Brutalist
去年のアカデミー賞を受賞したが、劇場での公開があっという間に終わってしまったため、見逃していた「ブルータリスト」が NETFLIX で始まり、やっと見ることができた。ハンガリーのユダヤ人建築家が、ホロコーストを逃れて、アメリカへ亡命する。建築や家具のデザインをするが、そのアメリカンドリームの成功と挫折を描いている。戦後、コンクリート打ちっぱなしの無骨なデザインの「ブルータニズム」の建築が流行ったが、そういう建築家は「ブルータリスト」と呼ばれた。主人公もその一人で、題名はそこからきている。
主人公は実在した人物ではなく、特定のモデルはいない。しかし、戦前にバウハウスで建築を教えていたユダヤ人で、アメリカへ亡命したマルセル・ブロイヤーがモデルに近いのではないかと思う。登場する作品は架空のものだが、バウハウスのデザイン思想に沿っている。たとえば、主人公が読書用椅子のデザインをするが、マルセル・ブロイヤーが始めたパイプ家具の考え方を踏襲している。映画の最後に主人公の設計した教会が出てくる。これも実際にはない架空の建物だが、礼拝堂のデザインがコンクリート打ちっぱなしの飾り気のない、まさに「ブルータリズム」の建築だ。人間を圧迫するように取り囲んでいるのは強制収容所の壁であり、天窓から差し込む光は、救いを求めて祈る神の存在を象徴している。
この光の十字架は、同じくブルータリストの安藤忠雄の教会(大阪府茨木市のキリスト教会)のデザインを思わせるが、監督は、安藤忠雄からインスピレーションを受けたと言っている。
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