「What Makes Us Smart」
「バイアス」といえば普通は、「偏り」や「思い込み」などのように、人間が間違った判断をするものとして悪者扱いされる。しかしこの本は、人間の知性とはそもそもバイアスでできているという考え方を主張している。動物も人間も、食べ物を探したり、外敵から身を守ったりするために視覚や聴覚によって得られる外部からの情報を集めて、それに基づいて物事を判断する。しかしそれらの情報はまわりの世界にある膨大な情報のごく一部でしかない。
人間はその情報の少なさを脳の力で補う。例えば「あの時はこうだったから今度もそうだろう」などと過去の記憶を頼りにしたりする。しかしそれが往々にして「思い込み」などの間違いを引き起こす。
しかし一方で、そういう脳の力を借りずに少ない情報だけで正解を求めようとすると、あれこれ考えている間に外敵に喰われてしまうかもしれない。つまり「記憶」や「知識」は、いちいち最初から考えなくとも効率的に物事を判断するための力になる。
このように人間が得られるデータは限られていて、世界を不完全にしか把握できない。だから脳は観察を事前知識と組み合わせることで、正解を知ろうとする。しかし人間の脳はコンピュータと違って、データ量も、計算力も限界がある。それを解決するために、脳はさまざまな戦略を持っている。「バイアス」もそのひとつだ。このように人間の「賢さ」と「愚かさ」の本質をこの本は追求している。
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