Perspective of Reflection
モネの画集を見ていると、水辺の絵が多いこと気づく。そして、そこでの水面反射の描写がモネの魅力になっている。例えばこの絵は、画面を上下ピッタリ2分の1に分けて、上半分が森の木々で、下半分を木々の水面反射を描いている。早朝の波のない静かな川なので、鏡面反射して、完璧に上下反転している。こういう構図は珍しいが、モネが描きかったのは森そのものよりもむしろ川の反射の方だったことがわかる。
遠近法の解説書で、反射の遠近法について、こんな原理図が必ず出てくる。鏡の上に直方体があり、上下反転した直方体の像が鏡に映っている。そして直方体そのものと反射像は共通の消失点に収束する。いまさらの常識だが、モネの絵はそのとうりになっている。
モネの絵は森が水面と接しているから、原理図のとうりで簡単だが、下のワイエスのような例では難しくなる。建物が斜面の上にあり、水面と接しておらず、建物と反射像の間に地面が挟まっている。だから単純に上下反転できない。
このような場合、遠近法の解説書ではこんな図をあげている。左図はインク瓶が鏡の上に直接置いてある。右図ではインク瓶を持ち上げて鏡から離している。右図の場合、仮想の鏡面(点線)を想定して、それに対して上下反転して描かなければならない。
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