2026年11月1日日曜日

映画「シカゴ7」

 The Trial of the Chicago 7

映画「シカゴ7」(NETFLIX)は1968 年にアメリカで実際にあった事件をもとにしたドキュメンタリータッチのドラマだ。ベトナム戦争反対を訴える若者たちのデモ隊と警官隊が衝突して数百名の負傷者がでた。検察は暴動を扇動したとしてデモのリーダーの若者7人を起訴する。

そしてニクソン大統領の意を受けた裁判官が、中立性を欠き、偏見に満ちた理不尽な裁判をする。警察側がデモ隊に暴力を振るったことが事件の発端だったことが発覚しても7人に有罪判決を下す。

ラストシーンで被告の1人が立ち上がって、ベトナム戦争で戦死した兵士 5000 人の名前を一人一人読み上げる。すると検察側も弁護側も傍聴者も全員が起立して拍手を送る・・・

今から50 年以上前の事件だが、アメリカって自由と民主主義の国じゃなかったっけ?と思い、かつ最近のトランプ政権のことを思ってしまう・・・


2026年10月31日土曜日

NETFLIXの おすすめ映画機能

Recommendation feature on NETFLIX 


Amazon で本を買うと、その後すぐにおすすめの本のメールが来るが、ほとんど役に立たない。買った本と同じ分野の本(小説、歴史、理工など)をあげるだけだから、大雑把すぎる。

NETFLIX でも映画を見ようとすると「あなたの好みにぴったりの映画」というおすすめ映画のリストが出てくる。しかしおすすめの映画を見てもハズレの場合が多い。AI を使って推薦映画を決めているらしいが、そのアルゴリズムはどうなっているか調べてみた。

・協調フィルタリング
自分と似たような視聴履歴を持つ人がよく見る映画と同じ映画を推薦する。
・コンテンツフィルタリング
過去に視聴した映画のジャンル、監督、俳優、テーマなどと同じ傾向の映画を推薦する。
・行動ログの活用
最後まで視聴したか、途中で早送りしたか、などの視聴者の行動を分析して、その映画が視聴者にとって本当に面白かったかを分析して、次の推薦を決める。

などの AI アルゴリズムになっているようだ。このような NETFLIX のおすすめ機能について、歴史家で AI 研究者のユヴァル・ノア・ハラリは面白いことを言っている。「近い将来、バイオメトリックセンサーを人間が身に付けることにより、目や顔の筋肉の動きにもとづいて人間の情動を検知できるようになる。人間がどの場面で笑い、どの場面で悲しみ、どの場面で退屈したかを知ることができる。テレビにカメラをつけて、視聴者をバイオメトリックセンサーで観察するようにすれば NETFLIX は気味が悪いほどの精度で視聴者の好みの映画を推薦できるようになるだろう。」

しかし、ユヴァル・ノア・ハラリが 本当に言いたいことは、その先にある。このような推薦システムの精度が上がり、ハズレがなくなると、人間の自由な選択肢が与えられず、AI のアルゴリズムに人間が従うことになる。それは全体主義国家が、検閲によって国民が見るべき映画と、見てはならない映画を選別しているのと同じことになる。それは人間が自らの自由意志で決定を下す能力を徐々に失っていくだろう、と警告している。


2026年10月30日金曜日

「トイストーリー5」

 Toy Story 5

Disney + で配信が始まった「トイストーリー5」を見たがなかなか面白い。今までのシリーズと変わって、今回はデジタル時代の「トイ」をテーマにしている。スマホをいじっているばかり今の子供達の姿そのままのストーリーになっている。


子供達はみんな一日中タブレットを相手に遊んでいるが、主人公の女の子は、ぬいぐるみのおもちゃで遊んでいるため、仲間はずれにされて友達ができない・・・





女の子はやっとタブレットを買ってもらうと、夢中になってしまい、部屋に引きこもりになってしまう・・・






ぬいぐるみたちは遊んでもらえなくなり、タブレットをやっつけようとする。アナログ対デジタルの対決だ・・・




女の子はタブレットのオンラインで友達と遊んでいるが、本当の友達とは感じられず、寂しい思いをしている。そしてアナログおもちゃ軍団は女の子を救おうと、大冒険が始まる・・・


2026年10月29日木曜日

「限りなく透明に近いブルー」

 Ryu Murakami

村上龍が亡くなった。「限りなく透明に近いブルー」(1976 年)は大昔に読んだが、詳しい内容は忘れてしまった。ただ、当時はとても強いインパクトを受けたことは覚えている。

小説はあの頃の「時代の空気感」をリアルに描いていた。高度経済成長の熱狂の終わり、若者たちの政治や理想への幻滅といった閉塞感に満ちていた。未来が見えない若者たちは、虚無感やしらけにおちいり、ただアメリカ文化の流行を追って毎日を刹那的に生きている・・・

ちなみに、ここに登場するハンバーガーやロックミュージックやドラッグが日本で流行り始めたは小説と同じ1970 年代だった。



2026年10月28日水曜日

「青色」の歴史 

  Blue

▪️ウルトラマリンブルー
「ウルトラマリン」の青は古くから使われていて、とくにフェルメールが好んでこの色を使ったのは有名だ。「青いターバンの少女」のターバンがその代表。ウルトラマリンは紫色寄りの高貴な感じの青だが、原料の岩石は中東でしか採れないので金なみに高価だった。

▪️コバルトブルー
そこで19 世紀にフランス政府が、もっと安い青をという要請をして、人工合成顔料の青が開発された。それが「コバルトブルー」で、ウルトラマリンよりも明るく鮮やかな青だ。その頃はちょうど印象派の時代で、明るく鮮やかな色を求める印象派の画家達にぴったりの青だった。例えばモネの「アルジャントィユの橋」の空と水にコバルトブルーが使われている。




▪️プルシャンブルー

プルシャンブルーはドイツのベルリンで開発された人工合成顔料の、やや紫色寄りの青で、当時のドイツはプロシャだったので「プルシャンブルー」とか「ベルリンブルー」と呼ばれた。

日本にも伝わっていて、北斎が好んで使った。その青は「ベロ藍」と呼ばれたが、ベルリンブルー(プルシャンブルー)のベルリンが詰まって「ベロ」になったという。北斎のベロ藍の深くて透明感のある青のおかげで浮世絵の表現力の幅が広がった。


▪️藍色

染め物の「藍染」のように、日本で盛んに使われた藍色は、やや緑色寄りの日本独特の青で、外国では「ジャパンブルー」と呼ばれたという。

「富嶽三十六景」の「武州玉川」で、空と水に「ベロ藍」のプルシャンブルーが使われていて、澄んだ青色が、爽やかで目に涼しい。それに対して、手前の地面の草の青色は普通の「藍色」で、透明感がなくてやや重く、「ベロ藍」との違いがわかる。


2026年10月27日火曜日

「ミュンヘン、サッポロ、ミルウォーキー」

「Munich、Sapporo、Milwaukee」

ドジャースを破って、ワールド・シリーズへ進出した「ミルウォーキー・ブルワーズ」だが、「ミルウォーキー」という言葉を聞くと、昔の有名な TV CM ソングの 「ミュンヘン、サッポロ、ミルウォーキー、美味いビールの合言葉・・」を思い出してしまう。この3つの都市が北緯 45°にあり、上質なホップが育つ気候にあるから、醸造業(ブルワーズ)が発達した。

対する「タンパベイ・レイズ」はフロリダ州のタンパ湾の街が本拠地で、その海に生息するエイが由来だという。MLBチームの名前の由来は、それぞれの土地の歴史や文化や自然からきていていて面白い。

2026年10月26日月曜日

「朝食画」のワイングラス

 Wine glass in Still-life

風景画や静物画などの現在のような絵画のジャンルが生まれたのは、17 世紀のオランダだった。一般市民が部屋に飾るための絵の需要が生まれ、宗教や神話の世界を描いていたそれまでの絵画が、親しみやすい絵画に変わった。市民の日常生活を描いたフェルメールの風俗画もそのひとつだった。

静物画も当時新しく生まれた絵画のジャンルで、日常的な身近な物を描いた。さらに静物画の中でも「朝食画」というジャンルがあったそうだ。朝食らしくパンや果物などの軽い食べ物をモチーフにした。ワイングラス、銀食器、オレンジ、などを細密描写していて、質感表現が驚異的だ。

なお朝食画にワイングラスが必ず描かれたのは、朝食でもワインを飲むのが普通だったためで、当時のオランダの豊かさがわかる。そのワイングラスは独特で「レーマーグラス」と呼ばれるそうだ。握る部分が太く、そこにもワインが入るから容量がかなり多いようだ。そこに凸凹がついているのは滑りどめだという。もともと手づかみで食べていた時代に、油のついた手でも滑りにくくしていた頃の名残だという。