2020年12月23日水曜日

「ヴィジョン・イン・モーション」

「Vision in Motion」

図書館で偶然 「ヴィジョン・イン・モーション」を見つけたので改めて読んでみた。 6 0 年以上も前、学校の教科書だったので、辞書を引き引き読んだが、日本語訳が出たのはありがたい。題名の「Vision in Motion」は「動きの視覚」とでもいう意味で、「空間」の芸術であった造形芸術が 2 0 世紀になって、「動き」という「時間」の性格を持ち始めたというのが論点になっている。美術・デザイン・写真などを取り上げているが、現在、映像やコンピュータといったメディアの発達で、ますますこの流れが強くなってきている。さまざま紹介されている作品の中から、著者のモホイ・ナジ(昔は英語読みでモホリ・ナギと言っていた)自身の作品をあげてみる。


穴のあいたパンチングメタルにピンを刺している。ピカソが始めたコラージュの発展形だが、キャンバスに貼り付けられた紙のような従的存在ではなく、素材自体が主役になっている。

無数の線が音のリズムを表現している。時間芸術の音楽と空間芸術の絵画の融合の試み。今でいうキネティック・アートの始まり。

自然主義的な絵画の真似をしていた写真から脱却する試み。透明プラスチック板の立体造形をモチーフにしたカラー写真。絵の具の色ではなく光の色で表現する写真の実験。

ガラスによる彫刻。何か光るものが流動的に動いている軌跡のように見える。運動の表現。

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