「Money Monster」
「マネー・モンスター」という面白い映画がある。「マネー・モンスター」という、株価の上がり下がりを予測するTV番組があり、「今日のおすすめ株は・・」などとキャスターが面白おかしくトークする。番組を見て視聴者が実際に株を売買するから株価に大きな影響を与える。いくらアメリカでもこんな TV番組が許されるはずがないが、映画の設定としては面白い。その番組の生放送の最中にテロリストが乱入する。「お前のおかげで大損した。金を返せ!」とピストルをキャスターに向けて脅す。視聴者は、これも番組を面白くするための演出だろうと皆ゲラゲラ笑っている。ところが本当だとわかり警官隊が出動する大騒ぎになる・・・
このテロリストが、気の弱そうな普通の若者で、ビクビクしながらやっている。そして、この犯行現場をそのまま TV 中継し続けろと要求する。スタッフはその通り放送を続ける。若者の目的は、番組がいかにひどいことをしていて、自分はその犠牲者だと視聴者にアピールすることなのだ。このことから、映画(2016 年)の時代的背景が見えてくる。
この映画の数年前(2011年)に「We are the 99%」という若者たちの大抗議デモがあった。人口の1%の富裕層が、全米の資産の35%を独占していることへの不満が爆発した。「Occupy wall street !」と叫び、金持ちのシンボルであるウォール街のニューヨーク証券取引所を占拠した。
このデモの背景が、あの「リーマン・ショック」(2008 年)だった。全米が金融危機に落ち入り、大不況になる。会社の倒産や失業者が激増し、若者の4割が失業した。そして株券は紙屑になてしまった。映画「マネー・モンスター」の若者は、その時の抗議する若者たちに重ねられている。
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