2026年9月16日水曜日

「世界をまどわせた地図」

The Phantom Atlas

「世界をまどわせた地図」という本が面白い。古い時代の、現実とはかけ離れたとんでもない地図を収録している。

伝説に伝えられている島を探そうと航海に出かけた冒険者たちが、そんなものは見つからなかったにもかかわらず、それを発見したと言って、その詳細な地図を作った。ペテン師たちの、功名心や金儲けのための嘘の地図だった。

しかし世界に関する正しい情報が少ない時代に、それらの地図は何世紀にもわたって受け継がれて、そこに描かれた世界が真実だと信じられ続けてきた。


日本の地図も出てくる。ヨーロッパで初めて出版された日本の地図で、オルテリウスという人の「世界の舞台」(1595年)に収録されたもの。日本の地理のイメージを作るのに貢献した地図だった。日本と交易をしていたポルトガル人が日本人から正確な情報を得ていたので、比較的正しく日本が描かれている。

それに対して朝鮮半島はニンジンのような形の島になっている。島の南端は「泥棒たちの岬」と表記されている。この海域には海賊が暗躍しているという当時の噂を反映していた。


上の地図からしばらく後の、ヨハネス・ヤンソンという人の「日本最新精密地図」(1658年)の日本地図。上の地図では無かった北海道が描かれていて「蝦夷島」と表記されている。しかしその形は千島列島と一緒になったような奇妙な形だ。

面白いのはその「蝦夷島」の右に巨大な島が描かれている。(左半分だけが見える)その島は「カンパニーズ島」と名付けられている。ある貿易船の船長が、日本の北で島を目撃したという証言したのがそのまま地図に載ってしまった。

その島には、金と銀が豊富にあるという噂が生まれ、日本の東のどこかにあるという幻の島を見つけようとする冒険家がたくさん現れた。しかしそんな島は見つからず、それが嘘だと証明されたのはなんと18世紀になってからだったという。100年以上も「世界をまどわせた地図」だった。


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