Thomas Gartin
水彩画の本家イギリスでは、たくさんの水彩画の巨匠を輩出したが、! 9 世紀初めに二人の天才画家が現れた。ターナーとトーマス・ガーティンだ。ターナーに比べるとガーティンがさほど有名でないのは、水彩画しか描かなかったのと、わずか 2 7 才で死んでしまったからだが、ターナーは最大のライバルとして恐れていたという。
ガーティンはそれまでいい絵の基準とされていた「ピクチャレスク絵画」を捨てて、全く新しい絵画を始める。横長の画面に地平線を強調した広々とした空間を描いた。ゴツゴツした山などない、なだらかな「非ピクチャレスク」な風景をモチーフにした。やや高い視点から広い平原を見ていて、緩やかに蛇行している川が近景から地平線に向かって視線を誘導している。
川や牧草地などの緩やかな水平な線の重なりが空間の奥行きを表現している。最後に視線は遠景の教会の塔に行くが、唯一の垂直線要素が印象的な絵にしている。
空と水だけを描いていて、広々とした空気感が伝わってくる。湖のほとりの白い家が印象的。ガーティンは水彩の透明性を活かすために、ごく薄く溶いだ絵の具の色を幾つも重ねて微妙な色合いを出したという。この爽やかな透明感のある空気感はそのせいだろう。
ロンドンのテムズ川をパノラマ的に描いている。記念碑的建物があるわけでもなく、煙を出す工場など、それまであまり絵にされてこなかった都市の風景をありのままに描いている。黄色い空はスモッグかもしれない。ピクチャレスク的理想風景ではなく、リアリティの絵で、近代的絵画の始まりだった。
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