2026年3月9日月曜日

認知症の映画 3作

Dementia Movies 

認知症が主題の映画はたくさんある。自分の認知症を心配をしなければならない歳になって、今まで見た映画を思い出してみた。以下の3つは特に強く印象に残っている。いずれも認知症になっても、家族が今までと変わらない愛情を持ち続けるハートウォーミングな映画だ。


⚫︎「きみに読む物語」
介護施設で暮らす老いた妻に夫が毎日見舞いに来て、物語を読んで聞かせる。妻は、そのつど次はどうなるのと続きを楽しみにしている。ところがその物語とは、二人が恋人同士だった若い頃のラブレターだったのだ。映画はその思い出シーンを甘いラブストーリーとして描いていく。自分の過去を忘れてしまった妻の切ない姿で涙を誘う映画だった。

⚫︎「やさしい嘘と贈り物」
毎日ぶらぶらしているお年寄りが偶然出会った可愛いいおばあちゃんを好きになってしまう。デートに誘ったりして生きがいを取り戻す。ところがそのおばあちゃんとは自分の妻なのだ。妻は恋人のふりをして、息子たちもデートにいいレストランを教えたりする。優しい嘘で本人を幸せにしてあげる。


⚫︎「アリスのままで」
名門大学の教授アリスは突然認知症を発症する。だんだんと言葉を失っていき、講義もままならなくなる。壊れていく自分を自覚しつつも、アリスは「アリスのままで」いたいと願う。自分に寄り添ってくれる娘が、ある愛の詩を読み聞かせて、感想を聞かれたとき、アリスはひと文字だけ紙に書く。それは「LOVE」だった。

2026年3月8日日曜日

ロケット打ち上げ失敗

Rocket

民間ロケット「カイロス3号機」の打ち上げ失敗の翌日 3 / 6 の日経新聞に、これについて解説記事がのっていた。

ロケットはもちろん、人工衛星を宇宙に運ぶ運搬手段だが、衛星には、気象衛星や、通信衛星や、地球観測衛星、偵察衛星などたくさんある。日本もたくさんの衛星を打ち上げているが、ロケットはアメリカの「スペースX」などに頼っている。それではまずいと自国のロケットを開発しているが一向に成功しない。ロケット国産化の失敗が日本の宇宙開発のネックになっているという。

自国の衛星を自国のロケットで打ち上げて成功した割合は、アメリカが 80 %、中国が 99 % だという。日本はゼロで、今回のカイロス3号機も、5つの衛星が搭載されていたが全部無駄になってしまった。


2026年3月7日土曜日

直島の「李禹煥美術館」

Lee Fan Museum 

前回「美術が建築に近づくとき 10 選」について書いた。美術館のように、ただ美術の展示場としての建築ではなく、建築と密接な関係で結びついている美術作品を取り上げていた。そこではあがっていなかったが、瀬戸内海の直島の「李禹煥美術館」も10 選に入ってもよかったのではないかと思っている。

直島はアートの島として有名だが、ちょうど 10 年前に訪れたことがある。「李禹煥美術館」は安藤忠雄の設計の建築と、李禹煥の現代アートの作品が、美術が建築に「近づく」どころではなく、一体化している。

この建築は半分地下に埋まっている。コンクリート打ち放なしの壁に囲まれたくぼみの空間に李禹煥の作品が置かれている。作品は自然石を削ったもので、建築は、そこに当たる光と影を計算しつくしている。


なおアートの島の直島には他にも「地中美術館」「ベネッセハウスミュージアム」「直島新美術館」などがあり、いずれも安藤忠雄の設計で、自然と建築と美術が融合した見事な美術館だ。また普通の小さな民家をギャラリーにした「家プロジェクト」もある。


2026年3月6日金曜日

「美術が建築に近づくとき」

Art & Architecture 

日経新聞の連載コラム「美術が建築に近づくとき 10 選」のなかで、宗教建築における美術が4つ取り上げられていた。いずれも初めて知ったものだが興味深い。


⚫︎ マティスの「ヴァンスのロザリオ礼拝堂」。マティスは戦禍を逃れて南仏ニース近郊の小さい町ヴァンスへ引っ越した。その地で礼拝堂の建設について相談され、内装と外装のデザインを手がけたという。この礼拝堂はマティスの人生の集大成となる総合芸術だったといわれている。右壁面には聖母子を描いた陶板壁画があり、左はステンドグラスで、透過した光が壁や床に投影されていて美しい。



⚫︎ ロスコが手がけた、ヒューストンにあるチャペルの壁画のデザイン。八角形の内陣には各壁面に絵画が掛けられている。これはそのひとつだが、いかにもロスコらしい幾何図形の絵画だ。なお、この建築設計はあの有名なフィリップ・ジョンソンだが、この絵が気に入らず、ロスコと対立が生じたという。



⚫︎ 李禹煥のラ・トゥーレット修道院(フランス)の室内。このコルビュジェ設計の建物の一室で、床面に粘板岩が敷き詰められている。鑑賞者はその上を歩くことができ、板が軋む音が聞こえる。世俗を離れて生活を送る宗教施設において、人間の存在が微かに響き渡る。



⚫︎ 川俣正のサン・ルイ礼拝堂(フランス)。祭壇に10 m ほどの高さまで 8000 脚ほどの椅子をバベルの塔のように螺旋状に組み上げている。礼拝堂という神聖な空間の中にもう一つの異質な別世界を作り上げた。



2026年3月5日木曜日

「ダブルスピーク」

Double Speak 

トランプ大統領はイラン空爆を「壮絶な怒り」作戦と呼んでいる。3人のアメリカ人が死んだことへの報復だとしている。自分の方から先制攻撃を仕掛けて数百人を殺しておきながら、正当防衛かのように言って正当化しようとしている。

こういうのを「ダブルスピーク」といい、最近この言葉がよく使われる。プーチン大統領がウクライナに攻撃を仕掛けたのを「戦争」と言わず「特別軍事作戦」と言っているのと同じで、一方的な軍事侵攻は国際法違反になってしまうからだ。日本もかつて「日中戦争」のことを「支那事変」と呼んでいた。

「ダブルスピーク」という言葉は、政治家が、真実とは逆の言葉を使って、国民の認識を操作しようとする技術だ。そのもとは、ジョージ・オーウェルの小説「1984」から来ているといわれている。独裁者が、戦争は平和をもたらすためだとして、「国防省」を「平和省」に変えるなどした。映画化した「1984」でもそのシーンが出てきた。他国を侵略し続けている独裁者が TV で演説しているが、画面の下に「WAR  IS  PEACE」(戦争は平和だ)や、「FREEDOM  IS  SLAVERY」(自由は奴隷制だ)というスローガンが見える。それに国民は熱狂している。


2026年3月4日水曜日

日本のロケット 失敗の原因

 Rocket 

民間宇宙ロケットの「カイロス」打ち上げ中継を見ていたが、またも延期になったようだ。失敗と延期の連続で、ロケット開発の国際競争から日本は脱落しつつあるといわれている。


これ対して、先日の日経新聞に面白い記事がのっていた。根本原因は「完璧主義」のせいだという。アメリカの「スペース X」は、どんどん打ち上げる。そして失敗するが、その失敗から学んで技術を完成させていくという。日本の場合は、失敗を恐れて、完璧なものを目指しすぎるというのだ。その結果、高価になり、国際競争力を失っている。また国民がロケットに「夢とロマン」を求めて、過大な期待をしすぎることも間接的なネックになっているという。


最近多くの大学で、宇宙技術開発が活発に行われている。毎年のようにロケットをどんどん打ち上げて技術を積み上げている。例えば  C工業大学の場合、洋上発射の技術を開発して、小型ロケット打ち上げに成功している。また世界初のハイブリッドエンジンというロケットエンジンの燃焼試験にも成功している。さらに、独自開発の超小型衛星を5年連続で打ち上げている。(写真は同大学 HP より)こういうベンチャー精神にあふれた研究開発はメディアであまり取り上げられないが、着実に成果を上げている。

2026年3月3日火曜日

映画「アイ・イン・ザ・スカイ」 ドローン戦争の実態

「Eye in the Sky」

トランプ大統領がイランの最高指導者ホメイニ師を暗殺したことが連日報道されている。一人の人間をピンポイントで狙って殺害することがどうして可能なのか不思議に思ってしまうが、「アイ・イン・ザ・スカイ」( Eye in the Sky )という映画でその実態を知ることができる。2017 年の映画で、10 年くらい前からすでにその技術が普通になっていたことがわかる。


映画は、イギリス軍が、アフリカのある国のテロリストを殺す作戦という設定になっている。偵察ドローンで上空からテロリストの居場所を監視している。人間一人の動きもはっきり見えるほど解像度が高い。ターゲットが家の中に入ったのを見て、次に室内(画面左の映像)を見る。このとき使うのが「蝶型ドローン」で、蝶のように音もなく羽ばたいて室内に入り、テロリスト本人がいることを確かめる。そして司令官が攻撃ドローンによるミサイル発射を命じる。


 登場する技術はドラマ用ではなく、現代の戦争で実際に使われているものだという。そして、監視するのも、ドローンの操縦をするのも、ミサイル発射を命じるのも、全てロンドンの司令部から遠隔操作で行われている。映画の副題の「世界一安全な戦場」はそのことを意味している。



映画のストーリーは、ミサイル発射直前になって突然、ひとりの少女がこの家の前の路上でパンを売り始める。今発射すれば少女を巻き添えにしてしまう。司令官はボタンを押すべきかどうか悩む・・・

トランプ大統領は、そんなことにお構いなく、ミサイルを打ち込んで、イランの民間人をたくさん殺した。