2020年10月3日土曜日

裏通りの魅力を描く K さんの水彩画

"Turn the corner" 

「街角を曲がる」(大山敏男)という本は、散歩の途中で角を曲がって裏通りを歩くことの魅力について書いている。車が行き交う大通りを散歩したいとはあまり思わない。広い道は視界が広く、先々まで見通せてしまうので、何があるのだろうかという期待感がわかない。だから角を曲がって、裏道、脇道、小道を通ってみたくなる。すると昭和の古い建物があったり、庶民の生活が息づいていたり、場合によっては謎めいた光景を見つけたりする。

そのような裏道の風景を描いた絵画を探してみたが、意外にない。遠くまで見通せるまっすぐな道を一点透視で描いたような絵が多い。しかし知人の水彩画家 K さんは、東京の古い下町の裏通りを専門に描いている。開発で消えてゆく懐かしい風景を絵にとどめておきたいと自身が言っている。絵も魅力的だが、場所の空気感が伝わってきて、実際に歩いてみたくなる。絵のタイトルがすべてその場所の住所になっているので、散歩ガイドにもなっている。
上から「中央区月島3丁目」「文京区湯島聖堂」「文京区本郷4丁目 鎧坂」 画像は「小林征治・水彩画集」より)




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