2026年10月29日木曜日

「限りなく透明に近いブルー」

 Ryu Murakami

村上龍が亡くなった。「限りなく透明に近いブルー」(1976 年)は大昔に読んだが、詳しい内容は忘れてしまった。ただ、当時はとても強いインパクトを受けたことは覚えている。

小説はあの頃の「時代の空気感」をリアルに描いていた。高度経済成長の熱狂の終わり、若者たちの政治や理想への幻滅といった閉塞感に満ちていた。未来が見えない若者たちは、虚無感やしらけにおちいり、ただアメリカ文化の流行を追って毎日を刹那的に生きている・・・

ちなみに、ここに登場するハンバーガーやロックミュージックやドラッグが日本で流行り始めたは小説と同じ1970 年代だった。



2026年10月28日水曜日

「青色」の歴史 

  Blue

▪️ウルトラマリンブルー
「ウルトラマリン」の青は古くから使われていて、とくにフェルメールが好んでこの色を使ったのは有名だ。「青いターバンの少女」のターバンがその代表。ウルトラマリンは紫色寄りの高貴な感じの青だが、原料の岩石は中東でしか採れないので金なみに高価だった。

▪️コバルトブルー
そこで19 世紀にフランス政府が、もっと安い青をという要請をして、人工合成顔料の青が開発された。それが「コバルトブルー」で、ウルトラマリンよりも明るく鮮やかな青だ。その頃はちょうど印象派の時代で、明るく鮮やかな色を求める印象派の画家達にぴったりの青だった。例えばモネの「アルジャントィユの橋」の空と水にコバルトブルーが使われている。




▪️プルシャンブルー

プルシャンブルーはドイツのベルリンで開発された人工合成顔料の、やや紫色寄りの青で、当時のドイツはプロシャだったので「プルシャンブルー」とか「ベルリンブルー」と呼ばれた。

日本にも伝わっていて、北斎が好んで使った。その青は「ベロ藍」と呼ばれたが、ベルリンブルー(プルシャンブルー)のベルリンが詰まって「ベロ」になったという。北斎のベロ藍の深くて透明感のある青のおかげで浮世絵の表現力の幅が広がった。


▪️藍色

染め物の「藍染」のように、日本で盛んに使われた藍色は、やや緑色寄りの日本独特の青で、外国では「ジャパンブルー」と呼ばれたという。

「富嶽三十六景」の「武州玉川」で、空と水に「ベロ藍」のプルシャンブルーが使われていて、澄んだ青色が、爽やかで目に涼しい。それに対して、手前の地面の草の青色は普通の「藍色」で、透明感がなくてやや重く、「ベロ藍」との違いがわかる。


2026年10月27日火曜日

「ミュンヘン、サッポロ、ミルウォーキー」

「Munich、Sapporo、Milwaukee」

ドジャースを破って、ワールド・シリーズへ進出した「ミルウォーキー・ブルワーズ」だが、「ミルウォーキー」という言葉を聞くと、昔の有名な TV CM ソングの 「ミュンヘン、サッポロ、ミルウォーキー、美味いビールの合言葉・・」を思い出してしまう。この3つの都市が北緯 45°にあり、上質なホップが育つ気候にあるから、醸造業(ブルワーズ)が発達した。

対する「タンパベイ・レイズ」はフロリダ州のタンパ湾の街が本拠地で、その海に生息するエイが由来だという。MLBチームの名前の由来は、それぞれの土地の歴史や文化や自然からきていていて面白い。

2026年10月26日月曜日

「朝食画」のワイングラス

 Wine glass in Still-life

風景画や静物画などの現在のような絵画のジャンルが生まれたのは、17 世紀のオランダだった。一般市民が部屋に飾るための絵の需要が生まれ、宗教や神話の世界を描いていたそれまでの絵画が、親しみやすい絵画に変わった。市民の日常生活を描いたフェルメールの風俗画もそのひとつだった。

静物画も当時新しく生まれた絵画のジャンルで、日常的な身近な物を描いた。さらに静物画の中でも「朝食画」というジャンルがあったそうだ。朝食らしくパンや果物などの軽い食べ物をモチーフにした。ワイングラス、銀食器、オレンジ、などを細密描写していて、質感表現が驚異的だ。

なお朝食画にワイングラスが必ず描かれたのは、朝食でもワインを飲むのが普通だったためで、当時のオランダの豊かさがわかる。そのワイングラスは独特で「レーマーグラス」と呼ばれるそうだ。握る部分が太く、そこにもワインが入るから容量がかなり多いようだ。そこに凸凹がついているのは滑りどめだという。もともと手づかみで食べていた時代に、油のついた手でも滑りにくくしていた頃の名残だという。


2026年10月25日日曜日

巨匠たちが描いた「アブサン」の絵

Absinthe 


アブサンは、アルコール度 70%という強い酒で、飲むと幻覚症状が出たという。緑色をしているので、緑の悪魔と呼ばれたそうだ。これが 19 世紀末から20 世紀初頭にパリで大流行した。享楽的で退廃的な世紀末の雰囲気にぴったりだった。アブサンは絵画の題材としてさかんに描かれれ、ゴッホや、ロートレックや、ピカソなど巨匠たちも描いた。


ゴッホ
「アブサンのある静物」
ゴッホはアブサンの飲みすぎで、精神のバランスを狂わせたといわれている。これはゴッホがカフェで、アブサンを飲みながら描いた絵。アブサンは少しずつ水を垂らしながら飲んだそうで、水差しは、そのためのもの。











ロートレック
「ゴッホの肖像」
そのゴッホがアブサンを飲んでいるところをロートレックがスケッチした。グラスが透明で見えずらいが、確かに緑色っぽい色をしている。












マネ
 「アブサンを飲む男」
男が路上飲みしている。すでに一本空けてしまったようで、ビンが道に転がっていて、最後の一杯がそばに置いてある。













ラファエリエ
「アブサンを飲む人びと」
老人二人が裏庭のようなところで、わびしく飲んでいる。








ジャン・ベロー
「アブサン飲み」
ジャン・ベローは、印象派と同じ時代の画家で、パリの市民の日常生活を描いた。この絵は男女二人が飲んでいるが、表情は虚ろで、会話もない。ワインなどと違って、アブサンは楽しい気分で飲む酒ではないことがわかる。










ピカソ
「アブサンを飲む人」
男か女かわからない派手な服装は、退廃的な世紀末の時代を思わせる。














ピカソ
「アブサンを飲む女」
うつろな表情でグラスを見つめている女。















アルベール・メニヤン
「緑色のミューズ」
アブサンは幻覚症状が出るので、緑の悪魔と呼ばれたが、アブサンを飲んだ男が幻覚の中で、緑色の衣装を着た悪魔に付きまとわれている。「ミューズ」というタイトルなので、男は画家自身なのだろう。















アブサンの禁酒啓蒙ポスター
2 0 世紀初頭には、アブサンが麻薬扱いされて禁止された。しかし現在では、麻薬ではないことが証明されて、普通に売られている。

2026年10月24日土曜日

PHP 問題とブログ

 PHP

このところ、PHP の危険性の問題が大騒ぎになっている。ホームページや Web サイトが、システム改修のための一時停止になっている。個人のブログも危ないと言っているので、自分の場合は大丈夫か調べてみた。その結果、自分のこのブログは Google が運営する「Blogger」 だが、これは PHP を使っていないので安全だそうで、安心した。

「Blogger」 は HTML 言語を使っているので、外部からサーバーを操作することなどできないから安全だという。PHP を使っている多くのブログで、投稿ができないなどのサービス停止がされているようだ。ちなみにPHP を使っているブログは、FC2 ブログ、アメーバ ブログ、ライブドア ブログ、などだという。


2026年10月23日金曜日

「マッキアイオーリ」イタリアの印象派

Macchiaioll

5年ほど前に当ブログに投稿した 「イタリアの印象派:マッキアイオーリ」に対して、先日、見知らぬ人からコメントが来て、忘れていたその投稿のことを思い出した。

「マッキアイオーリ」とは、19 世紀のイタリアで起きた美術運動で、フランスの印象派に似ていた。印象派が、絵の具を混色せずに原色をキャンバスに並べる「筆触分割」で描いたように、マッキアイオーリも色の斑点(マッキア)を使って、光を捉えようとした。

それに対して今度もらったコメントは「マッキアとはイタリア語で『染み』のことを指します。エスプレッソ・コーヒーにミルクを入れたものを『カフェ・マッキアート』といい、ミルクがにじんだ染みのように見えます。絵画でもそれと同じ感覚だと思います」ということだった。イタリアに詳しい人のようで、なるほどと思い参考になった。

ちなみに5年前の投稿は下記のようだった。「麦うち場」という絵は、田舎の農家ののどかな風景を描いている。手前の庭で、犬が鶏を追いかけている部分の拡大が下で、筆触がはっきりと見えている。筆触を消して、ムラなく色を塗る古典的な絵画との違いがわかる。