2019年8月3日土曜日

エゴン・シーレとヒトラー

Egon Schiele & Hitler

「ウィーン・モダン  クリムト・シーレ  世紀末への道」展(国立新美術館  ~ 8 / 5 )がまもなく終わるが、いちばん印象的だったのはエゴン・シーレだった。苦痛で歪んだような顔の人物はシーレ自身の内面の表現だが、強烈にデフォルメされた絵の裏に確実なデッサン力をはっきり感じることができる。実際、見事な素描が多数が展示されていた。

今年初めに公開された映画「エゴン・シーレ  死と乙女」で、モデルに無理な姿勢のポーズをさせ、狂ったようにクロッキーをしていく様子が描かれていた。そういう素描がベースになってシーレの傑作が生まれたことがよくわかる。

池内紀著「ヒトラーの時代」という本に面白い話が出てくる。エゴン・シーレはウィーン美術学校を1906 年に受験して一発合格する。その翌年、一才年下のアドルフ・ヒトラーが同じウィーン美術学校を受験するが不合格になり、一浪した翌年も不合格になる。ヒトラーは古い建物を描いた風景画が得意だったが、人物デッサンはまったく下手で、提出した課題デッサンで不合格になった。

同じ美術学校を目指したエゴン・シーレが狂気の画家になり、ヒトラーが狂気の政治家になった分かれ道が人物デッサン力の差だったというのが面白い。

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