「All quiet on the western front」
「西部戦線異状なし」は第一次世界大戦の戦争を描いた名画だが、最近そのリメイク版が公開された。(NETFLIX 2022 年)ドイツとフランスの国境地帯の西部戦線での人間どうしの凄惨な殺し合いを生々しく描き、戦争の理不尽さと虚しさを描いている。
このリメイク版ではオリジナルになかった、戦争終結時における独仏休戦協定を締結する場面が出てくるのが興味深い。これは史実に基づいている。
戦争末期に、打ち負かされて退却を続けるドイツはフランスに停戦を求める。その交渉がパリ郊外の森の公園に展示されている古い客車の中で行われた。フランスが、こんな場所をあえて選んだのは、ドイツに屈辱感を与えるためだった。ドイツはとりあえずの「停戦」を懇願するが、フランスは強硬にはねつける。無条件に降伏する「休戦」協定に署名しろと高圧的に迫り、さもないと戦争をやめないと脅す。毎日戦死者が増え続けているドイツはそれに従わざるをえなかった。この休戦協定の結果、ドイツは国土を奪われ、天文学的な額の賠償金を払わされることになった歴史はよく知られている。
この時の休戦交渉が第二次世界大戦でも繰り返された。しかし今度はドイツとフランスの立場は逆転している。フランス軍は壊滅的な敗北を喫し、ヒトラーはフランスに侵攻する。フランスは無条件降伏して休戦交渉をするが、ヒトラーはその場所を意図的に上と同じ客車の中にする。第一次世界大戦時の屈辱の仕返しをするためだ。休戦協定の結果、フランス国土は占領され、政府は傀儡政権にさせられ、主権国家としてのフランスは消滅してしまう。
ウクライナとロシアの戦争が続いているが、ウクライナは休戦交渉を拒否している。上記の歴史からわかるように「休戦」とは国が占領された現状を固定化することだから、ウクライナは戦い続けるしかない。
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