Photo-Realism
「アメリカン・リアリズムの系譜」という本の表紙が、銀座の風景の絵だったので、作者を調べたら、ヤマガミ ユキヒロという日本人だった。超精密描写のフォト・リアリズム絵画だが、こんな作家がいるとは知らなかった。この表紙絵には、面白い試みがされている。表紙の絵は、白黒の絵で、人も車もいない無人の銀座風景が写実的に描かれている。一方で、本のカバーは透明フィルムのシートで、そこには同じ場所で撮ったカラー写真が印刷されている。写真には人間や車が写っている。この二つが重なると、生き生きとしたリアルな銀座の風景が現れる。人間が半透明であるため、それが写真のブレであるように見えて、実際に歩いているように見える。
この絵の、2枚の画像を重ねるという手法は、画像処理ソフトの Photoshop の「レイヤー」の概念と同じだ。絵画であるが、写真の画像処理と同じことをやっている。
「フォト・リアリズム」は、超写実主義の絵画で、日常的な風景をあえて感情を混えず、没個性的に描く。しかしそれは、写真をそのまま再現することではなく、写真を素材にして、写真とは違った「リアル」を創り出すことだといわれる。17 世紀にすでに、フェルメールが「カメラ・オブスクラ」を使って超写実絵画を描いたが、「フォト・リアリズム」はその現代版とも言えるかもしれない。
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