景。強い光が水面にも反射して、教会が
シルエットで浮かび上がっている、画面いっぱいに光が満ちていて印象派らしい。


「トワイライトの二人の男」 ジャスパー・デヴィッド・フリードリヒ
表現主義のフリードリッヒは、風景に託して自身の内面を表現したが、日没の海を
見て瞑想している二人の男は、フリードリヒ自身の宗教的感情を表している。


「晩鐘」 ミレー
19世紀のバルビゾン派のミレーは、日没直後のまだ明るい光が残るトワイライト
の空を美しく描いている。ロマン主義的な感傷を誘う名作絵画。


2026年9月4日金曜日

日没の光を描く

Twilight Landscape

きのう残照の光を描く難しさと面白さについて書いたが、そういう絵の見本をアマチュア向けの絵の教科書から紹介する。 「残照」や「たそがれ」や「トワイライト」など呼び方はいろいろだが、いずれも昼から夜へ切り替わる瞬間の微妙な光の魅力を描いている。
画像引用:「Pure Color  The best of Pastel」「Landscape Meditation」「Color and Light」


「トワイライト・リフレクション」
太陽が地平線に沈む直前のトワイライトの光が上空の雲に反射している。


「一日の終わり」
日没直前の光が「トワイライト」で、空がもっともドラマチックになる瞬間。黄色、オレンジ、紫色などが微妙に入り混じった色が美しい。


「荒野のたそがれ」
山岳地帯のたそがれの幻想的な風景。モヤがかかって暖色系の光が山全体を覆っている。


「木と月」
日没直後の数分間は、空の光が一日のうちでもっとも美しい時間帯で「ゴールデン・アワー」と呼ばれ、メランコリーな気分を誘う。この絵では月が出ている。