Van Gogh's Bedroom
ゴッホは親友のゴーギャンとしばらく同居していたが、その頃、部屋の様子を描いたのが「アルルの寝室」だ。そしてゴッホは、同居を始める前にあらかじめゴーギャンに出した手紙にスケッチを添えて、部屋の感じを知らせている。
Van Gogh's Bedroom
ゴッホは親友のゴーギャンとしばらく同居していたが、その頃、部屋の様子を描いたのが「アルルの寝室」だ。そしてゴッホは、同居を始める前にあらかじめゴーギャンに出した手紙にスケッチを添えて、部屋の感じを知らせている。
perspective of cloud
近代的な意味での風景画が始まったのは、17 世紀のオランダだったが、その中で一番有名なのがロイスダールだ。地平線を画面の低い位置に置いて、画面の大部分が空になる構図にする。それによって広々とした空間の広大さを表現した。
この「漂白場のあるハーレムの風景」という有名な絵で、手前の漂白場(布などを漂白する場所?)の向こうに平坦な地面が地平線まで続いていて、地平線上に塔のある教会が小さく見えている。遠くまで見渡す距離感を感じさせるうえに、空が3分の2以上を占めていて、広大な空間を感じる。
空が広いということは、空の表情を描くために雲が重要になる。ロイスダールの時代は遠近法が確立した時代だから、雲も遠近法にもとづいて描いている。いちばん手前の雲は大きく、地平線に近い遠い雲は小さく描いている。
「Which is the oldest country in the world ?」
最近、ある新聞のコラム記事で面白いことが書いてあった。google のAI 検索で、「世界でいちばん古い国はどこ?」と聞いてみたら「それは日本です」と答えたという。古い国といえば、紀元前 3000 年もの古くから古代文明が栄えたエジプトやイランだろうと誰でも思っているから、これには「えっ?」と思ってしまう。
そこで自分でも google のAI モードで同じ質問をしてみたら、その通りの答えだった。その理由として「日本は紀元前 660 年に神武天皇が即位して以来、現在まで一度も王朝が変わらず、天皇の皇統が約 2700 年続いている世界最古の国です。」としている。
たしかに神話伝承としてはそうだが、実際にはヤマト王朝ができたのは、はるか後の古墳時代の6世紀だというのが常識だから、AI の答えは科学的でない。
もうひとつ面白いことがある。試しに同じ質問を英語でしてみた。「Which is the oldest country in the world ?」と聞いたら、日本語の時と違う答えをしてきた。「The oldest countries are Egypt and Iran」的な感じでエジプトやイランを真っ先にあげる。後の方では日本も出てくるが、「日本も王朝が今も続いている点では古い国と言える」と付け足しのような言い方をしている。AI は利用者の気に入るような答えをするとよく言われるが、それかもしれない。
この問題の要点は、「古い国」の定義が曖昧なことだ。人類初めての文明が始まった国ならエジプトやイランだろうし、文化や民族の継承性という点では日本だろうし、近代国家が最初に始まったという点ではヨーロッパの国々だろうし、「古い国」の定義によって答えが異なる。
ここからわかるのは、AI 検索を使うには、何のためにその検索をするのかという目的をはっきり持ったうえで、それに適した定義をした言葉を示さなければならないということだ。何も考えがないまま、漫然とAI 検索を使うと、かたよった答えを鵜吞みにして、分かったつもりになってしまう危険性がある。そのためには、「問題設定する力=問い生む力」という知力が必要になる。
Generation AI
「生成」という言葉から、「生成 AI 」は無から有を生み出すかのように錯覚をしがちだ。だから AI は人間にはできないことをやるんじゃないかという期待や懸念を持たれる。しかし実際には AI は、赤ん坊が大人から学んで賢くなっていくことに例えられるように、人間から学習したこと以上のことをできるわけではない。
そのことがわかるのが、最近欧米で起きている生成 AI による著作権侵害の訴訟だ。例えばドイツで AI が、いくつかの音楽をデータマイニングして自分のオリジナルであるかのようにしてチャットGPT に使った。それが著作権侵害に当たるとして Open AI の会社が訴えられ、敗訴した。(こちらを参照 ↓)
この生成AI 訴訟の流れはアメリカなど世界的に広がっている。そしてついに日本にも波及してきた。最近の報道で、新聞の記事データを無断で収集し、AI 検索に利用したのは著作権侵害だとして、日本の新聞社が「パープレキシティ」というアメリカの IT 企業を提訴したという。要するに、AI は自分で独自のコンテンツを生み出す「生成」ができるわけではなく、パクリをしているだけだということがやっと気付かれ始めたということだろう。
Long and healthy life
少し前のことだが「敬老の日」のあるTV 番組で、100 歳を超える長寿のおばあさんへのインタビューをやっていた。そのおばあさんは 顔の色つやがよく、話しもシャキシャキしていて、とても100 歳超には見えない。「健康の秘訣は何ですか?」と聞かれて「朝起きるとまず日本酒を飲むの。昼と夜も必ずお酒を飲むのよ。」と答えていた。思わず「えらい!」と拍手したくなった。
医者は高齢者に対して、あれを食べろ、これは食べるな、とナントカの一つ覚えのように決まり文句を言う。ましてや一日中酒を飲むなんてとんでもないと叱られる。しかし分かっている医者(数少ないが)は逆のことを言う。どうせもう先が短いのだから節制や我慢などせずに、好きなものだけを食べて、嫌いなものは食べないのが一番だと言う。まさにこのおばあさんはそのとうりをやっている。
Dementia & Reading
最近の研究によれば、「本を読む」ことが認知症の予防にもっとも効果的だという。ある研究グループの調査では、読書習慣の無い高齢者は、いつも本を読んでいる人に比べて、認知症の発症率が 2.5 倍も高いことがわかったという。
その研究によれば読書は、情報処理、理解、記憶、想像力、分析などの認知プロセスを担当する脳の領域を同時に使う。それによって脳細胞が刺激されて、脳の回路が強化される。認知症は、脳細胞が死滅することによって、認知機能が低下する病気だが、読書によって脳細胞が死滅するのを防ぎ、細胞を活性化し続ける効果があるというのだ。
なお、読書はしなくても、スマホを使っていれば読書と同じではないかというのは間違いだという。スマホは、簡単にひと通りの情報を読めば分かったつもりになれるお手軽な道具だから、読書のように能動的に頭を働かせる必要がない。だからスマホ依存でいると、思考力や理解力などの認知機能が低下し、かえって認知症を促進するという。
「The Turin Horse」
このあいだ、タル・ベーラ監督の「サタンタンゴ」について書いたが、同監督のもうひとつの映画「ニーチェの馬」も 2012 年のカンヌ映画祭でグランプリを受賞した名作だ。そして両方とも原作が、今年のノーベル文学賞を受賞したクラスナホルカイ・ラースローの小説による。