2020年11月26日木曜日

究極の ”ピクセル絵画” 「吉村芳生展」

 Yoshimura Yoshio


吉村芳生は色鉛筆で超細密画を描いた。ポスターの藤の花は7mを越す大作だがやはり色鉛筆しか使っていない。その大きさに対して花びらは1cmくらいだから、小さいドットの集まりに見える。「ピクセル化した絵画」をさらに徹底したのが、「ジーンズ」で、8 0 号の大作だが、2mm 角くらいの微細なピクセルで埋め尽くされている。ただし小さすぎてピクセルには感じず、普通の細密描写のように見える。

工程はこんな感じ。まずジーンズの白黒写真を絵のサイズと同じ大きさに拡大する。その上に縦横線を引いて細かいグリッドを作る。各マス目ごとに色の明度によって0から9までの10段階の数字を記入する。ついで紙にも同じグリッドのマス目を作り、マス目の中に写真に記入した数字の本数の黒線を引いていく。少ない本数は明るくなり、多い本数は暗くなるから、写真と同じ明暗が再現されていく。

「ピクセル」は画面を細かい正方形に分割し、各マス目ごとに色を割り振って埋めていくことで画像を作るものだが、全く同じことを手でやっている。人間の感覚を介入させるところがひとつもない、ディジタルなプロセスだ。

「吉村芳生展」 横浜そごう美術館 〜12 / 6 


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