Guggenheim Museum Bilbao
今、多くの自治体が「町おこし」を必死でやっている。国も「地方創成」という掛け声で後押ししている。しかし「◯〇〇の日」などという記念日を定めて何かのイベントをやったりするだけでは何の効果もない。
町も企業と同じく、生き残るためには、ブランド価値を高めなければならない。それには「文化」という武器を使うべきだと言っているのがネイトー・トンプソンというジャーナリストで、著書の「文化戦争」(原題は「Culture as Weapon」で「武器としての文化」の意味)で、その成功事例をあげている。
そのひとつがスペインの「ビルバオ」という町だ。さびれた港町だったビルバオを再生し、観光地に生まれ変わらせるという戦略から、なんとあのニューヨークのグッケンハイム美術館を誘致して、その分館を作ってしまった。現代美術の殿堂のグッケンハイムの作品を見られるというので大人気になる。建築の指名コンペに勝ったフランク・ゲーリーの超現代的建築もそれ自体が美術館のコンテンツになっている。小さなビルバオの町が世界中の注目を浴び、集客数や観光収入が激増する。まさに美術という「文化」を武器にして町を甦らせた。日本でこのような例がないか考えてみると、そのひとつは「旭川」かもしれない。「旭山動物園」が、動物の自然な生態を見せる「行動展示」という画期的な展示方法で人気を博し、上野動物園に迫る入場者数になり、北海道の重要な観光スポットになった。単に動物を飼う入れ物としての動物園ではなく、動物を文化的な「コンテンツ」と捉え、それを提供するのが動物園だと考えたのが成功した理由だろう。
同じ北海道の「夕張」と比べるとそのことがよくわかる。炭鉱が閉鎖されて衰退した町が町おこしのために、立派な「市民ホール」を作った。しかしそれはよく言われる「箱モノ」というただの入れ物で「コンテンツ」が何もない。何の役にも立たない建物の借金負担で町は財政破綻してしまい、今では人口が激減してしまった。
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