2020年12月4日金曜日

ワイエスのドアの絵

Wyeth's door 

ワイエスにはドアをモチーフにした絵が多い。「Open and Closed」では2つのドアが並んでいて、わずかに開いている片方から向こう側がが少しだけ見えている。モノとしてのドアよりも、そこを通る人間の存在を強く感じさせる。


「French Connection」は、ドア脇のコート掛けにジャケットが掛かっている。これは昔のヴィンテージふうのジャケットで、誰か知り合いの年寄りが今ドアから入ってきたばかりのようだ。


「Alvaro and Christina」は近所の知り合いの老夫婦の家の物置きを描いている。掃除道具やバケツが無造作に置かれていて、今ドアから人が出ていったばかりのようだ。ワイエスはこういう生活感の溢れるなんでもないモチーフを好んで描いた。


物置の開いたドアの向こうにバケツが見えている。掘っ立て小屋のような建物で、ドアは傾いている。このような昔ながらのアメリカの生活をモチーフにしたワイエスの絵は「Regionalism」(地方主義)と呼ばれるが、ドアが大事な役割をしている。



0 件のコメント:

コメントを投稿