「Apocalypse Now」
「黙示録---イメージの源泉」という本が出た。聖書の「黙示録」をイメージの源泉にした、古代から現代までの芸術作品を取り上げている。「黙示録」がいかに芸術の歴史に大きな影響を与えてきたかを知ることができる。また「黙示録」がいかに人間の想像力を掻き立てる源になってきたがわかる。この本は絵画だけでなく、映画についても取り上げている。その一つがコッポラ監督の名作「地獄の黙示録」で、題名通りズバリ「黙示録」をテーマにしている。自分が見たのはずいぶん前だが、おどろおどろしく、狂気じみたイメージに溢れていて、強烈な印象が残っている。
映画は、ベトナム戦争を題材にしている。ストーリーはこんな感じだ。米軍の大佐が、軍から離脱して、ジャングルの奥深くに立てこもり、原住民たちを従えた王国を作り、その王になっている。大佐は原住民から崇められる神のような存在だ。いっぽう特殊部隊の大尉が、大佐の暗殺を軍から命じられ、川を下ってジャングルのなかの大佐の王国へたどり着く。そして二人は対決する。映画は、戦闘、転がる死体、轟音と死臭、拷問、生贄の儀式、などの地獄のようなシーンが続く。黙示録のテーマとイメージに溢れたこの映画について、同書の著者 岡田温司氏はこう解説している。黙示録のテーマは、世界の「終末」と、その「再生」だが、この映画は、「終末」をもたらしている大佐と、世界の「再生」を目指している大尉との対決とらえることができるとしている。大佐は「偶像を崇めている邪教徒の巣に君臨する悪魔」というアンチキリストであり、大尉は大佐を殺して、救世主としての新たなキリストになろうとしている。
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