Otsuka Museum of Art
大塚国際美術館(徳島)は世界の名画を集めた大規模な美術館だが、それらは原画でなくすべてレプリカだ。しかしレプリカといっても精巧で、原画とまったく見分けがつかない。これらの本物を見ようとすれば、世界中の数百もの美術館を巡らなければならないが、それを一堂に見られるのだからありがたい。
これらは陶板に印刷されているのがミソで、何百年も昔の陶器の絵付けが色褪せないのと同じで、耐久性が優れている。陶磁器の永い伝統があり、しかも写真・印刷技術の高い日本ならではだ。制作に当たっては、もちろん原画の所蔵美術館の許可を得ているが、一種の ”ニセモノ” を作ることなのに、美術館はとても協力的だという。その理由は・・・
美術館は所蔵絵画を定期的に修復を行なって、汚れや変色を直してもとどうりにしている。ところが修復は、元はこうだっただろうという想像に基づいてやらざるを得ないからどうしても元の絵とのズレが生じてしまう。それを何百年にもわたって繰り返していると、どんどん原画とかけ離れていってしまう。ところがこの陶板レプリカのように、何年経っても絶対に褪色しない絵があると、それを原本にして見ながら修復できる。これは原画所蔵の美術館にとってもありがたい。だから、年が経つほどに大塚国際美術館にあるのが ”本物” だということになるかもしれない。
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