2020年10月27日火曜日

浮世絵の大胆な対角線構図

 Diagonal commposition in Ukiyo-e

浮世絵には、西洋絵画にない独創的かつ大胆な構図がいろいろある。その一つが、画面の対角線を横切る斜め線の構図。

北斎の「富嶽三十六景」の「遠江山中」は典型的で、角材がダイナミックに画面を横切っている。斜めの角材の下に富士山を置くことで、見上げるような角材の大きさを強調している。確かに上に乗っている人間と比べると巨大さがわかる。


「富嶽三十六景」の「常州牛堀」も船が画面の対角線になる構図。しかし船が陸に乗り上げて舳先が上を向いているように見えて、遠近法的にはおかしい。


広重の「東海道五十三次」の「庄野」は最高傑作だが、坂道の斜め線が動きのある画面を生んでいる。西洋絵画では、坂道は歩いている人の目でパースペクティブ的に描くが、浮世絵ではいつもこのように真横からのビューで描く。その分斜め線の構図が生まれやすい。


「東海道五十三次」の「庄野」では、人間の列が対角線の斜めになっている。複数の人間を描くとき、人間どうしの間に奥行きがないのも、上の坂道と同様で、浮世絵の特徴。



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