J. C. Leyendecker
「黄金期のアメリカン・イラストレーター」という本は、アメリカのイラストレーションの黄金期だった20世紀初めに活躍したイラストレーター 11人を取り上げて解説している。著者の津神久三は、自身もアメリカで画家兼イラストレーターとして活躍した人で、後に千葉大学教授になっている。
ここで紹介されている11人には、アンドリュー・ワイエスの父親の N. C. ワイエスも含まれているが、昨日書いた J. C. ライエンデッカーも取り上げらている。この本の表紙になっている絵は、ライエンデッカーの作品だ。
昨日書いたように、ライエンデッカーは週刊誌「サタデー・イブニング・ポスト」の表紙絵で大人気を博したが、それ以上に名声を高めたのは、「アロウ・カラー」というワイシャツのカラーのメーカーの広告を手掛けたことだった。
そのイラストは「若い男性」を描いていて、とびきりのハンサムで、その雰囲気は優雅、裕福、知性のすべてを備えた魅力たっぷりの男を描いた。それはセックスシンボルとしての男を描いた史上初のイラストといわれる。それまでの男の広告は、いわゆる「男らしい」男を描いていたのと対照的だった。
彼の描く理想的な若い男性のイメージは1920年代のファッションに大きな影響を及ぼした。そのイメージは小説や映画に取り入れられた。その有名な例がフィッツジェラルドの小説「華麗なるギャッツビー」であり、その映画化「華麗なるギャッツビー」だった。ロバート・レッドフォード演じるギャッツビーは、ライエンデッカーのイラストレーションから抜け出したようだった。特にワイシャツのカラーの先が丸いのは「アロウ・カラー」そのままだ。
ライエンデッカーは若い頃、パリへ留学して本格的に絵画の勉強をした。描写力の凄さはその経験からきている。津神久三によると、ほとんどのアメリカのイラストレーターは、画家としての高い画力を持っていて、社会的な地位も高く、収入もものすごい額を稼ぐという。ライエンデッカーもその一人で、大豪邸に住んで優雅な生活をしていたそうだ。