2020年12月6日日曜日

ワイエスが描く「片隅」の絵

Wyeth’s "In a Corner" 

ワイエスの数ある作品の中で最も素晴らしいと思うのは、家庭のありふれた片隅を描いた絵だ。なんでもない光景だが、昔見たようなどこか懐かしさを感じさせる。こういうところに目を向ける暖かいまなざしはワイエス独特だ。


干している洗濯物が風でなびいている。洗濯カゴの側でワンコが昼寝しているのどかな風景だ。ごくありふれた日常的な光景を魅力的な絵にしている。


納屋の中に使わなくなったボートが置いてある。ワイエスは陸にあげられて、うち捨てられたボートをたびたび描いているが、寂しさや懐かしさの感情を引き起こす。


作業小屋の前に丸太と斧が置いてある。製材している最中にちょっと休憩という感じだろうか、人間は描いていないが、人間の存在を強く感じさせる。


窓を外から見ている。向こう側の窓が見えているから小さい家なのだろう。かすかに見える室内の様子が住んでいる人のつつましやかな生活を想像させる。タイトルが「ゼラニウム」だが、中央の小さい赤い花がそれのようだ。


(画像は「Andrew Wyeth   Memory & Magic」より)

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