2026年4月8日水曜日

ベルギーの幻想絵画

Fantastic Art in Belgium 

先日書いたルーベンスもクノップフもベルギーの画家だった。2017 年に渋谷 Bunkamura のザ・ミュージアムで行われた「ベルギー奇想の系譜」展の図録を改めて眺めているが、この展覧会で、ベルギー絵画の歴史の全体像を見ることができた。15 世紀のヒエロニムス・ボス、ブリューゲル、ルーベンス、などから、20 世紀のクノップフ、ジェームス・アンソール、ポール・デルヴォー、ルネ・マグリット、までそうそうたる巨匠の作品が並んでいた。誰もが知っている名前だが、多くの人は、彼らがいずれもベルギーの画家だということをあまり意識していないと思う。同展からいくつかを紹介。


ヒエロニムス・ボス 「トゥルグダルスの幻視」(1500)
ある騎士が化死状態になった時に見た夢を描いている。天使によって魂が地獄に導かれ、そこで目にした恐ろしい懲罰の数々が描かれている。怪物に襲われる人間や、地獄の炎につつまれた街などが見える。



ジャームズ・アンソール 「オルガンに向かうアンソール」(1933)
アンソールは、人間の内面に潜む虚栄や偽善や憎悪の感情を、グロテスクな表情の群像をモチーフにして描いた。明るい色彩に、皮肉やユーモアが込められている。



ポール・デルヴォー 「海は近い」(1965)
ギリシャ・ローマ風建築と、電柱やガス灯などの現代的な時物が組み合わされた街が描かれている。そこにギリシャ風の衣装を着た女性が夢想にふけっている。ポール・デルヴォーは一貫してこのような、非現実的で神秘的な夢幻の世界を描いた。



ルネ・マグリット 「大家族」(1963)
日常的なモチーフをあり得ない組み合わせで描いて、新しい視覚体験をさせるマグリットだが、最も有名なこの作品では、空、海、鳥を題材にしている。



以上の例からわかるように、ベルギー絵画は現代に至るまで一貫して、眼に見えないものや、見たこともないものを豊かな想像力で描いてきた。幻想(ファンタジー)の絵画で、同展のタイトルが「ベルギー 奇想の系譜」となっているのはそのためだ。

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