2014年6月26日木曜日

アメリカン • リアリズム(1)

アメリカで活動していた画家の津神久三によると、アメリカの本屋には、日本と違って、画集がたくさん並べられているそうだ。これはプレゼントに画集を贈る人が多いためだという。そのような画集で人気の高いのが、ノーマン • ロックウェル、フレデリック • レミントン、アンドリュー • ワイエス、エドワード • ホッパー、などだという。

これらの作家はすべてリアリズム絵画という点で共通している。イギリスの植民地だった時代にヨーロッパから入ってきた写実的絵画が移植された。それ以降、本家のヨーロッパ絵画のほうはどんどん変化していったのに、アメリカはずっと写実一筋で通してきた国だった。しかもその写実は、本家のヨーロッパより細密描写という点ではさらに徹底していた。ひたすら目前の自然を精密に写し取るという凄まじいまでの入念なリアリズムがアメリカの伝統になった。そしてアメリカ人は写実主義だけを愛する世界でもまれにみる国民だという。それが「アメリカン • リアリズム」だ。

第二次大戦後、アメリカでは、ポロック、ジャスパー • ジョーンズ、アンディ • ウォーホルなど、抽象絵画やポップアートなどのモダンアートで世界の先進国になった。とかくそれらがアメリカ絵画の本流であるように思われがちだが、実はリアリズム絵画の系譜がずっと続いてきて、主流はあくまでもこちらであり続けた。

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