2017年6月30日金曜日

ジャコメッティ展

Exhibition  "Alberto  Giacometti"


ポスターの作品はうなだれて歩いている犬。極限までボリュームを無くしてしまうことで対象の「動き」だけを抽出したのだと思う。「歩く男」も人体の形はほとんどなく細い棒だけで軽やかに歩く動きを感じる。モーションキャプチャーと同じかもしれない。古典的な彫刻がマスの量感で対象を捉えようとしたのと対照的な20世紀の彫刻だ。

すごい数の素描が展示されている。モデルを何十時間もひたすらデッサンし続けたそうだ。止まらなくなってカフェで新聞紙に描いたものまであった。その格闘を通してやっと見えてくる形をジャコメッティは「ビジョン」と呼んだそうだ。たしかにこの独特なデッサン(陰影による写実的なものではない)を見ていると、そこから生まれるだろう彫刻の形が目に浮かんでくる気がする。

             (国立新美術館にて  〜9/4)

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