2023年12月3日日曜日

映画「ナポレオン」と、ダヴィッドの絵画「ナポレオンの戴冠式」

 「Napoleon」

リドリー・スコット監督の最新作「ナポレオン」が公開されたので、さっそく観た。普通に知られているのとは違う独自のナポレオン像を描いていて、さすがリドリー・スコットだ。権力欲のかたまりで、戦争屋のナポレオンだが、個人生活では、死ぬまで奥さんの皇后(ジョセフィーヌ)を心から愛していた極めて人間的な人として描いている。

ナポレオンの戴冠式の場面が出てくるが、おおっ!と思った。ダヴィッドの有名な絵「ナポレオンの戴冠式」(下図)そのままの場面が出てくる。この絵は、大司教から冠を乗せてもらうべきなのに、それを無視して、自分で頭に載せてしまい、ひざまづいている皇后にもナポレオンが自ら冠を載せる、という瞬間を描いている。映画はこの絵をそのまま忠実に再現している。衣装などはもちろん画面の構図までまったく同じになっている。最高権力を手に入れたナポレオンの専横ぶりと、妻を愛する気持ちの両方をこの絵を使って表現している。


現在、ルーブル美術館にあるこの絵は、長さが 10 m くらいある巨大な絵で、人物はほぼ等身大で描かれている。宮廷の首席画家だったダヴィッドのこの絵を見て、その臨場感にナポレオンは喜んだという。この絵は事実どうりに描いた記録写真のようなもので、映画はこの絵を利用することで、リアルなナポレオンの人間像を描いている。 


0 件のコメント:

コメントを投稿