Traditional Japanese wooden architecture
大阪万博の「大屋根リング」が完成したという。この巨大木造建造物は、日本の伝統的木造建築の工法を応用している。代表的なのが清水寺で、崖に張り出した「舞台」を格子状に組まれた木材どうしが支え合う、耐震性の高い構造になっている。
だいぶ昔だが、奈良の薬師寺西塔が再建された時の見学会に参加したことがある。現場を見ながら解説をしてくれたのが再建を手がけた有名な宮大工の西岡常一氏ご本人という贅沢な見学会だった。日本の伝統的建築工法の説明に感動したのを覚えている。
地震国の日本で、奈良時代の五重塔が千年以上もの間、倒れることなく現存し続けている理由を知ることができた。「心柱」と呼ばれる塔の中心を上から下まで貫いている太い柱が地面に固定されているわけではなく、上から吊り下げられている。だから地震の時には振り子のように揺れて、振動エネルギーを受け流してしまう。また5層の各階は積み上げているだけで、固く結合されていない。それで地震の時はクネクネと塔全体が揺れる。清水寺の構造も同じだ。
このような五重塔の構造は、現在の近代的な高層ビルに応用されている。地震の時にはあえて揺れることで振動を受け流す。揺れに抵抗する「耐震」ではなく「免震」の考え方だ。東日本大震災が発生した時、たまたま高層ビルの上階にいたが、揺れが強烈で、立っていることができないくらいだった。このビルは「免震」構造だったからで、心理的恐怖感は強いが、もちろん壊れたりすることはなかった。
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