2024年11月1日金曜日

ポーラ美術館のヘンリー・ムーア

 Henry Moore

印象派の絵画が中心の、箱根のポーラ美術館に、ヘンリー・ムーアの彫刻が一点だけある。「座る女のための習作」という小品が階段の踊り場のようなところにさりげなく置いてある。ヘンリー・ムーアの作品は大型で、公園など屋外に設置されているので、美術館ではなかなか見れないから貴重だ。

ヘンリー・ムーアの作品集に、彼のドーローイングが紹介されている。画家のドローイングと違って、彫刻のためで、3次元を意識している。左の6枚は椅子に座った女性で、ポーラ美術館の作品に通じるものがある。そして身体のマスよりも、手と脚によってできる空間を造形している。中の2枚は、戦争中のナチスドイツによるロンドン空襲時に、地下鉄に避難した人たちのスケッチで、これもムーアは寝ている人の手の形に注目している。

( Herbert Read 「Henry Moore」より

右の1枚は、同じく地下鉄で寝ている人たちの中の子供を抱えた母親の姿を描いている。これも3次元を強く意識した表現で、彫刻家らしい見事なスケッチだ。このスケッチが直接きっかけになったかどうかはわからないが、ムーアは子供を抱いた母親をテーマにした彫刻を数多く制作している。


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