M. C. Escher "Drawing Hands"
「だまし絵」の名作として知られるエッシャーの「描く手」のトリックを「エッシャー完全解読」(近藤滋)が明かしている。
画用紙から二つの手が立体化し、互いに相手を描く様子が描かれている。この絵の面白さは、「描くもの→描かれるもの」という階層性がなくなり、循環が生まれている点だ。このアイデアの元になっているのは、「ウロボロス」と呼ばれる二匹の蛇がお互いの尾を食い合う図だという。「ずっと食べ続けると二匹ともいなくなってしまうのか?」と想像させる面白さがある。
エッシャーはこのモチーフを「食い合う蛇」から「描き合う手」に変換した。そのことで、「二次元の絵が立体化する」というだまし絵のトリックになる。
・・・ここまではすぐに分かることだが、同書はさらに深い謎解きをしている。これが「紙に描いている」絵であることが重要で、エッシャーはそのことをやたらと強調している。なぜなのかをここでは詳しく紹介しきれないので、関心があれば同書を読んでほしい。
ヒントとして、同書からの図をあげておく。紙が斜めに画鋲で止められていること、紙の周囲が周囲が少しめくれていること、画鋲で引っ張られて中央の対角線上に斜めのしわができていること、などこれらすべてが「紙に描いている」絵であることを強調している証拠だという。
0 件のコメント:
コメントを投稿