「Black Rain」
映画「ブラックレイン」は、リドリー・スコット監督の作品で、ストーリーや映像が、名作「ブレードランナー」と共通するフィルム・ノワール的な雰囲気の映画だ。ニューヨーク市警の刑事ニック(マイケル・ダグラス)が、殺人を犯した日本人ヤクザの佐藤という男(松田優作)を日本へ送り返す護送のために日本へやってくる。しかし大阪空港でまんまと犯人を取り逃してしまう。そして大阪府警の松本刑事(高倉健)と協力して佐藤の再逮捕に乗り出す。こうして二人が、犯人佐藤を追い詰めてゆくまでをスリリングなアクションで描いてゆく・・・
撮影のほとんどは、大阪の道頓堀あたりの夜の繁華街でロケしている。けばけばしい看板(あのグリコの巨大看板も出てくる)が頻繁に登場する。「ブレードランナー」に日本人の屋台の寿司屋が出てきたが、あれと同じ猥雑な街のイメージだ。リドリー・スコット監督は事前に何度も日本に来てロケハンをしたが、当初東京だった予定を大阪に変更したという。猥雑な街のイメージを表現するには大阪がピッタリだった。なかでも重要な舞台になっているのが、「キリンプラザ大阪」だ。機能のない、がらんどうの行灯のような4本のガラスの塔が宙に浮かんでいる。外観だけでなく、内部のインテリアを繰り返し丁寧に撮っている。表向きは近代的だが、うわべの装飾だけの空虚な建築だ。だからリドリー・スコット監督は、このビルが映画の世界観を表現するのにピッタリだと考えたのだろう。
このビルの設計は、建築家の高松伸だ。高松自身もWEB サイトで、大阪という立地の特性を生かした大阪のアイコンになるデザインにしたと言っている。確かにこのビルは、周囲の巨大広告に溶け込んでいて、これ自体もひとつの巨大広告になっている。1987 年に竣工したこのビルは、2008 年に、わずか 20 年で解体されてしまった。商業ビルとしての経済的な採算が取れなかったからだという。(写真は高松神設計事務所の WEB サイトより)
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