2020年12月12日土曜日

ホッパーの絵画「線路ぎわの家」

 Regionalism and Edward Hopper

アメリカの画家たちもご多分にもれず、パリへ行って勉強していたが、2 0 世紀になるとヨーロッパ的な絵画から脱却してアメリカ独自の絵画を創り出そうとする。モダニズム絵画もそうだが、もう一つは「リージョナリズム」(地方主義)の流れだった。近代化されていない素朴で昔ながらのアメリカらしい「アメリカン・シーン」を描いた。アンドリュー・ワイエスもその一人だった。

エドワード・ホッパーも代表的なリージョナリストで、例えば「線路ぎわの家」は有名だ。コロニアル様式の古風な建物が、何もない平原に取り残されたように、「ポツンと一軒家」的に建っている。寂しくもあり、ちょっと不気味でもある。


この絵の影響は大きかった。映画で古い田舎が舞台の時にこのイメージがときどき使われる。ヒッチコックはホッパーの絵からインスピレーションを得て「サイコ」のセットを作ったという。人里離れた山奥に一軒だけ建っている家で起きるホラーの舞台として、この古風で不気味な家がぴったりだった。


もう一つの明らかにホッパーの影響を受けたといわれる映画は「天国の日々」。2 0 世紀初頭のテキサスの田舎の農場に働きに来る季節労働者と、裕福な農園主との話だが、農園主の邸宅がホッパーの絵にそっくりだ。大草原の中にぽつんと建っていて、まわりの風景と全くそぐわない異様さも似ているが、それがこの映画の物語をシンボライズしている。


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