「The Truman Show」
主人公のトゥルーマンは、ある離島の街に暮らしている。彼は保険会社のセールスマンとして平凡だが平和な毎日を過ごしている。ところが彼は孤児で、生まれた時からテレビ局のプロデューサーの養子になったのだが、大きくなっても本人はそのことを知らない。
そのプロデューサーは、トゥルーマンを主人公にした「トゥルーマン・ショウ」という TV のリアリティ番組を制作している。トゥルーマンの生活を隠しカメラで毎日 24 時間撮り続けていて、そのライブ映像がそのまま TV で放映されている。それは人気番組で、主人公の子供時代から現在までずっと続いている。
ところが、番組で登場する彼の妻も両親も友人も、すべてニセ者で、俳優が台本のセリフをそのまま喋っているだけなのだが、本人だけがそのことを知らない。しかも街全体が巨大なドームの中に作られたセットなのだ。主人公は作られた世界の中で、作られた生活を生きているあやつり人形のようなものだ。
やがて主人公は何かがおかしいことを感じ始める。そしてついに「真実」を求めて、ヨットに乗って島を出て行く。・・・はずだったが、ヨットは壁に突き当たる。海は本物そっくりに作られたセットで、空と雲はセットの壁に描かれた絵だった。
そこで彼は最後の決断をするのが映画のラストシーンだ・・・
この映画に関して、小林剛という大学教授が面白いことを書いている。授業でこの映画を見せてから学生に質問をするというのだ。それは「皆さんがもしトゥルーマンだったとしたら、島を出て行きますか? それとも島に留まりますか?」という質問だ。すると圧倒的多数の学生が「島に留まる」と答えるという。その理由を聞くと、本当の「現実」は悲惨で過酷なことが多いので、それならばたとえ作られた嘘の世界であるとわかっていても、それが平和で快適なものであれば、現状の世界に留まっていたいというのだ。
この結果は驚きだが、現在は TV 以上に仮想世界を作り上げているネットメディアの現実を見ていると、そのことがなるほどと思えてくる。朝から晩までスマホをいじって、ネット空間の中にどっぷり浸かっている人たちは、ネット空間こそが「真実」の世界だと信じている。だからトゥルーマンのように、本当の「真実」を求ようとは思わないし、仮に思ったとしても、それもまたネットで検索するだけだ。トゥルーマンが脱出したつもりでも島から抜け出せなかったのと同じだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿