2020年10月9日金曜日

よい風景とは 「風景学入門」

 Landscape and painting

「風景学入門」という本で、「よい風景」とは「風景対象が視野のなかで見やすい位置と大きさであること」と言っている。

だから「絶景」の定番ビューポイントはそのような大きさに見えるような程よい距離に置かれている。富士山の場合、三保松原だが、山がひとまとまりの形として見えるような距離になっている。これ以上近いと、視線を山全体に集めることができなくなる。

人間が何かを注視する時の視角は、水平方向が約 2 0 度で、垂直方向が約 1 0 度だという。人間の視野角は 7 0 度くらいといわれているから、これは驚くほど狭いことになる。上の富士山もこの角度に入っている。これは腕をいっぱいに伸ばして、開いた掌を見た時の角度というから、その狭さがわかる。アイカメラによる実験で、そのことを検証している。(右図)

だから風景画で「よい風景」を描こうとすれば、風景がそのように見える場所を探さなければならない。いわゆる「ひき」がとれる場所だ。北斎と広重の「三保の松原」もそうなっている。といって見たとおり描いたのでは観光絵はがきになってしまう。「絵」にするために、どちらも絶景ビューポイントでない視点から描いた心像(イメージ)としての風景を描いている。



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