Onomatopoeia
前回の続き。
「言語の本質」の著者は、オノマトペから始まって、人間が言語を進化させてきた過程を説明している。オノマトペについて、知らなかった面白い話がたくさん出てくる。オノマトペにはいろいろあって、「カチャカチャ」や「バリーン」などの聴覚に関わるもの、「ウネウネ」や「ピョン」などの視覚に関わるもの、「ザラザラ」や「ヌルヌル」などの触覚に関わるもの、「ドキドキ」や「ガッカリ」などの心の感覚に関わるものなどがあり、いずれも感覚イメージを言葉にしたものだ。だからオノマトペとは、感覚イメージを「写し取る」言葉だと説明している。
「写し取る」ということは、見たものをスケッチすることに通じるわけなので、著者はこんな実験をしている。日本語を全く知らない外国人に、この二つの形を見せながら、「ギザギザ」と「ヌルヌル」という言葉を聞かせて、どちらの言葉がどちらの絵だと思いますか、と聞くと100% の人が正解するという。
子供の言語習得はまずオノマトペから始まる。しかし成長過程では間違いをたくさんおかす。あるお母さんが、子供の足元に転がったボールを投げ返してほしいと思って、「ボールをポイして」と言ったら、子供はボールを持ってゴミ箱へ捨てに行ってしまったという例が挙げられている。この子は普段「ゴミをポイして」と言われているので、「ポイ」を「捨てる」という意味に理解している。しかし「ポイ」には「捨てる」という意味の他に「投げる」という意味もあるが、それをまだこの子は知らない。オノマトペは感覚的な言葉だから覚えやすいが、対応する意味が厳密に一つに決まらない。だから「ボールがコロコロと転がる」「社長の話はコロコロ変わる」「チームはコロコロ負けた」などあって、子供は同じ「コロコロ」でもたくさんの意味を覚えなければならない。
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