Norman Rockwell
「アメリカン・リアリズム」の絵画は、日本では、アンドリュー・ワイエス以外は、ほとんど関心を持たれていない。しかしアメリカ人は大好きだ。だからイラストレーションでも、「アメリカン・リアリズム」の流れを汲んだイラストレーションの人気が高い。
自らもアメリカでイラストレーターとして活躍していた津神久三氏が、アメリカのイラストレーション事情について書いているが、「徹頭徹尾の写実で、省略なんてとんでもない。描写は微に入り細にわたり、人物を描けば、シャツのボタンからカフスまで描いていないとアメリカ人は絵を見た気にならない。」という。(「黄金期のアメリカン・イラストレーター」)
同書で、最も人気のあるイラストレーターとして「ノーマン・ロックウェル」を取り上げている。(この人だけは日本でも人気がある) その特徴は、自然主義的な精密描写と、画面構成にある「物語性」の二つだという。「物語性」とは、描かれている人物がどういう人で、どういう状況で、何をしていているのか、などが言葉で説明されなくても、絵を見るだけですぐ分かることだ。同書はこれについて、「抽象的な思考を苦手とし、絵画からストーリーを読みたがるアメリカ人の好みに合致している。」と説明している。
ロックウェルの有名な代表作を見ると、そのことがよくわかる。それぞれがどんな「物語」の絵なのか、見た人は、細部までいくらでも語ることができる。そしてどれもロックウェルの、人々に対する暖かい眼差しが伝わってくる。例えば・・・
「婚姻届」 新婚さんが婚姻届を出しに来た役場の風景。初々しい新婦さんが背伸びして一生懸命サインをしている姿がかわいい・・・
「食前の祈り」 レストランで若者たちの隣席になった母子。くわえタバコの若者などがいるがさつな大衆食堂で、母子だけが食前のお祈りをしている・・・
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