「富嶽三十六景」と「富嶽百景」の全 148 点を制作順に並べている。ただし、デジタル・リマスタリングした複製。大きさを原画より拡大した上、マット入りの額装をしている。浮世絵としてではなく、洋画を見る目で見てもらおうという意図のようだ。確かに見え方が違ってくる。(横浜そごう美術館、~ 9 / 1 )
だからなおさら遠近法に目がいく。近景と遠景のパースペクティブが一致していない絵が多い。これなど見た瞬間ギョッとするくらいだ。西洋の遠近法は、ただ一つの視点から全体を統一的に見る方法だが、鳥居と景色はバラバラに見たものをつなぎ合わせている。
むしろ北斎は、線遠近法よりも、近景と遠景の大小差による遠近法が得意だったようだ。それは「近像型構図」と呼ばれる。この場合も屋根と富士山の大きさの差で遠近感を表している。そして二つを三角形の相似形にすることで、いっそう強調しているのが絶妙。
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