2020年11月18日水曜日

「デジタル化」する絵画 筆触分割、 点描画、記号化

 Digitalization of painting   "Broken Brush Strokes"  "Pointillism"  "Symbolization"

筆の痕跡を残さないように、滑らかに塗りこめるのが良い絵画だったが、その伝統とは異なる絵画表現を試みたのがモネだった。細かい線や点で画面を分節化する「筆触分割」と呼ばれる方法だ。これによって、形が無く、動きながら刻々と変化する「水」や「大気」のきらめきを捉えることができるようになった。


スーラがそれをさらに極限化して、水や大気だけでなく固体までも全てを細かい「点」だけで描く点描画を始めた。代表作の「グランド・ジャット島の日曜日の午後」は2m ×3m の大作だが、全体を微細な点で埋め尽くしている。デジタル技術では、画面を小さな区画に細分化して、そこに色のドットである「ピクセル」を並べることで画像を作る。例えば 1 0 0 インチの高精細プラズマディスプレーでは、2 0 0 万個のピクセルによって画像が構成されているが、スーラの絵はそれに匹敵する高精細画像だという。(「絵画の進化論」より)


モンドリアンの「コンポジション No,10 埠頭と大洋」は、海の絵だが、水面のきらめきを短い縦線と横線だけで描いている。波のない平らな海面の白と、きらめく波の短い黒線とで構成している。中間調のない「0」と「1」のデジタル画像だ。線はプラス記号であったり、マイナス記号であったりして、海の表情を「記号化」してしまった。記号化によって、絵画は「非自然化」し「抽象化」していった。



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