2024年11月9日土曜日

映画「アンチソーシャル・ネットワーク」

 「The  Antisocial Network」

「アンチソーシャル・ネットワーク  現実と妄想が交錯する世界」(NETFLIX, 2024 年)というドキュメンタリー映画は、現在のネットワーク社会の反社会的(アンチソーシャル)な側面をえぐり出している。

その始まりは、匿名掲示板サイト「2チャンネル」からだという。コミュニティが希薄になった現代に、これに参加することで仲間との連帯意識が生まれる。しかしそれは現実と妄想が入り混じった歪んだ世界になっていく。このポスターのように、顔がスマホに吸い取られて、エイリアンのような人間になっている。

「2チャンネル」のアメリカ版「4チャン」が生まれてこのネット文化が世界中に広まっていき、さらにさまざま形に”進化”していく。日本の「オタク文化」が世界中で大流行したり、「ネトウヨ」のような過激な書き込みや、有名人の誹謗中傷とか、フェイク情報の拡散、偽サイトによる詐欺など、アンチソーシャルな方向にネット文化が広がっていく。

日本でもネットが選挙に大きな影響をもたらし始めている。アメリカでは政府への抗議デモで人々を動員するのにネットが役割を果たしている。前回大統領選でトランプが落選した時、支持者の国会議事堂の襲撃を煽ったのもトランプのツイッターと岩盤支持層の SNS だった。

その政治的サイトの代表が「Qアノン」で、エリート層たちが国を支配するために陰で悪いことをやっているという陰謀論を唱えている。これを支持する人たちは多い。「Qアノン」は日本でも広がり始めていて、コロナのワクチンは危険なのに国民に打たせているのは政府の陰謀だ、と主張している。科学的根拠が無いと言われても、それは「政府と結託したマスコミが真相を隠している」からだと言っている。

陰謀論を信じる人は、他のメディアが言わない情報をネットをから得て「自分だけが真実を知っている」という優越感に浸っている。そう社会心理学の専門家は指摘している。


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