2023年12月28日木曜日

映画「十戒」

 「The Ten Commandment」

最近の世界情勢を見ていると、古い映画だが「十戒」(1956 年)を思い出す。旧約聖書の「出エジプト記」に記されている物語をそのまま映画化した作品だった。エジプトで奴隷労働をさせられていたイスラエル人が自由を求めてエジプトを脱出する物語だ。モーセが、流浪の民イスラエル人に定住の土地として「約束の地」カナンを与える、という神のお告げを聴く。このカナンが現在のイスラエルの領土に当たる。モーセはイスラエル人を引き連れてイスラエルへ向かう。途中様々な苦難に会うが、海に来るとモーセは、海を二つに裂いて人々を渡らせる。それが映画「十戒」の有名なシーンだ。


現代のイスラエルは、先住のパレスチナ人を追い出して領土を広げている。イスラエルにとって、今回の戦争は聖書物語の続きに過ぎないのだろう。イスラエルがパレスチナ人を無差別に殺しても、自分たちは神がくれた「約束の地」を守ろうとしているだけで、何も悪いことはしていない、と考えるイスラエル人が多いという。

カナダ人の聖書学者アデル・ラインハルツという人は、「ハリウッド映画と聖書」という本の中で言っている。「映画は聖書を使いながら、様々な時と場所の中に時代の関心や恐れ、希望を投影してきた。例えば旧約聖書を映画化した「十戒」は、東西冷戦下のアメリカを古代イスラエルに結びつけ、圧政からの解放者、自由の覇者という国家観を暗示した。」

70 年も前の映画で、東西冷戦もとっくに終わっているが、今のイスラエルと、それを支援するアメリカについても同じことがそのまま当てはまるような指摘だ。

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