Pissarro
1/ 20 は「大寒」というそうだ。初雪はまだないが、たしかに本格的に寒くなってきた。それで改めてピサロの雪景色の絵を鑑賞。ピサロは、住んでいたパリ郊外のルーヴシエンヌという村で、雪景色を描いた。ピサロは、印象派の ”お父さん” と呼ばれるくらい温厚な性格だったそうだが、寒い風景の絵でも見ていて気持ちが温かくなる。
Pissarro
1/ 20 は「大寒」というそうだ。初雪はまだないが、たしかに本格的に寒くなってきた。それで改めてピサロの雪景色の絵を鑑賞。ピサロは、住んでいたパリ郊外のルーヴシエンヌという村で、雪景色を描いた。ピサロは、印象派の ”お父さん” と呼ばれるくらい温厚な性格だったそうだが、寒い風景の絵でも見ていて気持ちが温かくなる。
PHOTOSHOP
街を歩いていたらこんな工事中のビルを見かけた。光と影の構成が面白くて、絵にしたくなった。この素材をどう料理するか考えているなかで、頭の中のイメージ作りに役にたつのではないかと、 PHOTOSHOP を使ってみた。元画像をいろいろ加工してみるとヒントが得られる。これらをそのまま絵にするわけではないが発想の助けになる。
Huge earthquake
今日は、1995.1.17. の阪神淡路大震災から 30 年だった。この間の能登半島地震は、2024.1.1. で、東日本大震災が 2011.3.11. だった。どうも「1.1.」のゾロ目の日に悪いことが起きるようだ。(そういえばアメリカの同時多発テロも 9.11. だった)
「阪神」も「能登」も遠くて実感がなかったが、「東日本」は強く印象に残っている。東北からはるか離れた関東でも揺れがひどく、地震のエネルギーの強烈さを実感した。たまたまその時、高層ビルの上層階にいたが、揺れるどころでなく、ドンと突かれて向こうの壁まで飛んでいかされる。しかもこのビルは完成したばかりで、地震初体験だ。耐震設計が大丈夫かどうかのテストをされているようなもので、その恐怖が大きかった。
電車は完全ストップだが、自宅へ連絡しようにも携帯は繋がらないし、駅前に一つだけある公衆電話は長蛇の列。働いていた職場が JR の駅のまん前で、帰宅困難者の宿泊施設に指定されていたからたいへんだった。数千人の人たちへ、毛布や飲み物や軽食などの支援の手伝いもした。
かつてさかんに研究されていた「地震予知」は、今ではもう不可能であるとの結論が出ているという。気象庁もそのことをはっきり言っている。だから「防災」といっても、できることはたかがしれている。
Student report
学生のレポート課題は、社会人になったときに必要な「考える力」の訓練のために果す。だから例えば、「⚪︎⚪︎ の現状について考え、その問題点を記せ」などというかたちで出題する。それでも「コピペレポート」が絶えない。ネットで検索して、使えそうなネタをそのまま書き写す。それでもせめて要約して要点だけを簡潔に記せばまだしもだが、ムダな細かいことまでダラダラと 100% そのまま書く。「考えること」どころか要約さえもしない思考停止状態だ。究極は、生成 AI のソフトを使って、その答えをそのままコピーする。これはもちろん0点になる。100 点になるのは、文章が稚拙でも、自分で考えたことを書いているレポートだ。
「Irishman」
「アイリッシュマン」(2019 NETFLIX)は、スコセッシ監督の傑作のひとつだと思う。ロバート・デ・ニーロや、アル・パチーノなどが出演する3時間半に及ぶ大作だ。1950 年代アメリカで、マフィアが暗躍していた時代の実話に基づいている。労働組合指導者の座をめぐる権力闘争と、その裏でうごめくマフィアの犯罪組織を描いている。主人公はその裏社会で殺し屋として頭角をあらわしていく。
政治学が専門の村田晃嗣氏によれば、歴史上、多くのアイルランド人が新天地アメリカにやってきて、20 世紀までの総数は 700 万人にものぼるという。その大量移民で、酒と喧嘩が大好きというアイルランド人気質が嫌われ、アイルランド移民排斥の差別や偏見にさらされたという。それが彼らを団結させ、マフィアのような裏社会での権力を握るようになったという。
アイルランド系移民の物語は、ハリウッド映画に数多く登場する。例えば「遙かなる大地へ」を思い出す。アイルランドの貧農の若者(トム・クルーズ)が地元の娘(ニコール・キッドマン)とともにアメリカンドリームを夢見て、アメリカへ渡る。西部の未開拓の荒野で、先着順に土地をタダであげるという競争に参加して自らの土地を手にいれる、というサクセス・ストーリーだった。
これらの映画は、貧しい小国のアイルランド人の悲哀と、かれらがアメリカへ渡って成功したり、権力の座へ上り詰める成功物語で、「アイリッシュマン」もそのひとつだ。
Nippon Steel's Attempt to acquire U.S. Steel
日本製鉄の US スチール買収が政治問題化してきた。バイデン現大統領が買収禁止を決めて、訴訟に発展している。
これからの鉄鋼産業の最大課題は「脱 CO2 」だという。鉄鉱石と石炭を大量に排出する高炉方式から、再生可能エネルギーを使う「グリーンスチール」へ世界中が競い合っている。その点でもアメリカは遅れをとっていて、日本は優位に立っている。それが今度の日鉄の USS 買収の原因になっている。
Running time for movie
そのことと反対の現象が、若者を中心した「タイパ」という映画の観かただ。短時間で ”効率的に" 映画を観る人たちについて書いた「映画を早送りで観る人たち」(稲田豊史)が実に面白い。「2時間の映画を1時間で観たい」「つまらないと感じたら後はずっと 1.5 倍速」「会話のないシーンは即飛ばす」「観る前にネタバレサイトをチェック」など、「タイパ」人間の実態を暴いているが、そういう観方を可能にしているのがネット配信だ。だから、ネット配信映画の長時間化と、「タイパ」は矛盾しないのだろう。
表情を映しているだけで会話のないシーンや、スートーリーに直接関係のない風景だけを映しているシーンなど、映画がその意味を知らせてくれず、自分で解釈しなければならない場面は多いが、「タイパ」の人たちはそれを「ムダ」だと感じてしまう。
Mucha
振り返ってみると、日本で大人気のミュシャなので、何度も展覧会が開かれてきたが、その度に企画に工夫が凝らされている。印象的だったのは2019 年の、渋谷「Bunkamura」での「ミュシャ展」で、ミュシャの日本への影響を取り上げていた。大正時代の本の装丁が、ミュシャスタイルの大きな影響を受けていた。そしてミュシャの繊細な線描による女性の描き方は、現在の漫画やアニメにまで受け継がれている。
History of Pink
日経新聞の文化欄の「なるほど!ルーツ調査隊」(2024.11.18)という特集の「ピンク色の歴史」の記事が面白かった。同記事によれば、「男の子は青、女の子はピンク」というジェンダーバイアスが生まれたのは新しく、第二次世界大戦後だというのが意外だった。
女性がピンクを着始めたのは 18 世紀のロココ時代からだという。フランスの貴族階級でピンクの衣装が大流行したそうで、その後世界へ広まった。確かにロココ美術の代表作フラゴナールのブランコをする女の子が鮮やかなピンクの衣装で描かれている。ただしこの頃は女性だけでなく男性もピンクを着たという。そして「ピンクは女性の象徴」というイメージが出来上がる。高度経済成長の時代、アメリカでも日本でも、電化製品などで「女性むけ」製品が作られるようになり、それらは必ずピンク色にデザインされた。女の子向け人形の「バービー」はその極め付けだった。そして現在は「女の子はピンク」というのは「ジェンダーバイアス」としてネガティブに捉えられるようになった。(映画「バービー」については前回投稿)
Barbie and Pink-color
前回のアカデミー賞の有力候補だったが受賞を逃した「バービー」をあらためて見た。映画としては駄作だが、正面から「ジェンダー」をテーマにしている点では面白い。「男社会」の現実世界と真逆の「女社会」が舞台で、さまざまな職業のバービー人形たちが人間の姿で登場する。彼女たちが世の中を牛耳っていて、男は従属的な存在だ。
「男の子は青、女の子はピンク」は「男は仕事、女は家事」と並んで「ジェンダーバイアス」の代表だが、この映画の ”理想の” 女社会は、建物も車も衣服もピンクで埋め尽くされている。
映画でバービーが現実社会へ入っていく場面がある。バービー人形を作っている「マテル社」の重役会議へ迷い込むが、全員が黒スーツにネクタイのオジサンだ。女の子に ”夢を与える” 商品を作っているのは、男たちがビジネスで儲けるためでしかないという現実を皮肉っている。「男社会」が女性を「人形」扱いしているが、女性自身も可愛い「人形」でいることに満足して、人間としての自立心がない、という現実をパロディにした映画だ。