2020年12月28日月曜日

陰影の無いモネの絵は浮世絵の影響?

 Monet and Ukiyo-e

近代になって、絵画から光が無くなり始めたのは印象派のマネあたりからだったという。「ブラン氏の肖像」で、顔も衣服も陰影がなく、色が平面的にベタ塗りされている。レンブラントなどのように、光による陰影によって形の立体を表現する陰影法の歴史が終わっている。

形を輪郭だけで平面的に描くのは、日本の浮世絵の影響によるとよくいわれる。しかし必ずしもそうではないという。もともと西洋絵画には平面としての美しさを求める流れと、立体としての美しさを求める流れの二つがあって、両方がせめぎあってきたという。ボッティチェリの「若い女性の肖像画」は陰影がなく、線のリズムによる平面的な美しさで、ダ・ヴィンチの「モナリザ」は逆に輪郭線をなくし、陰影によって立体感を与えている。西洋絵画にとって浮世絵の平面性は新しいものではなく、従来からあった平面表現の新しい可能性に気づかせるきっかけにすぎなかったという。(「国立西洋美術館の名画の見かた」による)


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