2026年9月26日土曜日

池田学の「メルトダウン」

IKEDA Manabu 「Meltdown」

池田学が東日本大震災の津波をテーマに描いた「再生」について前回書いた。池田は同じ頃、福島原発のメルトダウンをテーマにした「Meltdown」を発表している。この絵も自然の強大な力によって破壊されつつある人間の文明の危うさを描いている。アポカリプス的世界観は池田の全作品に共通している。

「Meltdown」は宙に浮いた巨大な岩のかたまりが、坂の途中に不安定に止まっている。その岩の上に人間の文明が築かれている。そこには工場があり、人間の居住区もある。それらは岩にこびりついたフジツボのようだ。

全体図。壮大な構成だが、この絵もペンだけで細部を細密に描いでいる。

右上の部分拡大。天空に浮いた巨大な原発の工場。

左下の部分拡大。岩にしがみついたような人間の住宅が見える。


この絵はブリューゲルの「バベルの塔」を思い出させる。巨大な絵だが、細部には塔を建設している労働者たちが細密に描かれている。天まで届く塔を作ろうとした人間の傲慢さが神の怒りをかい、塔は未完に終わるという聖書の物語を描いた絵だ。

池田学の原発の事故をテーマにした「Meltdown」も、原発というヒューマンスケールを超えた神をも恐れぬ技術が、神ならぬ津波という自然の怒りをかって罰を受けたという寓意が込められているにちがいない。


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