2026年5月18日月曜日

いろいろな国の独立運動

 Independence Movement

映画「シビルウォー」は、西部のカリフォルニア州とテキサス州の西部連合軍が連邦政府軍と戦う内戦を描いている。しかしこれはまったくの荒唐無稽なフィクションではなく、今現在実際に、カリフォルニア州とテキサス州に起きている独立運動を踏まえている。カリフォルニア州とテキサス州は、政策面で連邦政府と対立することが多いが、経済力が強く、GDP は全米1位と2位の州だ。今は住民の署名活動をしている段階だが、来年には住民投票に持ち込もうとしている。住民の支持率はかなり高いという。憲法の制約があるから実現は難しいようだが。

映画で、両州連合軍は「Western Forces」と呼ばれていて、その旗が面白い。2つの星はカリフォルニアとテキサスを意味している。実際の星条旗には州の数である50 の星があるが、それをもじっている。二つの州が新しいアメリカの建国をするというメッセージになっている。
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ついでに、これ以外の国の独立運動について。

イギリスは UK (United Kingdom) という通り、4つの王国の連合国だが、そのうちのスコットランドはイギリスからの分離・独立を目指している。自治政府は一方的に住民投票を行ったが中央政府はそれを違法だとした。しかしスコットランド民族党の勢力は強く、対立は続いている。

スペインのカタルーニャ地方は、独自の歴史・文化・言語を持っていて、スペインからの分離・独立を目指している。州政府が一方的な独立宣言をしたことから、中央政府との激しい対立が生じ、現在も混乱が続いている。

もともと独立した琉球王国だった沖縄が、明治時代に日本に併合されたという歴史を背景に、沖縄の日本からの独立を目指す琉球独立運動がある。しかし県民の支持率は数%と低い。

2026年5月17日日曜日

ドキュメンタリー「History 101」

 「History 101」

NETFLIX で配信中のドキュメンタリー「History 101」は、現在世界で問題を引き起こしているさまざまなことについて、その歴史的始まりから説き起こし、これからどうなっていくかを問うている。だから番組のキャッチフレーズは「この地球で、我々は何を得て、ここからどこへ向かおうとしているのか?」となっている。

取り上げるテーマは多岐にわたる。
科学技術の問題(原子力、宇宙、ロボット、プラスチックなど)
政治経済の問題(中東の石油、社会格差、中国の台頭など)
人間生活の問題(ファストフード、女性運動、人工授精など)


例えば現在ホットな事案である「中東の石油」については、その歴史的背景をわかりやすくたどっている。20 世紀の初めにイギリスが中東の石油を初めて発見すると、中東を支配下に置いて、石油利権を独占する。戦後になると中東各国は独立し、イギリスを追い出す。それらは独裁国家であり、石油の利益を国民のために使わず、独裁者が独り占めする。産油国どうしが連携する OPEC で生産調整をして、石油の価格を維持する。アメリカが石油利権を確保するために、産油国を攻撃して、中東紛争が何度も繰り返されてきた。・・・などが記録映像とインフォグラフィックでわかりやすく解説する。

2026年5月16日土曜日

映画「シビルウォー アメリカ最後の日」

 「Civil War」 

2年前に見た映画だが、NETFLIX でやっていたので、もう一度見た。

西部のカリフォルニア州とテキサス州が連合して、アメリカ合衆国から独立しようとして戦争を起こす。激しい内戦になるが、西部軍が東部へ向かって侵攻し、ついにワシントンに到着する。政府軍と西部軍が激突して激しい市街戦になるが、最後に西部軍はホワイトハウスに突入する・・・


こう書くと荒唐無稽なフィクションのようだがそうでもない。日本ではあまり報じられないが、カリフォルニア州ではトランプ大統領の強権的な政治に反発して、「カリフォルニア独立運動」が現実に起きている。署名活動をしていて、来年には住民投票に持ち込もうとしている。もし実現すれば GDP 世界第4位の国になるという。

外国移民に対して寛容なカリフォルニア州は、トランプ大統領の極端な移民排斥政策に反対している。去年、政府が容赦ない移民拘束をロサンジェルスで行ったとき、住民の大規模な抗議デモが起きた。それに対してトランプ大統領は州兵を派遣して鎮圧しようとして大規模な衝突が起きた。映画は、こういう「分断国家」アメリカの現実を踏まえている。

映画にそれを象徴するようなシーンがある。道路封鎖している政府軍の兵士が通りがかりの一般市民を拘束する。銃を突きつけながら一人ずつ「お前はどの種類のアメリカ人だ?」と出身地を聞いていく。「コロラド」「フロリダ」「ミズーリ」などに続いて「香港」と答えた人間を即射殺する。

ラストで、ホワイトハウスに突入した西部軍は隠れている大統領を探す。するとTV ニュースでお馴染みのプレス発表室に女性報道官が手を挙げて出てくる。「大統領は停戦交渉を求めています」と言うが即射殺されてしまう・・・

2026年5月15日金曜日

風景の中の人物

Figure in landscape 

風景の中に人物を描くとき、遠近法的に間違いを起こさないように、という注意がネットの SNS に流れてきた。今まで何度か描いてきたことだが、図がうまくてわかりやすいので、もう一度取り上げる。


左図が OK で、右図が NG 。遠くのものは小さく見えるというだけの単純な遠近法の理解だと、右のように描いてしまう。正しくは左図のように、遠い人も近い人も、頭の高さは一定で、地平線上にある。

印象派の巨匠カイユボットの絵にいい例がある。パリの街をたくさんの人が行き交っているが、近くの人も遠くの人も頭は皆地平線上にある。2枚目で地平線(赤線)を引いて確かめた。



2026年5月14日木曜日

窓から差し込む光とホッパー

Edward Hopper

ネットの SNS で、パースペクティブについての説明がよく流れてくるが、最近こんな図があった。窓から差し込む光をどう描くかという説明で、なかなか親切な図だ。 


それで思い出すのはエドワード・ホッパーだ。ほとんど全ての作品でと言っていいくらい窓から差し込む光の絵を描いた。


何もないガランとした部屋に窓から差し込む光だけを描いている。
最も有名なのはこの「海辺の部屋」。海が見える大きな窓から光が差し込んでいる。壁と床にあった光の形を描いている。









朝陽が差し込むカフェテリアで、夜勤明けの女性と、出勤前のサラリーマンがコーヒーを飲んでいる。壁の光が朝の雰囲気を出している。








朝陽が差し込む部屋で、壁や床にあたる光の形が面白い造形になっている。起きたばかりの気だるそうな女と、まだ寝ている男。都会の憂愁を好んで描いたホッパーの絵だが、窓からの光が重要な要素になっている。






どこか訳ありの物語性のある絵を描いたホッパーだが、この「朝の太陽」は有名な作品。起きたばかりの女が窓の外を気だるそうに見ている。多分夜勤明けで遅い目覚めなのだろう。壁に当たった光が朝のイメージを強調している。

オフィスの窓を外から描いた絵だが、室内の光と影が画面構成上な重要な要素になっている。






列車の車内の絵だが、窓からの光が床に当たっている。ホッパーはあくまでも光にこだわっている。


2026年5月13日水曜日

新聞対ネット

 Newspaper vs Internet

新聞購読をやめる人の理由は2種類あるようだ。新聞を「読む」という面倒くささがなく、手軽に情報を得られるネットで充分という人。もうひとつは、新聞の報道は偏っていて、真実を伝えて信頼できるのはネットの方だという人。


朝日新聞が戦時中に戦争賛美の報道で世論を煽り、その世論に押されて政府は開戦に至ったということは今ではよく知られている。「朝日新聞の戦時社説を読む」(室谷克実)という本は同紙の当時の記事を一つ一つ調べてその実態を検証している。


東條英機の絶賛、英米を撃滅せよと戦意高揚を煽る、死んだ特攻隊員への賛美、お国のために命を捧げようと呼びかけ、銃後の国民は一致団結せよと呼びかけ、本土決戦になっても竹槍で戦おう、・・・などと今読むとすごい記事を連日掲載している。景気のいい論調に煽られて、国民は熱狂的に戦争賛美へ突き進んでいった。おかげで同紙は購読者数トップになった。しかし戦後は同紙は一転して反戦・平和主義へ大転換した。


新聞は本当のことを書かないと思って購読をやめた人は、ネット情報の方は真実だと信じている。ネット上の極端な意見や、偽情報を見て、自分は新聞が書いていない真実を知ったと思ってしまう。それが拡散されて世の中全体の空気になっていく。主要メディアが新聞からネットに変わった現在でも、新聞の時代と同じ構造だ。人々がメディアに煽られるという危険性は変わっていない。


2026年5月12日火曜日

「スマホはどこまで脳を壊すか」

Smartphone 

榊浩平という脳科学者が書いた「スマホはどこまで脳を壊すか」という本は、スマホの使いすぎがいかに脳に悪影響を及ぼすかを医学的に調べている。そこに面白い(恐ろしい)話が出てくる。

この写真は、スマホを一日中使っている人の脳を MRI で撮ったもので、上が脳の右側、下が脳の左側の写真。黒い部分が脳細胞が損傷していることを示している。ちょうど肺癌になった人の肺のレントゲン写真が黒くなるのと同じ。スマホの使用頻度がさほどでない人は、黒い部分がほとんどなく、白いままだという。

脳には、認知機能を支える領域や、記憶や学習に関わる領域や、言葉に関係する領域などがあるが、写真はそういう領域が死んでいることがわかる。つまり、スマホに依存している人は、ものを考えたり理解したりする知的活動のための機能がダメになっている。だからこうなると、子供の場合は成績が悪くなり、大人の場合は認知症になる。

脳は負荷を与え続けなければ衰えていく。読書と違って、スマホは流れてくる情報を受け身で受け取るだけなので、脳はほとんど働いていない。脳を「使うこと」によって「脳の運動不足」を防ぐ必要があると同書は警告している。


2026年5月11日月曜日

SNS 時代の今

 

最近の SNS のフェイク情報・デマなどを利用した政治活動が目にあまる。特に最近は生成AI を使った偽画像が拡散される。理性的な政策論争よりも、過激な主張ほど一般受けしやすいので、どんどんエスカレートしてゆく。そして選挙にも影響を与えたり、世論誘導したりする。

政治家だけでなく、ジャーナリズム側も SNS を利用する。政府の記者会見でツッコミ質問をして、それを SNS で発信する。それは政府の闇を暴く的な極端な意見で、反権力であることがジャーナリストの正義だと信じている。 

政治学者の永井陽之助はこう言っている。「政治権力への抵抗のポーズと思っているものが、実は別の権力に対する迎合であることが多い」「権力に抗議する姿勢が実は『多数派ムード』や『時代の空気』に追従しているだけの場合が多い」「こういう言説は、世論や民衆のムードが変化すれば、手のひらを返すように変節してしまう」

 世の中全体が SNS 依存症になっている今への警告になっている。


2026年5月10日日曜日

新種ウィルスが発生

Penicillin

新種のウィルスが発生して、感染したオランダ人が死亡したと報じられていた。各国はパンデミックを防ぐ対応を始めたという。それでコロナの時に読んだ本を思い出した。「世界史を変えたパンデミック」(小長谷正明)という本は、歴史上のパンデミックがいかに世の中に大変化をもたらしたかについて書いた面白い本だ。その中に日本におけるペニシリン開発についての話が出てくる。

第二次世界大戦中、アメリカで「ペニシリン」という強力な薬ができたらしいという噂が入る。しかし日本とドイツは交戦国なのでアメリカの情報が入ってこないから、独自開発せざるをえなかった。

ドイツは終戦までに開発に成功しなかったが、日本は研究者を総動員して開発に成功した。終戦の一年半くらい前にはすでに量産もしていたそうだ。おかげでたくさんの負傷兵の命を数うことができた。東京大空襲の時も民間人の命を救った。医学先進国の日本の成果だった。

そして同書に面白い話が出てくる。開発を成功できなかったドイツは、撃墜したアメリカ機のパイロットが持っている救急用ペニシリンを回収していたそうだ。しかしそんな微量では一般兵士には使えない。ヒトラー暗殺未遂事件(トム・クルーズ主演の「ワルキューレ」で映画化された)が起きた時、大事にとってあったペニシリンを重傷を負ったヒトラーに打って命を救ったという。


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2020年6月19日金曜日

「世界史を変えたパンデミック」

A History of Pandemic

コロナを機に感染症関係の本をいろいろ読んだが、いちばん面白かったのが「世界史を変えたパンデミック」だ。日本に関係する部分からちょっとだけ紹介。

戦争中、アメリカでペニシリンという強力な薬ができたという噂が入るが、ドイツも日本も交戦国だから詳しい情報が入ってこない。それで自国で独自開発しようと研究が始まる。ドイツはなかなか成功しないまま敗戦を迎えてしまったが、日本は研究者を総動員して敗戦の一年半前くらいに完成させ量産もしていた。おかげでたくさんの負傷者の命を救えたという。

ドイツは、撃墜した米軍戦闘機のパイロットの救急バッグからペニシリンを回収していたそうだ。しかしそんな少量を兵士に使うわけにはいかない。ヒトラーの暗殺計画事件(映画にもなったワルキューレ事件)で重傷を負ったヒトラーにそのペニシリンを初めて使った。おかげでヒトラーは一命をとりとめた・・・



2026年5月9日土曜日

上海の小路

 Shanghai

16 年前、上海に行ったとき、街をブラブラ歩きしていた時の風景。表通りからちょっと入った小路が魅力的だった。建物はレンガの壁で、道は石だたみというヨーロッパの古い街並みを思わせる。両側にしゃれたブティックの店が並んでいる。

描いてはみたが、その場の雰囲気が出せなくてお蔵入りしていたのを引っ張り出して手を加えてみた。



2026年5月8日金曜日

オホーツク海の日の出

 Sunrise    Sea of Okhotsk

これも冬の北海道を車で走り回っていたときの風景。オホーツク海に面した漁港の街「紋別」で泊まったが、ホテルの窓から海が一望できる。海は東側だから日の出が見られるはずと思って、翌朝暗いうちに起きて待った。期待どうり、空が茜色に染まり始めて、太陽が水平線に顔を出す瞬間を見ることができた。3分後にはもう普通の朝になってしまった。



2026年5月7日木曜日

生活支援給付金

 

生活応援給付金の案内がきたので、申し込みをしてみた。さまざまな電子クーポンを選べるが、うっかりミスで関係のないアイコンをタップしてしまった。しかし修正しようとしてもできない。コールセンターに電話してみたら「一度選んだものを修正することはできません」ということだった。なぜですかと聞いたら、「二重給付を防ぐためです」との答え。それで 5000 円もらうことはやめた。

そもそもマイナンバーカードを利用すれば、いちいち申し込みをしなくても自動的に給付されるシステムにできるはずだが、マイナンバーカードのシステムが中途半端にできてしまっているからそれができない。


2026年5月6日水曜日

日本海の残照

 Aftergrow Japan Sea

押入れの中からボツにした絵がたくさん出てきた。これは数年前、冬になると毎年のように北海道をレンタカーでドライブしていた頃の絵。夕暮どきに日本海沿いの国道を走っていたら、脇道があったので入っていくと残照の海が見えた。車から出ると猛烈に寒い。線路があって、カンカンと鳴って遮断機が降りた。ここは 札幌-小樽-函館を結ぶ函館本線の、小樽に近いところ。



2026年5月5日火曜日

地下鉄の緊急時用表示

 Graphic design for emergency

市営地下鉄の電車内で見かけたこの図は、SOS ボタンや、消火器や、非常口などのマークがパラパラと配置されている。しかしそれが何を意味するのか分からなかった。

だが近づいてよく見ると、車両の形が描いてあって、SOS ボタンなどが車内のどこにあるかの位置を示す図であることがわかった。しかし肝心の車両の形の線が細くてほとんど見えない。しかも「現在位置」がマークに紛れて小さく表示されている。だから全体の位置関係がまったくわからない。緊急時にこんな図は何の役にもたたない。

グラフィックデザインの最大の使命は「情報の伝達」だが、この図はそんなことはおかまいなしだ。


2026年5月4日月曜日

「カイロス」ロケットの打ち上げ失敗


昨日(5/3)の日経新聞に、今年3月に民間ロケット「カイロス」が3回連続で失敗したことについて解説している。

スペースワン社の「カイロス」は民間ロケットとはいえ、実は政府が進める宇宙開発の民営化という「国策」の一貫だ。国から支援を受けているし、そもそもスペースワン社の社長は元経産省の役人だ。だから打ち上げの3連続失敗でも記者会見で「失敗」という言葉は絶対に言わない。「今回を教訓にして次に向かって前進する」と言い続ける。「政策の無謬性」を貫くのが役人だから、失敗を認めるわけにはいかない。いま世界中で進んでいる激しい小型ロケット開発競争に遅れをとっている日本の危機的な状況を隠そうとしているように見える。


記事には書いていないが、いつも違和感を感じるのは発射場に集まる人たちだ。打ち上げの日には、花火大会の見物と同じ感覚で集まる見物客の姿が報道される。失敗しても「また次を楽しみにしよう」で終わり。

(写真:産経新聞より)

2026年5月3日日曜日

「こどもの日って何?」とAI に聞いてみたら


もうじき5月5日なので、「こどもの日って何?」とAI に聞いてみたら答えは・・・

「こどもの日とは、5月5日の祝日です。」「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝することを趣旨とした日本の祝日です。」「鯉のぼりを掲げ、人生の難関を突破して、立派に成長するようにとの願いを込めます。」・・・

AI は何でも知っている。参考になることを教えてもらい、すこし物知りになった気がする。


つねずね思っているAI の悪口をズバリ AI にぶつけてみた。「 AI って頭のいいおバカですか?」と聞くと。「 AI は人間が一生かかっても得られないほどの膨大なデータを学習しているので知識は超一流で『頭がいい』です。しかし言葉を『記号の並び』として処理しているだけで、内容を実感として理解していないから『おバカ』です。」・・・と的確な答えがかえってきた。


2026年5月2日土曜日

エレベータの階数表示

Intutive Design

エレベーターの階数表示は普通こうなっている。カゴは今 12 階にいて下へ向かっていると自然にわかる。


よく利用する商業施設のエレベータにこんなデザインがある。左に点灯している四角のマークはカゴの現在位置で、右に点灯している三角のマークはカゴの動いている方向を示している。あいだにある8という数字は固定で、この階を示している。この3つ以外はブラックアウトしていて何も表示がない。


これは一瞬ではわからない。カゴは今下の方にいて、上へ向かっているが、ここ8階へ来るのは最上階で折り返してからだから、まだ時間がかかるな・・・などと3つのマークをもとに頭の中で考えなければならない。

「情報のバリアフリー」がいわれる今、考えなくとも見ただけでわかる直感的デザイン(Intutive Design)が重要だが、それに逆行している。情報量をできるだけ少なくして、ブラックアウトすることが ”スッキリ” していて ”カッコいい” と勘違いしている。かつては家電製品でもそんなデザインが流行ったが、もう時代遅れだ。


2026年5月1日金曜日

映画「国民の創生」

 The Birth of a Nation

「国民の創生」は、今から100 年ほど前の映画だが、映画史上の歴代名作映画に必ずランキングされる。白黒サイレント映画だが、 D. W.グリフィス監督は「映画の父」と呼ばれている。

しかし同時にこの映画は黒人への人種差別を礼賛する内容で、「アメリカの恥」といわれるくらい批判されてきた。

「分断国家」といわれるアメリカだが、そのルーツをこの映画から知ることができる。そして今、トランプ大統領がそれをさらに加速させていて、それを多くのアメリカ人が支持していることの理由もこの映画から知ることができる。


映画は南北戦争から始まる。北軍と南軍が熾烈な殺し合いをして、北部と南部の憎しみの感情が高まる。戦争が終わると、リンカーン大統領は南北がひとつになることを優先しで、南部に対する融和政策をとる。しかしそれを生ぬるいとする急進派もいた。その一人にリンカーンは劇場で観劇中に暗殺される。


リンカーンの黒人優遇政策によって、黒人の社会的地位が上がり、選挙権も得る。南部の州議会では黒人政党が多数派を占めて権力を握り、黒人に有利な法律を作ったりする。街なかでは黒人が白人を襲ったりする暴力行為が日常的になり、白人は恐怖に怯えている。


ついに白人は黒人に対抗するために武装軍団を作る。これが今日まで続く「KKK」の始まりだった。三角の頭巾で顔を隠し、十字マークのついた白装束に身を固めている。。


 KKK は黒人をリンチで殺すなどして、暴力で黒人を制圧し、白人中心の社会を取り戻す。


最後に、黒人をやっつけてくれた KKK は英雄として迎えられる。映画のラストシーンで合成映像のキリストが現れる。キリストが KKK を救世主として祝福している。



KKK のおかげで社会秩序を回復し、北部と南部との対立が解消する。つまり、黒人を排除することによって、対立していた北部人と南部人が一つになり、「アメリカ人」という概念が生まれた。だから「国民」とはあくまで白人であり、黒人は「国民」に含まれていない。そういう歴史観に立っているこの映画だから、題名が「国民の創生」(The Birth of a Nation)になっている。

このラストシーンの映像は、先ごろ問題になったトランプ大統領の画像を思い出させる。キリストがトランプの肩に手を乗せている合成写真だ。外国移民の排除や、白人中心主義政策を推進するトランプが神に祝福されている。

アメリカはやがてマイノリティの人口が白人を追い越すだろうといわれる。その危機感から白人至上主義者が増えているといわれる。彼らは人種差別を正当化する。その代表が今でも続いている KKK で、トランプ政権を強力に支持している。彼らは今でも映画と同じように白頭巾をかぶり、南北戦争時代の南軍の旗を掲げている。まさに「分断国家」アメリカだ。


こちらで「国民の創生」全編が見れる。→https://www.youtube.com/watch?v=2Qcf7AvTuvM

2026年4月30日木曜日

佐島のイタリアン

 AzzurrA Mare Sajima

久しぶりに湘南へドライブして、葉山の少し先の佐島にある海辺のイタリアン・レストランで食事をした。相模湾に面していて、オーシャンビューが素晴らしい。海の向こうに伊豆半島がかすかに見えて、さらにその先の富士山が見える。


このレストランから隣の建物がよく見えるが、これは「ブリキのおもちゃ博物館」で有名な北原照久氏の別荘。


2026年4月29日水曜日

「横浜絵付け」の陶磁器

Yokohama - Ceramics

横浜駅近くに「真葛焼ミュージアム」という小さな博物館がある。 明治時代の陶工、宮川香山の作品を展示している。当時の日本の陶磁器は海外で人気があり、横浜では海外輸出用の陶磁器が盛んに作られ「横浜絵付」と呼ばれた。宮川香山はその代表的作家だった。

日経新聞の「はじまりの横浜 10 選」で、前々回の「横浜絵」と、前回の「横浜写真」に続いて今回はこの「横浜絵付」が取り上げられていた。

香山のこの作品は、華やかな牡丹の花が浮き上がるように表現されていて、蓋部分にはリアルな猫がいる。香山の造形はこのように 3D 的な表現が独特だった。日本の陶磁器とは違った感覚で、香山は外国市場での受けを狙っていたという、

香山の窯は「真葛焼」といわれ、大人気を博して、明治時代の外貨獲得に大きな貢献をしたという。

2026年4月28日火曜日

「横浜写真」の始まり

 Yokohama-Photo

開港間もない横浜で始まった写真の記念碑が馬車道にある。上に箱型のカメラが乗っていて土台には「日本写真の開祖  写真師・下村蓮杖  顕彰碑」とある。下村蓮杖は、居留外国人や外国人観光客を相手に日本初の写真館を開いた写真師だった。その写真は「横浜写真」と呼ばれた。

日経新聞のコラムの「はじまりの横浜 10選」シリーズで「◯◯発祥の地」が多い横浜のさまざまな文化の「始まり」を取り上げている。そのなかで、玉村康三郎という、もう一人の「横浜写真」の写真師を紹介している。

玉村康三郎も下村蓮杖と同じ頃に横浜に写真館を開業したそうだ。彼も肖像や風景を撮って、外国人向けの日本土産用の「横浜写真」で商売をした。その中の一枚が記事に紹介されている。「鼓を打つ芸奴」という白黒写真に彩色をしたもので、なかなか美しい。



2026年4月27日月曜日

歌川貞秀の「横浜絵」

 「Yokohama - E」

日経新聞の「はじまりの横浜」シリーズは、横浜で発祥したさまざまな文化を紹介している。そのなかで、歌川貞秀の浮世絵が取り上げられていた。浮世絵はあまり詳しくないが、同記事によれば、歌川貞秀は、広重や北齋が亡くなったあとの幕末に売れっ子の絵師になったそうだ。その貞秀は何度も横浜に足を運び、開港したばかりの港を取材したという。そして異人たちの暮らしや装いを色鮮やかに描いた。これらは「横浜絵」という錦絵の新ジャンルになり、人気を博したという。


これは、「横浜異人商館乃図」という絵で、左上に星条旗が見えるからアメリカ商館なのだろう。西洋絵画的な遠近法も取り入れている。

歌川貞秀の他の「横浜絵」も調べてみたが、たくさんある。その中で「横浜鉄橋乃図」に興味を引かれる。この橋は関内の「吉田橋」で、日本人と外国人が入り乱れて橋を渡っている。この橋の左側は外国人の居留地区で「関外」と呼ばれた。橋の右側は今でも同じ名前の「関内」だ。「吉田橋」はその両側を結ぶ橋だった。橋の右側が現在の「伊勢佐木町」で、左側が「馬車道」だ。下の川は現在は高速道路になっている。橋は復元されたものだが、斜めの格子状のデザインはそのまま維持されている。


現在の吉田橋

2026年4月26日日曜日

アンソロピックの AI

 Cloude

数日前のニュースで、アンソロピック社が現在の AI アプリ「クロード」をバージョンアップした「クロード・ミュトス」を発表したと伝えていた。これはサイバー攻撃を防御するためのAI で、ネットワークに潜んでいる有害なアプリを見つけ出して、無力化するものだという。

現状の生成 AI の市場シェアを調べてみたら以下のようだった。
 第1位:「オープンAI」の「チャットGPT」
 第2位;「Google」の「ジェミニ」  
 第3位:「Microsoft」 の「Copilot」 
 第4位:「アンソロピック」の「クロード」  

4位のアンソロピックは最近よく話題になる。同社の「クロード」は、企業や組織の用途に特化した高性能 AI で、アメリカ政府が軍事用途に使っている。今度のイランへのミサイル攻撃でも、人工衛星や監視カメラなどから収集した情報をもとに、 AI が判断した攻撃目標にもとづいて、軍は攻撃した。ところがその標的になったのは小学校で、百数十人の子供が犠牲になった。  それで 同社の AI の非人道性が問題になった。

アンソロピック社は最近、日本に進出して東京オフィスを開設し、データセンターも作ると発表した。そして CEO が来日して高市総理と面会した。このことは、アメリカと同様に日本政府が同社と何らかの関係を持つことを意味するのだろうか?


2026年4月25日土曜日

「フィルム・ノワール」の映像手法

Film Noir 

前回書いたように、「フィルム・ノワール」は、1940 ~ 1950 年代に多く作られた殺人事件がからむ犯罪サスペンス映画だが、戦前のドイツ表現主義映画の影響を受けていた。人間の不安や恐れを表現するために、白黒映画の特徴を活かした独特の映像手法が発達した。


「深夜の告白」(1944 )は、ビリー・ワイルダー監督によるフィルム・ノワールの名作だが、この映画を事例にして。フィルム・ノワールの全般に共通する映像の特徴をまとめてみた。

この映画は、保険会社の外交員が、美貌の人妻と共謀して、夫を殺して保険金を詐取しようと企む、というストーリー。事故死と見せかける完全犯罪のつもりだったが、保険会社は疑念を抱き調査を始める・・・


特徴1:光と影の強いコントラスト
フィルム・ノワールの意味が「黒い映画」であるとおり、夜のシーンが多いが、昼でも窓が閉まった暗い室内の場面が多い。だから光と影の明暗コントラスが強い映像になる。女が男にピストルを向けているこのシーンでも強いコントラストが緊張感を高めている。

特徴2:人間の影
女がソファに横たわっていると、突然男の影が壁に映り、知らない誰かが来たことに気づく。サスペンス性を高めるためのフィルム・ノワールの常套手段だ。


特徴3:人間の内面を映す鏡
外交員と人妻が会っているシーンで、2人は鏡を見ながら話している。表面的には差し障りのないことを喋っているが、実はそれぞれが企みを持っていて、そのことをお互いにわかっている。鏡は人間の内面を映すものとして使われている。

特徴4:眼のクローズアップ
フィルム・ノワールの登場人物は、真実を語っているのか、人を欺くことを話しているのかわからない場合が多い。だからそれを判断させるために、カメラは目をクローズアップで撮る。”目は口ほどにものを言い”だ。

特徴5:宿命の女
魅力で男を惑わせ破滅に導く女をファム・ファタール(宿命の女)というが、フィルム・ノワールでは必ずそういう女が登場する。外交員が家を訪れると、2階からバスタオルを身にまとっただけの女が現れる。外交員は魅了されてしまい、やがて二人は共謀して女の夫殺しへ突き進んでいく。そして最後に男は破滅する。女は典型的なファム・ファタールだ。

特徴6:事件の真相を追う人間
フィルム・ノワールで必ず登場するのが、事件の真相を解明しようとする刑事や私立探偵だ。彼らはたいていどこか影のある暗い人間の場合が多い。この映画の場合は、保険金の不正請求がないかを調べる保険調査員がその役をつとめている。事件は事故ではなく、殺人ではないかと疑い、しつこく調査する。クセの強いそのキャラクターが映画を面白くしている。