2026年7月19日日曜日

映画「ラ・レボリューション」

 La Revolution

昨日「廃墟の画家」ユベール・ロベールが描いたパリの街の「破壊と再生」の絵について書いたが、ちょうど昨日タイミングよくNETFLIXでやっていた「ラ・レボリューション」(「革命」)という映画を見て、ユベール・ロベールがそのような絵を描いた時代背景をリアルに知ることができた。

フランス革命は 1789年に起きたが、昔中学生の頃「火縄くすぶるフランス革命」などと語呂合わせで遊んでいたが、もちろんフランスではそれどころでない圧政に苦しむ庶民が王政を倒した重要な歴史だ。この映画は民衆が武装蜂起してフランス革命に至るまでをドラマ化している。

この時代のパリは人口過密状態で、都市環境が劣悪で、狭い路地に家が密集していて衛生状態が悪く、伝染病の蔓延で腐った死体がゴロゴロしている。そして市民は困窮と飢えに苦しんでいるが、政府の役人は不満分子を情け容赦なく捕まえて牢獄に入れる。過酷な王政政治に対してついに民衆は立ち上がる・・・

映画でパリの街のシーンが繰り返し出てくる。丘の上には立派な王宮がそびえているが、庶民の家々は密集している。現在のパリの街の姿とは程遠い。ゴミゴミした狭い路地裏で人々は貧しい生活をしいられている。



ユベール・ロベールも革命派の一人だったというが、彼がパリの古い建物を破壊する光景を絵に描いたのは、フランス革命後に、こういう古い街並みを壊して、新しいパリを作ろうとするフランス社会のエネルギーを描いたのだった。そしてパリが現在のような整然とした姿に生まれ変わったのもフランス革命のおかげだったことがこの映画からよくわかる。

2026年7月18日土曜日

ユベール・ロベールのパリの解体

 Hubert  Robert

『Futures & Ruin  Eighteenth-Century Paris and the Art of Hubert  Robert』は、訳せば『未来と破壊  18世紀のパリとユベール・ロベールの芸術』で、パリの街の「破壊と再生」という観点からユベール・ロベールの絵画を解説した面白い本だ。

18 世紀のパリは人口の急増と、劣悪な都市環境と、広がる貧富の差に市民の不満が高まり、フランス革命につながるのだが、革命後にナポレオン3世の命令で、古い建物を壊し、新しい都市に再生する都市計画が行われ、それが現在のパリの姿になった。

ユベール・ロベールは、廃墟になった古代ローマの遺跡を描いて「廃墟の画家」といわれたが、そればかりではなく、上記のような、パリの古い建物が壊されて新しい街へ再生していく絵をたくさん描いた。いわば現在進行形で廃墟ができていく絵だ。前回の「バスチーユの解体」もその一つだった。同書からそういう作品を紹介する。

オペラ座の解体

教会の解体

セーヌ川のほとりの火事。市民が勝手に建てた木造の家がよく火事を起こした。

2026年7月17日金曜日

ユベール・ロベールの「バスチーユの解体」

 Hubert Robert

上野の国立西洋美術館の常設展示で、ユベール・ロベールの作品が3点展示されていて、同館の目玉作品になっている。その3作もそうだが、ユベール・ロベールは、廃墟になった古代ローマの架空の建物を描いて「廃墟のロベール」として有名だが、彼には「バスチーユの解体が始まる日」(The Bastille in the Fiest Days of Its Demolition)という作品がある。

 1789年のフランス革命の発端になったのは、民衆によるバスチーユ牢獄の襲撃だったが、その事件をユベール・ロベールはリアルタイムで目撃していた。そしてすぐに牢獄を解体する作業が始まったが、この絵はその情景を描いている。巨大な牢獄の手前で、作業員たちが働いている。建物のてっぺんはレンガが投げ落とされてすでにギザギザになっている。王政フランスのシンボルが目の前で廃墟になりつつある現実を描いていて、フランス革命のドキュメント絵画になっている。


なおフランス革命後に、ユベール・ロベールは、ルーブル宮殿を現在のようなルーブル美術館へ改造する計画に携わり、完成とともに初代館長になった。ユベール・ロベール自身も何かとフランス革命に関わった人だった。


2026年7月16日木曜日

廃墟の工場

Ruined Factory

 15年くらい前、工場の絵を描いていた頃の一枚。きっかけは福島の原発事故で、連日のようにTVで壊滅状態の原発の映像が映されていた。近代産業の「終わり」を思わせるようだった。これは、地元にある実際の工場をモチーフにして、津波で流されて何もなくなった中に一つだけ残った廃墟の工場のイメージを描いた。

「取り残されて」12号  パステル

同じ頃、やはり廃墟の工場を公募展用に50号で描いた。モチーフは地元にある火力発電所だが、最先端のピカピカの工場を申し訳ないが廃墟に変えてしまった。

「崩れゆく神殿」50号 パステル


2026年7月15日水曜日

絵画で読む『失われた時を求めて』

 In Search of Lost Time


プルーストの大長編小説「失われた時を求めて」は、ご多分にもれず自分も途中で挫折したが、その魅力をわかりやすく解説するいい本が出た。この小説には、たくさんの絵画が登場するが、それらの絵画を、小説がどう書いているかを解説している。

小説はプルースト自身の若い頃の経験を記した ”精神の放浪記” とでもいえる内容だが、そのおおりおりの感情を絵画に託して語っている。例えば小説にこんなくだりがある。主人公の画家ベルゴットがフェルメールの「デルフトの眺望」をながめながら息を引き取るシーンで、次のように書いている。

「・・・フェルメールの「デルフトの眺望」を見るために展覧会に出かけた。初めてベルゴットは青い服を着た小さな人物が何人かいること、浜辺がバラ色であること、最後に小さな黄色い壁面の貴重なマチエールに気がついた。目まいはひどくなってきたが、ベルゴットは子供が捕まえようとする黄色いチョウをじっと見るように、その貴重な小さな壁面をじっと見つめた。・・・」

このように小説は、主人公がこの絵を詳細に見つめている様子を書いているが、もちろんこれはプルースト自身の経験である。この本は小説に登場する絵画を手がかりにして「失われた時を求めて」を理解しようとしている。


2026年7月14日火曜日

「寒風」

 Cold Wind

20年くらい前、稚内あたりのオホーツク海の海岸を車で走っていた時、この風景を見かけた。冬は休漁中の漁船は陸に上がったままだ。車から出ると強風で猛烈に寒い。絵にしたが、寂寥感のようなその場の「ムード」が出せていない。どうかしたいと考えている。

「寒風」8号 パステル


2026年7月13日月曜日

「湖の秋」

 Autumn Lake

これも倉庫から出てきた絵。やはり20 年くらい前だが、描き終わって即ボツにしたので、一度も日の目を見ていない。かわいそう(?)なので、大幅に手を加えてみた。北海道の大沼公園の湖。

「湖の秋」 8号 パステル