2025年7月12日土曜日

映画「わが谷は緑なりき」

How Green Was My Valley

昔、イギリスのウェールズ地方を訪れたことがある。ロンドンから西へ電車で2時間くらい行くと、ウェールズの首都カーディフだが、それよりさらに先のブリッジエンドという田舎の駅で降りた。そのあたりが昔、炭鉱で栄えた地方だが、今はさびれた過疎地になっている。一人ポツンと降り立った日本人にウェールズの人たちはとても優しかった。

その優しい人たちの土地ウェールズを舞台にした映画が「わが谷は緑なりき」だ。ジョン・フォード監督のこの名作映画は 1941 年制作(自分の生まれた年より古い)という超クラシック映画だが、改めて見てみた。ウェールズ地方の炭鉱の町が舞台のドラマだ。日本でも戦後、石炭産業が斜陽化して、次々と炭鉱が閉鎖され、炭鉱員たちが失業し、ストライキが頻発したが、それと同じ状況が描かれている。

父親と4人の息子がいずれも炭鉱で働いている労働者一家の姿を、幼い末っ子の目を通して描いている。炭鉱の不況で兄たちの給料が下げられたり、クビになったり、姉が炭鉱主の息子と無理やり結婚させらりたり、炭鉱の落盤事故で父親が死んだり、など不幸が続くが、一家の家族どうしの絆は強い。そして皆が同じ炭鉱で働いている住民たちも人情が厚く、お互いに助け合って生きている・・・ 

やがて時代は移り変わり、炭鉱は閉鎖され、町はさびれて、古き良き時代は終わってしまった。そして今では大人になった少年は、家族や町の人たちの懐かしく美しい思い出を胸に町を去ってゆく・・・


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