2026年9月23日水曜日

フェルメールの「地理学者」と日本

 Vermeer "Geographer"

15年ほど前にあった「フェルメール『地理学者』とオランダ・フランドル絵画展」の図録で、フェルメールの『地理学者』について詳細な解説がされている。

17 世紀のオランダは世界貿易で栄えた商業の中心地だったが、その影響で、地図作りが盛んに行われた。フェルメールの『地理学者』も地図を作っている地理学者を描いている。科学的に正確な地図を作っていることが、手に持ったデバイダーからわかる。

地図に対する市民の関心も高く、フェルメールの絵には、室内に地図が飾られていることが多い。地図は実用品と同時に、装飾品でもあった。

『地理学者』にも背後の壁に地図が飾られている。左半分しか見えていないが、この地図の実物が現在も残っているという。それが右の地図で確かに同じもののようだ。上が西になっているのでわかりにくいが、ヨーロッパを中心にした大西洋の海図だ。

この地図を作ったのは、オランダのファルクという当時世界最大の地図・地球儀の制作者だったという。

ファルクの作った世界地図は、江戸時代に日本にも伝わっていたそうだ。これがファルクの「アジア図」(神戸市私立博物館蔵)だが、北海道が奇妙な形になっている。

この地図は影響が大きく、日本でもこれをもとに地図が作られた。「世界4大洲図」は、4大陸の地図だが、下はそのうちのアフリカ大陸とアジア大陸の図。各地の風俗が描かれているが、地図そのものはファルクとまったく同じだ。日本の北海道が変なのを含めて同じように描かれている。

なおフェルメールの絵で、棚の上に乗っている地球儀もファルクの制作によるものだが、同じものが江戸時代に入っていて、今も現存している(松浦資料博物館蔵)そうだ。



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