2025年12月16日火曜日

終末の絵画 5選

Apocalyptic painting

前々回、終末の映画を紹介したが、今回は映画ではなく、終末の絵画を紹介。「終末論」は西洋文化の根幹をなす思想だから、美術の分野でも無数といっていいほどたくさんの終末絵画の名作が ある。多くは、大洪水や大地震などの天変地異と、のたうちまわる人間を描いている。それらの中から個人的に好きなものを 5 つだけ選んだ。


モンス・デジデリオ 「トロイアの炎上」 

モンス・デジデリオは、17 世紀のイタリアの画家で、古代都市が崩壊し廃墟になる瞬間を描いた。この絵は、古代ギリシャがトロイア王国と戦争をして滅ぼしたという神話をもとにしている。街が炎上して、人々が逃げまどっている光景を生々しく描いている。



ファブリツィオ・クレリチ 「ローマの眠り」

20 世紀のイタリアの画家で、さまざまな廃墟の絵で「没落」のビジョンを描いた。この絵は、廃墟となった古代ローマの邸宅の室内を描いている。かつて栄華を誇ったローマ文明が没落して、人間のいなくなった無人の室内だ。



ジョン・マーチン 「神の大いなる怒りの日」

19 世紀イギリスのジョン・マーチンは、さまざまな終末の絵を描いた。この絵は「大地震が起きて、山も島も無くなる」という聖書の黙示録の物語を劇的に描いている。巨大な岩が転げ落ちていて、画面下の方に恐怖に怯えている人間が描かれている。世界の終焉のビジョンだ。



ウィリアム・ブレイク 「巨大な赤い龍と太陽の衣をまとった女」

ウィリアム・ブレイクは19 世紀イギリスの幻想画家悪魔(サタン)である巨大な赤い龍が、女が産んだ子を食う、という「ヨハネの黙示録」の物語を絵にしている。グロテスクな妖怪の足元に女性が横たわっていて、妖怪は子供が生まれるのを待っている。



ズジスワフ・ベクシンスキー 

ベクシンスキーは「終焉の画家」と呼ばれるポーランドの現代画家。「死」や「絶望」や「終焉」といったテーマで、不気味で幻想的な絵を描いた。若い頃の残虐な戦争の経験が影響しているという。これは、はり付けになった人間が骸骨になって朽ちている残酷な絵だ。




0 件のコメント:

コメントを投稿