2026年4月16日木曜日

「最後の晩餐」の遠近法

Perspective in "Last Supper"

「最後の晩餐」といえば、レオナルド・ダ・ヴィンチが有名だが、他にも「最後の晩餐」はたくさんある。下の3つは、14 世紀、15 世紀、16世紀、の各時代の「最後の晩餐」で、それらを遠近法の発達という観点から比較してみると面白い。


ドゥッチオ「最後の晩餐」(1310頃)

遠近法が確立する以前の14 世紀の「最後の晩餐」では、天井は線遠近法になっている。ところがテーブルの左右の線は、平行に右肩あがりで、斜投象図になっている。つまり天井とテーブルはまったく無関係に描かれている。



レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」(1495頃)

ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」はもちろんすべてが正確な遠近法で描かれている。キリストが画面中央にいて、それに真正面から正対している。そして他の人物は横一列に描かれている。画面に対して平行に置かれた対象を正対して見る一点透視図法で、整然とした調和的な絵になっている。



ティントレット最後の晩餐」(1560頃)

16世紀のティントレットの「最後の晩餐」も正確な線遠近法で描かれている。天井、床、テーブルなど全てが画面左端のキリストの頭にある消失点に集まっている。しかしダ・ヴィンチと違うのは、画面の奥行きが強調されていることで、テーブルは画面に対して斜めに置かれている。また床の市松模様は、奥へ行くほど縮小していくから、遠近法空間を強調するのに役立っている。人物もキリストがいちばん奥に小さく描かれていて、手前の使徒が大きいのも奥行き感を強調している。さらにいちばん手前には晩餐と関係ない人物や犬が描かれている。ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」が、キリストを中心とした整然とした遠近法に対して、こちらはもっとダイナミックで、演劇の一場面を見るような劇的な絵になっている。


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