2026年5月18日月曜日

いろいろな国の独立運動

 Independence Movement

映画「シビルウォー」は、西部のカリフォルニア州とテキサス州の西部連合軍が連邦政府軍と戦う内戦を描いている。しかしこれはまったくの荒唐無稽なフィクションではなく、今現在実際に、カリフォルニア州とテキサス州に起きている独立運動を踏まえている。カリフォルニア州とテキサス州は、政策面で連邦政府と対立することが多いが、経済力が強く、GDP は全米1位と2位の州だ。今は住民の署名活動をしている段階だが、来年には住民投票に持ち込もうとしている。住民の支持率はかなり高いという。憲法の制約があるから実現は難しいようだが。

映画で、両州連合軍は「Western Forces」と呼ばれていて、その旗が面白い。2つの星はカリフォルニアとテキサスを意味している。実際の星条旗には州の数である50 の星があるが、それをもじっている。二つの州が新しいアメリカの建国をするというメッセージになっている。
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ついでに、これ以外の国の独立運動について。

イギリスは UK (United Kingdom) という通り、4つの王国の連合国だが、そのうちのスコットランドはイギリスからの分離・独立を目指している。自治政府は一方的に住民投票を行ったが中央政府はそれを違法だとした。しかしスコットランド民族党の勢力は強く、対立は続いている。

スペインのカタルーニャ地方は、独自の歴史・文化・言語を持っていて、スペインからの分離・独立を目指している。州政府が一方的な独立宣言をしたことから、中央政府との激しい対立が生じ、現在も混乱が続いている。

もともと独立した琉球王国だった沖縄が、明治時代に日本に併合されたという歴史を背景に、沖縄の日本からの独立を目指す琉球独立運動がある。しかし県民の支持率は数%と低い。

2026年5月17日日曜日

ドキュメンタリー「History 101」

 「History 101」

NETFLIX で配信中のドキュメンタリー「History 101」は、現在世界で問題を引き起こしているさまざまなことについて、その歴史的始まりから説き起こし、これからどうなっていくかを問うている。だから番組のキャッチフレーズは「この地球で、我々は何を得て、ここからどこへ向かおうとしているのか?」となっている。

取り上げるテーマは多岐にわたる。
科学技術の問題(原子力、宇宙、ロボット、プラスチックなど)
政治経済の問題(中東の石油、社会格差、中国の台頭など)
人間生活の問題(ファストフード、女性運動、人工授精など)


例えば現在ホットな事案である「中東の石油」については、その歴史的背景をわかりやすくたどっている。20 世紀の初めにイギリスが中東の石油を初めて発見すると、中東を支配下に置いて、石油利権を独占する。戦後になると中東各国は独立し、イギリスを追い出す。それらは独裁国家であり、石油の利益を国民のために使わず、独裁者が独り占めする。産油国どうしが連携する OPEC で生産調整をして、石油の価格を維持する。アメリカが石油利権を確保するために、産油国を攻撃して、中東紛争が何度も繰り返されてきた。・・・などが記録映像とインフォグラフィックでわかりやすく解説する。

2026年5月16日土曜日

映画「シビルウォー アメリカ最後の日」

 「Civil War」 

2年前に見た映画だが、NETFLIX でやっていたので、もう一度見た。

西部のカリフォルニア州とテキサス州が連合して、アメリカ合衆国から独立しようとして戦争を起こす。激しい内戦になるが、西部軍が東部へ向かって侵攻し、ついにワシントンに到着する。政府軍と西部軍が激突して激しい市街戦になるが、最後に西部軍はホワイトハウスに突入する・・・


こう書くと荒唐無稽なフィクションのようだがそうでもない。日本ではあまり報じられないが、カリフォルニア州ではトランプ大統領の強権的な政治に反発して、「カリフォルニア独立運動」が現実に起きている。署名活動をしていて、来年には住民投票に持ち込もうとしている。もし実現すれば GDP 世界第4位の国になるという。

外国移民に対して寛容なカリフォルニア州は、トランプ大統領の極端な移民排斥政策に反対している。去年、政府が容赦ない移民拘束をロサンジェルスで行ったとき、住民の大規模な抗議デモが起きた。それに対してトランプ大統領は州兵を派遣して鎮圧しようとして大規模な衝突が起きた。映画は、こういう「分断国家」アメリカの現実を踏まえている。

映画にそれを象徴するようなシーンがある。道路封鎖している政府軍の兵士が通りがかりの一般市民を拘束する。銃を突きつけながら一人ずつ「お前はどの種類のアメリカ人だ?」と出身地を聞いていく。「コロラド」「フロリダ」「ミズーリ」などに続いて「香港」と答えた人間を即射殺する。

ラストで、ホワイトハウスに突入した西部軍は隠れている大統領を探す。するとTV ニュースでお馴染みのプレス発表室に女性報道官が手を挙げて出てくる。「大統領は停戦交渉を求めています」と言うが即射殺されてしまう・・・

2026年5月15日金曜日

風景の中の人物

Figure in landscape 

風景の中に人物を描くとき、遠近法的に間違いを起こさないように、という注意がネットの SNS に流れてきた。今まで何度か描いてきたことだが、図がうまくてわかりやすいので、もう一度取り上げる。


左図が OK で、右図が NG 。遠くのものは小さく見えるというだけの単純な遠近法の理解だと、右のように描いてしまう。正しくは左図のように、遠い人も近い人も、頭の高さは一定で、地平線上にある。

印象派の巨匠カイユボットの絵にいい例がある。パリの街をたくさんの人が行き交っているが、近くの人も遠くの人も頭は皆地平線上にある。2枚目で地平線(赤線)を引いて確かめた。



2026年5月14日木曜日

窓から差し込む光とホッパー

Edward Hopper

ネットの SNS で、パースペクティブについての説明がよく流れてくるが、最近こんな図があった。窓から差し込む光をどう描くかという説明で、なかなか親切な図だ。 


それで思い出すのはエドワード・ホッパーだ。ほとんど全ての作品でと言っていいくらい窓から差し込む光の絵を描いた。


何もないガランとした部屋に窓から差し込む光だけを描いている。
最も有名なのはこの「海辺の部屋」。海が見える大きな窓から光が差し込んでいる。壁と床にあった光の形を描いている。









朝陽が差し込むカフェテリアで、夜勤明けの女性と、出勤前のサラリーマンがコーヒーを飲んでいる。壁の光が朝の雰囲気を出している。








朝陽が差し込む部屋で、壁や床にあたる光の形が面白い造形になっている。起きたばかりの気だるそうな女と、まだ寝ている男。都会の憂愁を好んで描いたホッパーの絵だが、窓からの光が重要な要素になっている。






どこか訳ありの物語性のある絵を描いたホッパーだが、この「朝の太陽」は有名な作品。起きたばかりの女が窓の外を気だるそうに見ている。多分夜勤明けで遅い目覚めなのだろう。壁に当たった光が朝のイメージを強調している。

オフィスの窓を外から描いた絵だが、室内の光と影が画面構成上な重要な要素になっている。






列車の車内の絵だが、窓からの光が床に当たっている。ホッパーはあくまでも光にこだわっている。


2026年5月13日水曜日

新聞対ネット

 Newspaper vs Internet

新聞購読をやめる人の理由は2種類あるようだ。新聞を「読む」という面倒くささがなく、手軽に情報を得られるネットで充分という人。もうひとつは、新聞の報道は偏っていて、真実を伝えて信頼できるのはネットの方だという人。


朝日新聞が戦時中に戦争賛美の報道で世論を煽り、その世論に押されて政府は開戦に至ったということは今ではよく知られている。「朝日新聞の戦時社説を読む」(室谷克実)という本は同紙の当時の記事を一つ一つ調べてその実態を検証している。


東條英機の絶賛、英米を撃滅せよと戦意高揚を煽る、死んだ特攻隊員への賛美、お国のために命を捧げようと呼びかけ、銃後の国民は一致団結せよと呼びかけ、本土決戦になっても竹槍で戦おう、・・・などと今読むとすごい記事を連日掲載している。景気のいい論調に煽られて、国民は熱狂的に戦争賛美へ突き進んでいった。おかげで同紙は購読者数トップになった。しかし戦後は同紙は一転して反戦・平和主義へ大転換した。


新聞は本当のことを書かないと思って購読をやめた人は、ネット情報の方は真実だと信じている。ネット上の極端な意見や、偽情報を見て、自分は新聞が書いていない真実を知ったと思ってしまう。それが拡散されて世の中全体の空気になっていく。主要メディアが新聞からネットに変わった現在でも、新聞の時代と同じ構造だ。人々がメディアに煽られるという危険性は変わっていない。


2026年5月12日火曜日

「スマホはどこまで脳を壊すか」

Smartphone 

榊浩平という脳科学者が書いた「スマホはどこまで脳を壊すか」という本は、スマホの使いすぎがいかに脳に悪影響を及ぼすかを医学的に調べている。そこに面白い(恐ろしい)話が出てくる。

この写真は、スマホを一日中使っている人の脳を MRI で撮ったもので、上が脳の右側、下が脳の左側の写真。黒い部分が脳細胞が損傷していることを示している。ちょうど肺癌になった人の肺のレントゲン写真が黒くなるのと同じ。スマホの使用頻度がさほどでない人は、黒い部分がほとんどなく、白いままだという。

脳には、認知機能を支える領域や、記憶や学習に関わる領域や、言葉に関係する領域などがあるが、写真はそういう領域が死んでいることがわかる。つまり、スマホに依存している人は、ものを考えたり理解したりする知的活動のための機能がダメになっている。だからこうなると、子供の場合は成績が悪くなり、大人の場合は認知症になる。

脳は負荷を与え続けなければ衰えていく。読書と違って、スマホは流れてくる情報を受け身で受け取るだけなので、脳はほとんど働いていない。脳を「使うこと」によって「脳の運動不足」を防ぐ必要があると同書は警告している。