Manet 「Un bar aux Folie Bergère」
去年(2 0 1 9 年)の「コートールド美術館展」で、マネの「フォリー・ベルジェールのバー」が目玉作品だった。だがこれは何か奇妙な感じがする絵だ。原因はミラーの右端に映っている紳士で、現実空間ではどこにいるのか、それとも実際に存在しないマネのイメージなのか。
その疑問をある研究者が見事に解き明かした。コンピュータ解析でこの絵の空間関係を解明して平面図にした。絵は女性の真正面から描いたのではなく、マネは少し右側にいる。赤い線が絵の画角で、紳士はこの画角の外側にいる。これなら確かに絵のように見えるはずだ。また紳士はカウンター越しに女性の正面にいるが、実は女性を見ているのではなく、この図のように、やや左のほうへ視線を向けている。つまり紳士は女性に語りかけているのではなく、鏡に映った遠くを見ていて、その視線の先にあるのは、絵の左上にいる白い服の女性だという。
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