2026年8月29日土曜日

「敗北を抱きしめて」(続きの続き)

 Embracing Defeat

第二次世界大戦後の日本人を描いた「敗北を抱きしめて」は、下巻の最後のページでこんな漫画を取り上げている。アメリカの占領が終わりに近づいた頃の加藤悦郎の漫画だ。

「占領」という檻から日本人が釈放され、「安保条約」と書かれた別の檻に入れられようとしている。その檻の鍵はアメリカ軍兵士が握っている。

この頃になると東西冷戦が激しくなり、朝鮮戦争も起きた。アメリカは、日本に再軍備を命令して、警察予備隊(自衛隊の前身)が生まれた。そして日本全土にアメリカ軍基地を張り巡らせた。「日本の非軍事化と民主主義化」という占領初期のアメリカの政策は逆転してしまった。この漫画はそんな日本の哀しい状況を描いている。

右は同じ加藤悦郎が戦後すぐに描いた漫画で、アメリカの占領軍が日本を軍国主義から救った解放軍として描いていた。このような「平和」と「民主主義」の理想を追求していた日本人の夢は同じアメリカによって打ち砕かれた。

その問題は 80年たった今も、憲法改正問題などのように未解決のまま続いている。同書の最後で著者はこう言っている。『日本の敗北とアメリカの占領は多くの遺産を残したが、同時に大きな問題を残した。しかしその問題はまだ何ひとつ決着をみていない。日本がどこに着陸するのか誰にもわからない。』


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