2023年10月16日月曜日

「移動するモダニズム 1920 ~ 1930 」展

「Modernist on the Move 1920 ~ 1930 」 

神奈川県立近代美術館(葉山館)で開催中の「移動するモダニズム   1920 ~ 1930 」展が勉強になる。タイトルどうり、ちょうど100 年前の日本のモダニズム絵画が花開いた時代を展望できる。  1920 年 ~ 1930 年の 10 年間は、大正の終わりから昭和の初めにまたがる戦間期だった。

この時代、ヨーロッパでは印象派の時代が終わり、様々なモダニズム絵画の運動が巻き起こったが、日本の画家たちは、その先端芸術を勉強しようと欧州に向かった。この展覧会は、彼らの作品を展示している。

フライヤーの中央に大きく扱われているのは、ドイツで活動した和逹知男という人の「謎」という作品。新聞の切り抜きなどを貼り付ける「コラージュ」の作品だ。(コラージュは特にバウハウスで盛んに行われたが、表現されるメッセージが反体制的だったため、やがてナチスによって弾圧される。)


フライヤーの裏面で中央に扱われているのが、坂田一男という人の「浴室の二人の裸婦」という作品。坂田一男は、パリでキュビズムを学び、フェルナン・レジエとも交流があったという。”機械の時代” を風刺的に描いたレジェの影響が見られる。


パリに留学して、シュールリアリズムを学んだ福沢一郎の「よき料理人」。
レストランのテーブルの上に椅子が置いてあり、シェフの代わりに客が料理をしている、という無秩序な光景を描いている。客はナイフを研いだり、梨の爆弾に火をつけようとしている。1930 年の作品で、世界情勢が不穏で不安になってきた時代を風刺するような作品だ。


このように、キュビズム、シュールリアリズム、
未来派、構成主義、などのありとあらゆる運動の影響を受けた日本の画家たちの作品群が、20 世紀初頭のヨーロッパのモダニズム絵画の縮図になっている。

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